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【談話】2022年人事院勧告にあたって
〜公務員の労働基本権回復で大幅賃上げの実現を〜

2022年8月10日
全国労働組合総連合
事務局長 黒澤 幸一

 人事院は、8月8日に国家公務員の給与について、民間との較差が0.23%、921円あるとして引き上げを行うよう政府・国会に勧告した。また、一時金についても0.1月の引き上げを行うよう勧告した。
 3年ぶりとなる本俸の引き上げ勧告は、全労連・国民春闘共闘がケア労働者の賃上げを中心に粘り強く春闘をたたかってきたことの成果である。しかし、今回の勧告は、わずかな引上げにとどまったことから、若年層の賃金改定だけとなっており、中高年齢層は改定されていない。次々と生活必需品や食品が値上げされており、実質賃金は減少の一途だ。公務員賃金の大幅引き上げを行うよう求める。
 また、一時金が0.1月分の引上げだが、昨年の人事院勧告に基づく一時金削減が0.15月であったことから、6月賞与で0.3月分減額されており、今年の年収は昨年よりも大きく減少している。政府は、実質的な収入が減少していることをふまえ、すべての労働者の賃金引き上げが実現されるようこれまでにない施策を行うべきだ。

 勧告では、国家公務員の高卒初任給を4,000円引き上げるとした。これにより、時間単価は24円引き上げとなる。しかし、中央最低賃金審議会は8月2日、2022年度の最低賃金について、ABランク「31円」、CDランク「30円」、加重平均で961円(3.3%)の目安を厚生労働大臣に答申している。若年層を重視し、初任給の引上げ幅は約30年ぶりともなる大幅な引き上げだとされているが、最低賃金の加重平均と時間単価の格差は拡大している。この点でも、積極的な賃金改善を図るべき必要性が明らかだ。

 賃金制度に関しては、改善すべき問題が山積している。特に検討すべきことは、定年引き上げに伴う60歳を前後する賃金カーブのあり方、本府省と地方出先機関との機関間格差と地域間格差の是正などである。人事院は、今回の勧告において「給与制度のアップデート」を図るとして、来年には骨格案を提示した上で順次成案を図っていきたいとしている。山積する課題を解決するために見直しを行うことは必要だが、労働基本権制約の代償機関として、労働者の声をしっかりと受け止めた検討が必要だ。

 全労連は、公務員賃金の大幅な引き上げ、格差是正を強く求める。同時に、全国各地で最低賃金引き上げのたたかいを進めている。当事者の声を前面にかかげ、組合員の総力をあげて、最低賃金の目安額を上回る大幅な引き上げ、全国一律最低賃金制度の確立に向けていっそう奮闘する決意である。
 まもなく地方自治体の人事委員会勧告が行われる。全労連は異常な低賃金・物価高騰から生活を守るために「もう黙っていられない賃金上げろ!全国アクション」を展開している。このとりくみと一体で今年秋の確定闘争に全力を上げる。
 人事院勧告制度が「ガラスの天井」のように賃金を抑制する役割を果たしてきた。公務員の労働基本権を回復させ、公務・民間一体となった運動で大幅な賃金引き上げ実現をめざし、全力で奮闘する。

以上

 
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