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【談話】第203臨時国会の開会にあたって

2020年10月27日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤 幸一

 第203臨時国会が召集された。野党がコロナ感染拡大の収束の見通しが立たない中で、通常国会延長の求めに応じず、憲法53条にもとづいて早期の臨時国会開会要求に応じなかった。国会軽視は国民軽視であることを菅首相は認識すべきである。
 菅首相は、所信表明演説で「2050年までの脱炭素社会の実現」を目指すことを強調した。積極的な温暖化対策が大きな成長につながると発想の転換を求めている。野党が共同提出した「原発を廃止し、再生可能エネルギーへの転換を実現するための基本法」(原発ゼロ基本法)案は、与党が拒否しているため、衆院の経済産業委員会で3年にもわたって審議入りしていない。菅首相こそが発想を転換し、国民の7割が求める原発ゼロを実現するため、臨時国会で直ちに原発ゼロ基本法案を審議入りするよう求める。
 所信表明演説のなかで日本学術会議の新規会員候補の任命拒否について語ることがなかった。政府は、任命拒否の理由をいまだに具体的に語らないままであるが、日本学術会議が軍事研究への協力を拒否したことが根本にある。日本学術会議は戦前に科学者が戦争協力したことの反省に立って設立され、政権からの自律が保障されている。学問、研究の成果は社会と国民に還元される。それを歪める菅首相の任命拒否はけっして許されない。任命拒否を撤回し、すみやかに拒否された6名の学者の任命を求める。
 コロナ禍のもとで、解雇と賃下げによる雇用危機と経営危機が広がっている。自殺者が増加するなど国民生活は深刻化している。「自助」や「共助」で支えられない層に対して、「まずは自助」を強調する菅首相は、国民の痛みが見えていない。医療や介護、保育、保健所など現場の声にこたえて、支援策と人員増の手立てをただちに行うことを求める。また、低賃金を押し付けられている青年、女性、非正規労働者のいのちと生活を支えるため、最低賃金の全国一律制度と大幅引き上げ、消費税の減税を行うよう求める。
 菅首相は「福島の復興なくして、東北の復興なし」、「被災者の皆さんの心に寄り添う」としながら、福島県の原発汚染水の海洋放出方針決定を強行しようとした。沖縄県に寄り添うと言いながら、辺野古新基地建設を沖縄県民にまともに向き合おうともせず、地方自治を破壊して強行していることと変わらない。福島県の汚染水処理について、情報公開を徹底し、科学的知見にもとづいて国民的議論を保障すべきである。
 核兵器禁止条約は、批准国が50ヶ国に達し、来年1月22日に発効することが決まった。菅首相はそのことにも触れなかった。被爆者の悲願にこたえ、核兵器廃絶へ被爆国の政府として責任を果たすよう、条約の批准を求める。
 憲法について、憲法審査会での議論を提起した。菅首相が言う通り、憲法のあるべき姿を決めるのは国民である。菅首相は、安倍前首相が固執した改憲論議を国民が支持しなかったことを直視すべきである。憲法擁護義務を果たすことに専念し、デジタル化主導ではなく、国民のいのちと生活を守ることを最優先に取り組むべきである。
 全労連は、「安倍政治」からの転換を実現するため、立憲野党の国会での奮闘と連携し、市民と野党の共闘の発展を支えるすべての国民・労働者とともに奮闘する決意である。

以上

 
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