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【談話】「経済財政運営と改革の基本方針2023」などに対する談話

2023年6月19日
全労連 事務局長 黒澤 幸一

 政府は、6月13日に「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)」と「こども未来戦略方針」を閣議決定したのに続き、6月16日には「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」等、「経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太方針2023)」を閣議決定した。

 女性版骨太方針では、第一に女性の登用を加速させるとして、上場企業で女性役員を2030年までに30%以上へ引き上げるなどとしている。第二に女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の強化を掲げ、長時間労働慣行の是正、多様で柔軟な働き方の推進などを進めるとし、第三にDV対策や性犯罪・性暴力対策の強化など、生涯にわたる心身の健康への支援を図るとしている。
 211通常国会では、入管法やLGBT法などにおいて多数派の声に配慮することが優先され、難民や障害を持つ当事者の切実な声には耳を傾けず強行成立させた。こうした政治状況のもとでは、岸田首相が述べた「すべての人が生きがいを感じられ、多様性が尊重される、持続的な社会の実現」とはまったく逆方向といわざるを得ない。

 こども未来戦略方針は、三つの基本理念(若い世代の所得を増やす、社会全体の構造・意識を変える、)全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する)を掲げ、今後3年間の集中的なとりくみを示した。児童手当やこども医療費の無料化など、直ちに実行すべきと考える政策は多いが、そもそも家族形成を躊躇する低賃金・不安定雇用を改善させる対策は打ち出されていない。財源の確保にあたっては、高齢者の負担拡大や給付削減が検討されており、本末転倒である。政府・与党などは、大軍拡のための財源確保法を成立させたが、社会福祉や社会保障費の財源に対しては冷たい態度をとり続けている。

 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版では、日本経済の様々な構造問題を背景とする人への投資や設備投資の遅れといった課題を更に加速して取り組む必要性があるとし、人への投資・構造的賃上げと「三位一体の労働市場改革の指針」を示した。そこでは、リ・スキリングなどによって成長分野への労働移動の円滑化を進めることにより賃金が上昇するとしている。
 その狙いは、働くルールの改悪に他ならない。「日本型職務賃金」「ジョブ型雇用」「多様な社員」等の制度導入は、雇用の重層的な分断、差別化、不安定化であり、賃金の生計費要素や手当の削除、評価制度の強化と個別賃金管理の徹底であり、賃上げにはつながらない。そもそも転職希望者に「投資」する使用者はいない。岸田政権の労働政策は破綻している。

 「経済財政運営と改革の基本方針20203」は、その策定過程からみても財界がリードしているが、経済成長さえすればバラ色になるとの夢を描いている。そのため、少子化対策や雇用対策のいずれも経済成長のための手法としか見ていない。本来行うべきは、国民ひとり一人の幸福につながる労働者の権利保障や子どもを安心して生み・育てることができる環境を創り上げることだ。つまり、人権が守られることだ。
 全労連は、すべての働くものが安心して働き続けることができる社会をめざし、全国一律最低賃金制度の確立をはじめ、社会保障の拡充を求め、広範な人々との共闘で要求前進をめざす。

以 上

 

 
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