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【談話】反動判決で格差是正の運動は止められない

2020年10月14日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤 幸一

 10月13日に最高裁第3小法廷は、大阪医科大学の非正規職員が一時金の支給などを求めた裁判について、支給しないことについて不合理な格差ではないと判決した(宮崎裕子裁判長)。また、同日のメトロコマースの契約社員が退職金の支給などを求めた裁判においても、支給しないことは不合理な格差ではないと判決した(林景一裁判長)。
 判決は、格差是正を求める労働者の切実な願いを切り捨て、格差を固定化させるものであり、満身の怒りを持って強く抗議する。

 大阪医科大学の事件で最大の争点となった一時金の支給は、当然支給されるべきものである。しかし最高裁は、一時金が正規労働者に一律支給されているにもかかわらず、厚生労働省のガイドラインが職務貢献の度合いの有無で判断するとした枠組みを悪用して支給しないことを認めた。国の行政機関では、非正規労働者に対し一時金支給を行うことが各省で申し合わされ、内閣人事局の調査で9割超の非正規労働者に支給されている。地方自治体でも会計年度任用職員に一時金が支給されている。最高裁の判決は、一時金の支給について正規と同等の支給が行われるようにしてきた流れを無理矢理にねじ曲げようとするものであり、到底認められない。また、私傷病で休職中の賃金支給について、正規労働者の雇用を維持し確保することを前提とした制度であるとして、相違を不合理ではないとした。いずれの判断も、格差是正を進める社会的な流れを無視したものといわなければならない。

 メトロコマースの事件では、退職金の支給が最大の争点となっていた。正規職員に対しては勤続年数が3年を超えれば支給されることとなっているが、有期労働者には長期勤続となっても支給されない。高裁では、ガイドラインを参考に正規労働者との比較を行って退職金の支給を認めた。最高裁は、高裁が示した枠組みで判断することなく、「期待される職務内容に一定の違いがあるから不合理な格差とはいえない」とした。また、大阪医科大学の事件と同様に正規職員への登用制度があることを理由に、応募しなかった非正規労働者に非があるといわんばかりの判断で格差の存在を是認している。恣意的な人材活用のしくみがつくられている現状では、一定の違いがあるとしてすべての格差が一方的に切り捨てられる。このような最高裁の判断には、到底納得できない。

 非正規差別に対する最高裁判決は、2018年6月1日に行われた長澤運輸事件とハマキョウレックス事件以来で社会的にも大きく注目された。明日15日には、日本郵政に対する非正規労働者の格差是正を求めた裁判の判決が出される。労働契約法20条は、法改正により短時間・有期労働者雇用管理法の第8条と第9条、労働者派遣法第30条の3に移行している。労働契約法20条の制定時から、社会的な情勢は大きく変化しているが、非正規労働者と正規労働者との格差是正を求めるたたかいは決して終わることはない。
 全労連は、非正規労働者の格差是正を求める運動をさらに発展させるため、今後とも国民と共同をひろげてたたかう決意である。

以上

 
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