2月27日に第36期中央労働委員会委員が任命され、3月1日に辞令伝達式が行われた。労働者委員については、全労連(全国労働組合総連合)、純中立労組懇(純中立労働組合懇談会)、MIC(日本マスコミ文化情報労組会議)で構成する全国労働委員会対策会議が統一して推薦した一般民間企業担当の北口明代さん(生協労連特別執行委員)は選任されたが、同じく全国労働委員会対策会議が統一して推薦した一般民間企業担当の田中広喜さん(新聞労連争議弾圧対策副部長)は任命されなかった。
この間、組合資格審査手続きによらない2組織を含め25組織が両氏への推薦単産となり、第36期中労委公正任命を求める政府あて団体署名3,316筆を集約した。昨年9月23日には厚生労働省へ推薦書と団体署名を提出し、公正任命、複数任命を求める要請をおこなった。これだけ多くの仲間が「非連合」からの労働者委員の複数任命を求めたにもかかわらず、特定独立行政法人担当(4人)を含め労働者委員15人中14人が連合推薦の委員で占められるという状況は、私たち全国労働委員会対策会議が従前から繰り返し申し入れてきた中央労働者委員の公平かつ公正な任命という要求に照らせば不十分な結果であり、極めて遺憾と言わざるを得ない。
そもそも、複数の潮流の労働組合が併存する場合には、その性格や運動方針の違いによって差別してはならない。労働者委員の任命に当たっては、推薦された候補について予断も偏見も抱かずに一定の基準に基づいて公平かつ公正な判断によって任命が行われなければならないはずである。しかし、厚生労働省は、9月の要請時も任命直後の3月1日の懇談においても、情報公開法5条(行政文書の開示義務)2項のイ「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」を理由に、不当にも任命にあたっての基準もプロセスも何ら示さなかった。「密室人事」と指摘されても仕方あるまい。
労働委員会がその機能を十分に発揮し、円滑な運営をするためにも、申し立て組合と労働者委員の信頼関係は不可欠であり、連合以外の組合にとって連合推薦の労働者委員が9割以上を占める偏向的な任命状況では、その信頼関係を築きづらい事態も生まれかねない。私たちは現行の偏向的な任命状況を是正することを強く求める。
いっぽう、厚生労働省から「労働者委員は労働組合からの推薦に基づく任命のため推薦した組合に連絡することにした」として、初めて北口さんの任命内定の連絡があったことは、これまで私たちが強く求めてきたことへの対応として評価する。今回に限らず、第37期以降も引き続き行われるよう求める。
中央労働者委員の公平・公正な任命を求め、自らが牽引する労働組合の潮流にふさわしい複数の中央労働者委員の獲得に向けた運動を引き続き強めていく。その運動の発展を具体的な到達で支えるためにも、私たちは労働委員会の積極的な活用を進めると同時に組織の拡大を全力で進め、第37期の中央労働者委員の選任に向け、公平・公正な任命を求める運動を旺盛に進めるものである。
2021年3月3日
全国労働委員会対策会議
全国労働組合総連合(全労連)
純中立労働組合懇談会(純中立労組懇)
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)