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【談話】労働政策審議会の建議
「女性の活躍の推進のための対策及びパワーハラスメント防止対策等について」に対して

2018年12月18日
全国労働組合総連合
事務局長 野村幸裕

 労働政策審議会の雇用環境・均等分科会は、12月14日、「女性の職業生活における活躍の推進及びパワーハラスメント防止対策等の在り方について」の報告書を取りまとめ、根本匠厚生労働大臣に建議した。
 報告書は、ハラスメント根絶を求める世論と運動、またILO条約採択に向けた世界の流れ、何よりも現在ハラスメントに苦しんでいる多くの労働者の願いに応える報告にはならず、非常に不十分な内容にとどまった。きわめて遺憾である。

 報告書では女性活躍推進法については、行動計画策定と情報公表の義務付けを101人以上300人以下の企業に拡大するとした。多少の前進にはつながるものの、抜本的改善にはならない。「男女賃金格差の是正」や「長時間労働の解消」など実効ある措置が求められる。さらには「男女平等法」「差別禁止法」など、包括的にジェンダー差別を禁止する法整備が求められるところである。

 ハラスメント対策の法整備については、多くの労働者から性別を超えて関心が高まり、審議会委員に、多くの団体から要請書が届けられた。しかし、報告書は労働者の切実な願いに応えるものとはならなかった。
 第一に、報告書の「基本的な考え方」では、ハラスメントは「人権にかかわる許されない行為であり、あってはならないものである」としながら、「パワーハラスメントの防止措置義務法制化」にとどまった。セクハラについては雇用機会均等法に事業主の防止措置が義務化され20年になる。しかし、セクハラ被害は後をたたない。その事実を見れば、「防止措置義務」だけではハラスメントを根絶できないことは明らかである。
 必要なのは、「禁止規定」と「制裁措置」の法制化である。しかし、今回の報告書では、「中長期的な検討を要する」として、禁止・制裁の法整備を先延ばしにしている。ハラスメントに苦しむ労働者を「中長期的」に放置するのではなく、ただちに救済する法整備こそ必要である。
 第二に、ハラスメント行為についての定義・範囲の規定を国際水準で規定することが求められる。
 ハラスメント行為を規定するにあたっては、ハラスメント行為の範囲としては顧客・利用者等からのハラスメントを含めること、被害者の範囲としては正規・非正規を問わず、すべての労働者、フリーランス、実習生、雇用が終了した労働者、求職者と就職申込者、訓練中の人々などを含むべきである。
 第三に、ハラスメント防止対策の実効性を確保するために、労働行政の体制の確立、抜本的な人員増が求められる。その必要性は、相談件数7000件に対して行政救済135件という数の差を見れば明らかである。さらに、被害者がアクセスしやすく、適切な救済命令を行う機関の設置が求められている。
 第四に、来年のILO総会では、「労働の世界における暴力とハラスメントの除去に関する条約」が採択される運びとなっている。国内法は、ILO条約を批准できる水準でなければならない。
 今後、建議にもとづき法案作成をすすめるにあたって、全労連は以上の四点を求める。

 労働現場では、今、このときも、ハラスメントに苦しむ労働者、相談することもできず一人で悩み苦しみ、離職に追い込まれる労働者が存在する。全労連は、今春闘において、ハラスメント根絶を重要課題として位置づけ、実効ある法整備を政府に求めるとともに、職場における協約化をすすめ、ハラスメントのない職場づくりに奮闘する。

以上

 
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