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【談話】新型コロナウイルスの影響下での閉会に抗議し、閉会中の徹底審議を求める

2020年6月17日
全国労働組合総連合
事務局長 野 村 幸 裕

 6月17日、第201通常国会は閉会した。この国会では「桜を見る会」「カジノ汚職」「自衛隊の中東派遣」「公選法違反前大臣の責任」など安倍首相が逃げ切ろうとしている課題を究明すること。消費税を5%に減税し、軍事費拡大を止め、社会保障の拡充に転換させること。改憲を許さず、野党が共同で提出した「カジノ廃止法案」や継続審議となっている「原発ゼロ基本法」などの成立を図り、安心して人間らしく暮らせる政策を実現する議論が求められた。加えて後半国会では新型コロナウイルスの感染拡大による医療や介護の崩壊、雇用や生活破壊に対する制度や経済対策の徹底、「第2波」に備えた国会の役割発揮が求められた。しかし、政府・与党は、年末までの会期延長を一致して求める野党の申し入れを拒否して国会を閉会した。閉会を多数の力で強行したことに抗議する。さらに、安倍政権の税金や政治の私物化の追求、感染拡大防止と国民生活の安定のために、閉会中の徹底審議を求める。

 コロナ対策に対する後手後手の安倍政権の政策遂行能力の低さを露呈した今国会では、国民の世論と運動、野党の共闘でいくつかの成果をうみだした。
 第1に、2017年5月3日の「安倍改憲2020施行」を事実上不可能に追い込んだことである。安倍改憲反対3000万人署名や改憲発議反対署名の運動が、憲法審査会で国民投票法の議論をさせず「自民党改憲案」の提示を5国会連続で提示もさせなかった。全国、地方でのたたかいと共同の拡がりの成果である。
 第2に一律10万円の特別定額給付金の実現、雇用調整助成金の手続き簡略化や上限の引き上げ、雇用調整助成金と同額の対象者の拡大、家賃補助、医療機関への一定の支援など、新型コロナ対策の拡充が国民の世論と運動、野党の共同の成果である。
 第3に検察庁法改正案を廃案に追い込んだことである。1千万ともいわれるツイッターデモの拡がりと国会内のたたかいが継続審査ではなく審議未了・廃案に追い込んだことである。引き続き、忖度の温床となる「特例」を認めないとともに国家公務員の定年延長に向けた法案提出を求める。
 これらの成果は、「声をあげれば政治を変えられる」「政治を変えれば生活が改善される」ことを明らかにし、選挙によって未来を変える展望を拓くものである。

 今回の新型コロナウイルスによる社会の混乱は、新自由主義による市場原理主義、自己責任論、小さい政府論によって日本の経済や生活基盤が脆弱化していたところに、感染の拡大が追い打ちをかけたことによる。しかし、政府はこの本質を見ずに、自己責任論による「補償なき自粛要請」「医療・介護の責任放棄。崩壊放置」「雇用か賃金か」などを繰り返そうとしている。政府に所得間調整機能を発揮し、コロナ危機に打ち克つ国民生活を基礎から支える政策の拡充を求める。雇用安定化政策や最低賃金の引き上げ、生活を支える各分野の労働者への賃金の増額、社会保障の充実など要求は渦巻いている。新型コロナが収束していない中で対策の徹底を図るためにも、10兆円予備費を許さず財政民主主義を貫くためにも国会での審議が必要である。さらに、政府支出金と事業執行額が147億円も異なる持続化給付金の「中抜き」をはじめとするコロナ対策事業の不透明執行の解明と厳正化、河井案里氏と河井克行氏の公職選挙法違反事件の徹底究明など、政治の私物化の究明も求められている。
 全労連は、新型コロナ感染拡大終息後を展望し、国会での審議を求めるとともに、政治・経済・社会の抜本的な変革のため多くの困難な労働者や市民、野党と共にたたかいを強化していくことをここに表明する。

以 上

 
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