2022年6月8日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤 幸一
6月8日、ILO105号条約の批准が国会で承認された。全労連は、ILOが進めるディーセントワークの要となる「強制労働廃止条約」が批准されたことを歓迎する。これにより、中核8条約のうち7条約が批准されたこととなる。
ILOは、1998年にILOの基本的原則と労働の権利に関する宣言を採択してから中核8条約を定め、加盟国に対しフォローアップを求めてきた。この中核8条約について日本政府は、宣言の採択時には半数の4条約しか批准していなかったが、全労連など労働組合の声を背景に児童労働に関する条約を批准する対応を図ってきた。しかし、105号条約(強制労働廃止)と111号条約(雇用及び職業の差別禁止)は、公務員法が規定する政治的活動に対する罰則規定などを理由に批准できないとされてきた。
長年にわたり批准できない状況が続いていたが、ILO国会議員連盟が条約批准に向けた議論を重ね、批准に必要な関係法の改正法案を昨年にとりまとめた。直ちに議員立法で国会に上程され、可決・成立に至った。これにより、今通常国会に政府は条約の批准案件を提出するに至ったものである。
5月27日から第110回総会がジュネーブで開催されている。総会では、新たな条約の策定に向けた議論が行われるなど、国際労働基準がますます発展しつつある。経済のグローバル化とともに、国際労働基準に対する関心は高まっており、国際取引の条件として中核8条約の批准がとり上げられることも少なくない。
この点から、残る111号条約の批准は急ぐべき課題となっている。日本政府は、条約の批准に多くの法改正を伴うことから、消極的な姿勢に終始しているが、こうした姿勢を直ちに転換すべきである。全労連は、111号条約を速やかに批准するよう政府に求める。
ウクライナに対するロシア政府による侵略など不安定な国際情勢の下、資源価格が大幅に上昇するだけでなく、工業製品や電化製品、自動車などの生産にも影響している。国民のくらしに多大な暗い影を落としており、政府による対策の強化が求められる。
全労連は、ディーセントワークの実現を求め、毎月定例で宣伝行動をとりくんできた。引き続き、大幅賃上げ・底上げ、公務・公共サービス・教育の拡充、憲法改悪反対、防災・感染症対策の強化など、諸要求の前進めざして全国の仲間とともに全力で奮闘するものである。
(以 上)