新型コロナウイルスが猛威を振るう中、医療提供体制の強化と国民生活への支援・補償が緊急の課題となっています。感染が拡大し「医療崩壊」が叫ばれる背景には、これまでの効率優先の医療提供体制の再編・縮小や、医師・看護師数の抑制政策、そして感染症対策の要となる保健所を減らしてきた日本の公衆衛生政策の削減があります。これが医療や保健衛生行政の現場に多大な混乱と苦難をもたらし、国民のいのちを危うくしています。
安倍政権から菅政権へと継投された自公政権は、無為無策を続け、大都市圏を中心にコロナ対応病床が逼迫し、速やかに入院できず、自宅待機のまま亡くなる事例が相次いでいます。必要な医療が提供できず「救えるいのちが救えない」事態は、菅自公政権による「人災」と言っても過言ではありません。PCR検査数やワクチンの普及は先進諸国の中で最下位です。国民生活や医療が危機的状況であるにもかかわらず、「病床削減推進法案」が、昨日の参議院本会議で、自民、公明、維新、国民民主各党の賛成多数で可決されました。コロナ禍でこの国の医療提供体制の脆弱性が浮き彫りになった中で病床削減を進めることは、いのちを削ることにつながり、断じて許すことはできません。
「声をあげれば変えられる」、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長であった森喜朗氏が、「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」「組織委員会の女性はわきまえている」と発言したことを機に、ツイッターでは「#わきまえない女」などを発信し、国内外でアクションが広がり、森会長を辞任に追い込みました。
いま国際社会は、意思決定の場に女性の参加を増やす努力を積極的に行っています。日本は政治・経済の分野で指導的地位に女性が占める割合が極端に低く、ジェンダーギャップ指数で156か国中120位と世界の中でも圧倒的な後進国です。そこから抜け出すためにも、女性が声をあげ政治を変えていく必要があります。
コロナ禍での貧困は深刻さを増し、その影響は女性労働者により厳しい現実を突きつけています。解雇や雇止めにあった労働者のうちの多くは非正規労働者であり女性です。経営悪化を理由に、非正規女性の多くが雇用の調整弁として真っ先に切り捨てられています。合わせて女性の自殺者も増えています。新型コロナウイルスの影響が「ジェンダー差別」にも顕著に表れています。2021年は、女性差別撤廃委員会にたいして日本政府が条約の実施状況を報告しなければならない年です。女性差別撤廃条約の完全実施を求めると同時に、コロナ対策に「ジェンダー視点」を活かす運動を強めていきましょう。
わたしたちは、これまで「集まって話す」ことを重要な運動の柱として位置づけてきましたが、コロナによってそれすら難しくなりました。それでも「繋がりたい」との思いから、オンラインを使った会議や集会を開催し、様々な矛盾を抱える女性に寄り添い、要求を吸い上げ、職場と社会を変える運動へと発展させてきました。
そして、いよいよ総選挙です。国民を苦しめる悪政から、国民のいのちと暮らし最優先の政治に転換させましょう。その運動の先頭に立って大いに奮闘しましょう。
2021年5月22日
全労連女性部単産・地方組織交流集会