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【談話】原発事故に対する国の責任を認めない判決は許されない 6・17最高裁判決にあたって

2022年6月21日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤幸一

 最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は6月17日、福島(生業)と群馬、千葉、愛媛の原発事故避難者が国に損害賠償を求めた訴訟について、4人中3人の多数意見として「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性が相当ある」と国の責任を免罪する統一判断を下した。避難生活を余儀なくされている被害者の声に背を向け、原発事故から11年が経過しても収束の見通しも立たない過酷事故の重大さにも目をむけない判決は到底受け入れられない。

 原発被害者がこの裁判で求めたものは、国の地震調査研究推進本部が2002年に公表した地震予測「長期評価」にもとづく津波対策を怠った東京電力に対して、国策として原発を推進してきた国が安全確保のための規制権限を行使しなかった責任を問うものであった。
 多数意見は、「長期評価」にもとづき防潮堤が設けられたとしても、想定よりもはるかに津波の規模が大きく、広範囲なものであり、「大量の海水が敷地に侵入することを防ぐことはできなかった可能性が高い」として国家賠償責任を問うことはできないとした。この多数意見は、「想定外」の地震、津波だから仕方なかったとする国側の主張を受け入れた不当なものである。

 一方、三浦守裁判官の反対意見では、「『想定外』という言葉によって、すべての想定がなかったことになるものではない」、「保安院及び東京電力が法令に従って真摯な検討を行っていれば、適切な対応をとることができ、それによって本件事故を回避できた可能性が高い」と国の責任を認めている。
 原発事故以降も、今年5月の北海道電力泊原発の運転差し止め判決に端的に示されているように、津波対策をはじめ原発事業者のおざなりな安全対策は続いている。国も住民の安全を確保するための電気事業法にもとづく規制権限を行使しようとしていない。岸田政権や自公与党、維新の会や国民民主党などは老朽原発を含む再稼働を推進しているが、だれも責任を取らない原発は動かしてはならない。

 全労連は、引き続き係争中の原発避難者の訴訟を支援するとともに、原発事故に対する国の責任を明らかにし、原発政策を転換するよう求めていく。同時に、原発事故被害者の救済と賠償、福島の真の復興を実現するとともに、原発の再稼働や原発の新増設に反対し、原発ゼロ、再生可能エネルギーへの抜本転換を実現するために広範な国民とともに奮闘するものである。

以 上

 
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