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【談話】3.8国際女性デーと政府のメッセージについて

2022年3月9日
全労連事務局長 黒澤幸一

 岸田首相は3月8日、「3.8国際女性デー」にあたってビデオメッセージを発信しました。
 「男女共同参画は、我が国政府の重要かつ確固たる方針であり、国際社会で共有された規範だ」「私の内閣が目指す個性と多様性を尊重する社会において不可欠な要素」「ジェンダーギャップ指数が世界第120位に表れているように、我が国は、諸外国に比べて大きく遅れている」としました。また、その背景に「男女間の賃金格差や固定的な性別役割分担意識がある」と指摘し、対応の鍵は「女性の経済的自立を図ることにある」と述べて、「新しい資本主義の中核と位置付けた」としました。男女平等の実現を経済的利益の確保のための戦略としかみない的外れな内容です。
 新型コロナウイルス発症が初めて確認されてから2年が経過しました。政府は、病院ベッドの削減ありきの地域医療構想を継続するなど、国民のいのちと暮らしを守ることに背を向けてきました。コロナ危機の下、非正規雇用で働く多くの女性が職を失っています。経済的困難を抱え、格差と貧困は一層拡大し、女性の自死が急増しています。また、環境が一変しハラスメントが増えている実態があります。
 日本の男女賃金格差は、正規雇用の男性を100としたときに、女性の正規雇用は70、非正規雇用は28(2020年国税庁民間給与実態調査)とジェンダー差別が放置されたままです。背景には、日本における性別役割分担、異常な長時間労働、貧困な社会保障等があります。さらに家庭的責任の多くを女性が担うのがあたりまえとされ、子育てや介護を契機に仕事を辞め、非正規雇用を選択せざるを得ない現状に追い込まれています。
 政府は、「我が国及び世界の全ての女性のために力を尽くす」と言うのであれば、まず、日本で、真の同一労働同一賃金を徹底してください。最低賃金を国際水準である全国一律1500円に改善してください。また、政府としてケア労働者の大幅賃上げを行ってください。政府が打ち出した施策では、対象者が限定され、申請時間が短く、職場からは「一桁足りない」「職場の分断につながる」「申請締め切りを伸ばしてほしい」などの声が上がっています。コロナ禍のいまこそ、すべてのケア労働者の大幅な賃上げを行うべきです。
 女性の権利を国際水準にするべく「女性差別撤廃条約選択議定書」の批准と、「選択的夫婦別姓制度」の導入、女性に対する暴力を根絶するための刑法改正、ハラスメント禁止法の整備を求めます。我が国の指導的地位・意思決定機関に占める女性の割合を、まずは30%以上に引き上げてください。
ジェンダー平等と平和を私たちの手で
 国際女性デーは、世界の女性が「パンと権利と平和」のために立ち上がる日です。しかし、2022年は、2月24日にロシア政府がウクライナに侵略戦争を強行するという、許されない事態のもとでの開催となりました。日本国憲法第9条は「戦争を放棄し、戦力(武力)を持たず、国の交戦権を否定する」ものです。唯一の戦争被爆国である日本がイニシアチブをとって、平和外交に努めると共に核兵器禁止条約を直ちに批准することを求めます。また、第24条が「家庭生活における個人の尊厳と、両性の平等」と謳うように、女性の権利を早期に国際水準に引き上げることを求めます。
 全労連は、3.8国際女性デーにあたって「ジェンダー平等実現と平和を」私たちの手でつくることを誓いあい、全力を尽くす決意です。

以上

 
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