2021年6月16日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤 幸一
1.6月16日、菅政権は野党や多くの国民がコロナ対策の強化にむけた議論をすべきと国会会期の大幅延長を求める声を抑え、第204通常国会を閉会した。いま「東京五輪の中止・延期」を求める世論や国内外のマスコミ報道が日増しに高まっており、専門家は感染拡大の「第5波」は避けられないとしている。しかし、政府は「東京五輪」の強行開催に突き進もうとしている。全労連は国民のいのちや安心・安全の確保よりも東京五輪優先の菅政権に対し、強く抗議するものである。
2.菅政権はコロナ禍で国民が苦しんでいる実態を横目に「好機」として改憲にむけた、改憲手続法(国民投票改定案)の採決をはじめ消費税を利用した病床削減法や高齢者窓口2倍化法、国民監視・個人情報漏洩のデジタル改革関連法が一部野党を抱き込み強行成立させた。また私権制限、住民監視など大きな問題点を孕む土地利用規制法を会期末ぎりぎりの中で強行成立させた。また与野党が合意したにもかかわらず、自民党によってLGBT法案の提出が見送られた。世界のすう勢である多様性の尊重、差別解消の流れに逆行するものである。
コロナ禍で、逼迫する医療体制、国民が健康と生活の不安を抱え、本来ならコロナ対策に集中すべきなのに、野党や国民が求める慎重審議や反対の声を黙殺し、多くの悪法の成立を強行した。まさに言語道断である。
3.与党が「数の力」で悪法成立を進めるなかで、一方、全労連は市民と野党共闘の力で悪法阻止のたたかいをおこなってきた。この間、度重なる政府・厚労省への要請を通じて不十分ながらもコロナ禍での病院経営への補填をはじめ特別定額給付金、雇調金制度特例措置の延長、持続化給付金、非正規労働者への休業支援等を実現してきた。またコロナ対策にむけた野党共同提出法案は10本にのぼっている。
「政治とカネ」問題でも国会での真相究明とあわせ、三大国政選挙で野党統一候補が勝利、菅政権に痛打を与えた。またスリランカ人女性の死亡事故を機に非人道的な入管改正法案廃案を求める世論と運動が高まり、成立断念に政府を追い込んできた。
4.全労連は国民が苦しんでいるコロナ禍を理由にして悪法や改憲策動を強める菅政権に強く抗議する。
改めて「東京五輪」強行開催の中止、政権すべての力を感染防止に集中し、国民のいのちとくらしを最優先し、国民の不安を払しょくする十分な補償を含むコロナ対策に傾注することを強く求める。
全労連は「いのち守る緊急行動」をはじめ全国一律最賃制1500円、公務員賃金の引上げなど引き続き「コロナ禍だからこそ、賃上げ・底上げ」実現にむけて夏季闘争での要求前進にむけて奮闘する。同時に国政選挙の前哨戦である東京都議会選挙や来る解散総選挙で自公政権に国民の厳しい審判を下し、市民と野党共闘による国民のいのちと生活優先、憲法をいかす政治の転換にむけて奮闘することをここに表明する。
以上