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【談話】物価高騰から暮らしを守るためにも地方最賃審議会では目安を大幅に上回る引き上げを勝ちとろう

2022年8月2日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤 幸一

 中央最低賃金審議会は8月2日、2022年度の最低賃金について、ABランク「31円」、CDランク「30円」、加重平均で961円(3.3%)の目安を厚生労働大臣に答申した。
 審議で示された賃金上昇率は、Aランクで1.4%、Bで1.3%、Cで1.6%、Dで1.9%と最低賃金が低い地域ほど高く、さらに物価高騰は低所得者ほど重荷になることを考えると、地域間格差が広がる当目安は根拠も不明確であり看過することはできない。また、最低賃金決定の3要素のうち「今年度は、特に労働者の生計費を重視した目安額とした」としているが、少なくとも3%程度の物価上昇を考慮すれば、昨年の28円に物価上昇分を加味しなければ現在の生計を維持することすら否定されたことになる。
 世界に目を向けると、物価高騰のもとで最低賃金が大幅に引き上げられている。ドイツでは10月から12ユーロ(約1,576円)イギリスでは4月から9.5ポンド(約1,473円)、フランスでは5月から10.85ユーロ(約1,425円)などだ。(※いずれも21年平均為替レート)

 経営者側は最低賃金の引き上げを容認しつつも、資材高騰分を価格転嫁できずに収益が圧迫されていることを理由に引き上げ幅は小幅にとどめたい考えを示していた。しかし、財界からも「まず早急に最低賃金をすべての都道府県で1,000円以上とし、数年後には1,500円まで引き上げることも視野に進めるべきだ」(サントリーHD新浪剛史社長)との提言も出されているなど、経済を好循環させるには賃金の引き上げが必須と言える。
 6月24日、全労連は中央最低賃金審議会に対して「物価高騰が暮らしを直撃するなかで最低賃金の抑制は許されない〜貧困と格差を是正し、生活を守るためにも最低賃金の大幅な引き上げと全国一律制の実現を」求める意見書を提出した。全労連と地方組織は、全国27の都道府県で「最低生計費試算調査」を取り組み、その結果から「8時間働けば人間らしく暮らせる」には、全国どこでも月額24万円(時給1,500円)以上必要であることを明らかにしてきた。
 格差が広がっている地方は切実である。2021年度だけでも12の道府県と124の市町村議会で最低賃金の引き上げと格差の是正、中小企業に対する支援の強化を求める意見書が採択され、その声は年々広がってきている。

 岸田首相は「骨太の方針2022」で「できる限り早期に全国加重平均が1,000円以上となることを目指す」としているが、2010年には「2020年までに全国平均 1,000 円を目指す」という政労使の「雇用戦略対話合意」が成立しており、すでに1,000円を超えなければならないはずだった。しかし、答申された「目安」どおりなら、最低の地方は850円、加重平均の961円を下回るのは40道県にも及ぶ。
 最低賃金の決定に向けた審議が地方最低賃金審議会で始まっている。地方では昨年、7県で「目安」を上回る引き上げを実現させてきた。
 全労連は、当事者の声を前面にかかげ、組合員の総力をあげて、目安額を上回る大幅な引き上げで、地域間格差の是正に全力をあげる。同時に、全国一律最低賃金制度の確立に向けていっそう奮闘する決意である。

以上

 
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