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【談話】コロナ感染者の「自宅療養原則」は政府の責任放棄
撤回と医療・介護・保健所体制の早急な拡充を求める

2021年8月4日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤幸一

 新型コロナウイルス感染拡大の第5波が急速に広がるもと、菅政権は、「自宅療養原則」により新型コロナウイルス感染者の入院対象者を重症者らに絞り込むとした政府方針を打ち出した。
 「デルタ株の感染力が高く、以前と違うフェーズに入った」ことを言い訳にして、「自宅療養原則」を押し付け、国民の命を守る政府の責任を放棄する方針である。断固抗議するとともに、方針を直ちに撤回し、医療・介護・保健所の拡充を早期に図るよう改めて求める。いのちの問題を国民の自己責任・自助に転嫁する政府の姿勢は言語道断である。

 今回の政府方針は、全労連も早くから指摘していた、医療ひっ迫ではなく医療崩壊の現状を自ら認めたものだ。
 医師や看護師、保健師がコロナ禍以前から足りないという現場の声には耳も傾けず、コロナ禍においても過酷極まりない現場実態を放置し、それどころか医療提供体制に負荷をかけるオリンピック開催に固執しつづけてきた政府の責任が厳しく問われなければならない。
 治療の必要性とその方法は、医師にしか判断できない。政府が基準を示せば良いというものではない。「重症化したら入院治療」では、自宅で病状が急変するケースに対応できず守れる命を守れない。「早期発見、早期隔離、早期治療」が図れる体制を整えることが政府の役割であり責任である。近くに医師や看護師などの医療スタッフがいるはずもない自宅が療養の場になり替われるはずがない。
 大阪府では3月以降の第4波で医療崩壊に直面し、1200人もの命が奪われる大惨事となった。当時自宅療養者は最大1万5千人を超え、病状悪化後も医療を受けられないまま19人が死亡している。保健所の体制がまったく足りず、感染者と連絡を取る前に亡くなる事例もあったという。すでに、第5波の水準は同様の状態になっていると懸念せざるを得ない。

 もはや一刻の猶予も許されない。
 政府は、直ちに直面する医療崩壊を打開するため、「自宅療養原則」は撤回し、国会を開き、有識者や現場の声に真摯に耳を傾け緊急対策を実施すべきである。感染拡大を抑止していくためにも、全労連がこれまでも要求してきた抜本的な検査体制の拡充、医療・介護・保健所体制の抜本的な拡充を、国の責任で今すぐに行うべきである。
 全労連は、いのちまで自己責任をもとめる政府に断固抗議するとともに、東京五輪を中止し、感染防止に全力をあげるよう求める。いのち守る緊急行動を通じ、国民のいのち・くらし最優先の社会を求め奮闘していくものである。

以上

 
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