全労連は2022年7月27〜29日に開催された第31回定期大会において、以下のジェンダー平等宣言を採択しました。
全国労働組合総連合は、行動綱領「希望に輝く未来のために」で「身分・人種・国籍などによるあらゆる差別の撤廃と、男女平等をはじめ、すべての人々の基本的人権の保障」を目標に定め、運動を進めてきました。
政府と財界は、「男性稼ぎ主モデル」の日本型雇用によって、男性に長時間労働を、女性には不安定雇用を押しつけてきました。雇用機会の均等や「女性活躍」を唱えつつ、女性差別を温存し、女性労働を「家計補助的」として低賃金を押しつけ、非正規雇用を拡大するなかで労働者全体に低賃金構造をつくりだしています。男女の賃金格差、雇用格差、ケア労働者の低賃金水準などその根底に個人の尊厳を奪うジェンダー差別が存在しています。女性をはじめ、子育て、介護などケアを担う世代の要求を反映した労働組合運動の在り方を示していくことは、全労連にとって喫緊の課題となっています。
選択的夫婦別姓制度に自民党は後ろ向きで、日本社会にはいまだに家父長制が根強く存続するとともに、権力が「家庭」への介入を強めています。「男性優位」が当然視され、女性も男性も個性より「らしさ」を強要されて、人間らしく生き、働くことを奪われています。看護、介護、保育などケア労働を低賃金労働として女性に課し、政治はその専門性を認めず価値を貶めきました。性の多様性を認め合うジェンダー平等を実現する社会は、個人の尊重、法の下の平等、両性の平等を保障する日本国憲法を生かすものです。
個人の自立を支えるとともに、だれもが仕事と家族的責任の両立がはかられる賃金、労働法制、社会保障制度が求められています。そのために、すべての労働者にディーセント・ワークが保障されることが必要であり、ジェンダー平等の実現が不可欠です。
ジェンダー平等が労働運動と社会のなかに根付き、だれもが差別や抑圧から解放されることを全労連と全労連加盟のすべての組織はめざします。
- 全労連運動においてジェンダー平等を推進するため、全労連加盟のすべての組織が学び、話し合い、行動します。
- 男女の賃金格差の是正、均等待遇、労働時間の大幅短縮など、だれもが仕事と家族的責任の両立がはかられ、人間らしく生きる権利を保障する労働条件、職場環境、制度・政策の実現をめざします。
- あらゆる意思決定の場で男女同数の参加をめざし、多様な要求をもとにした方針が決定される組織づくりをすすめます。
- 非正規雇用で働く労働者、女性、青年の多様な要求を組織し、主体的に参加できる運動づくりをすすめます。
- 労働組合運動を含め、あらゆる場でハラスメントなど人権侵害を許さず、個人が尊重される職場、社会をめざします。
- 全労連は、上記1から5について到達度や実施状況を定期的に検証し、課題をもってとりくみを強化します。
以上