TOP 全労連紹介 ニュース オピニオン 労働法制 賃金闘争 憲法・平和 くらし・社会保障 非正規全国センター 全労連共済 青年 女性 English
 
BACK
TOP
オピニオン
 

【全労連事務局長談話】最賃改定にあたっての談話

2021年10月1日
全国労働組合総連合(全労連)
事務局長  黒 澤 幸 一

 10月1日、多くの地方で最低賃金が改定される。
 昨年は、新型コロナウイルス感染症拡大による経済への影響や中小企業が置かれている厳しい状況等をふまえて「雇用の維持が最優先」などを理由に「現行水準を維持することが適当」としての中央最低賃金審議会は目安額を示さなかった。
 今年もコロナ禍が続く中ではあるが、中央最低賃金審議会は最低賃金の引き上げを含めた賃金の引き上げによって「可処分所得の継続的な拡大と将来の安心の確保を図り、さらに消費の拡大につなげるという経済の好循環を実現させることや非正規雇用労働者の処遇改善が社会的に求められている」として、すべてのランクで28円引き上げる目安を答申した。
 全労連は7月16日、中央最低賃金審議会が答申した目安に対して、「答申された目安額は、私たちが求めてきた「全国一律1500円以上」には程遠く、目安の一律28円の引き上げでは現状の221円もの地域格差も放置されたままであり、極めて遺憾である」として、「当事者の声を前面にかかげ、組合員の総力をあげて、目安額を上回る大幅な引き上げで、賃金の引き上げ、地域間格差の是正などに全力をあげる。同時に、全国一律最低賃金制度の確立に向けていっそう奮闘する決意である」との事務局長談話を発表した。
 中賃の目安を受けて、地方最低賃金審議会では労働者委員が目安を上回る引き上げを求める一方、経営者委員はゼロ円改定を主張するなど厳しい審議がすすめられた。
 全労連と地方組織は最低賃金の大幅引き上げと格差是正を訴えたほか、審議会の労働者委員の奮闘もあり、プラス4円が島根県、プラス2円が秋田県・大分県、プラス1円が青森県・山形県・鳥取県・佐賀県と、7県で中央最賃の「目安」を上回る答申が出された。いずれもDランクの地域で目安を上回る改定が行われたのは、最低賃金の引き上げと地域間格差の是正を求める地方の切実な声が示されたものといえる。
 引き上げ額は1978年に目安制度が始まって以降で最高となったが、一番高い東京都(1041円)と最低額の県(820円)との差は221円で昨年と同額となった。
 全労連はこの間、全国各地で最低生計費試算調査を行い、現在の最低賃金の水準では最低限度の生活が営めないことを明らかにしてきた。そして、生計費に地域間格差が存在しないことも実証してきた。この調査結果をふまえ、全国どこでも誰もが8時間働けば人間らしく暮らせる賃金水準として「1時間あたり1500円以上」を求めてきた。この水準は、労働によってしか生活の糧を得ることができない労働者の切実な要求であり、社会的合意を拡げてきた。
 最低賃金の地域別ランク制度は、制度的に限界にきていることは明らかだ。最低賃金が労働人口の都市部集中、地域の過疎・高齢化、地域経済の疲弊、さらに、日本の低賃金の温床にもなっている。全労連は、1989年の結成時に定めた行動綱領で「全国一律最低賃金制の実現」を掲げ、世論に訴え、社会的合意を拡げてきた。現行方式は業者間の公正競争の阻害要因との指摘もなされている。厚生労働省は、われわれの指摘を真摯に受け止めなければならない。
 間近に迫る総選挙に向けて、9月に市民連合と政策合意した立憲民主党、日本共産党、社民党、れいわ新選組の野党4党は、選挙公約として「最低賃金を1500円」に引き上げる公約をこぞって掲げた。
 全労連は、安倍・菅政治が続けてきた財界・大企業優先の経済政策から労働者のくらしを底上げする国民本位の経済政策に転換し、中小企業支援の拡充とあわせて、人間らしい最低限度のくらしを保障する「全国一律最低賃金制」と最低賃金1500円の実現を求めて、さらに運動を強める決意である。

以 上

 
〒113-8462 東京都文京区湯島2−4−4全労連会館4F TEL(03)5842-5611 FAX(03)5842-5620 Email:webmaster@zenroren.gr.jp

Copyright(c)2006 zenroren. All rights reserved.