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【談話】2023年度最低賃金額改定の目安に関わる議論開始にあたって
「最低賃金の地域間格差解消と大幅引き上げを求める」

2023年6月30日
全国労働組合総連合 事務局長 黒澤幸一

 本日、加藤勝信厚生労働大臣は、中央最低賃金審議会に2023年度の最低賃金額確定改定の目安について、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改定版及び経済財政運営と改革の基本方針2023に配意した調査審議を求める」と諮問した。今年10月の最低賃金改定に向けた議論が開始された。
 基本方針2023など示している政府方針は、「今年は全国加重平均1,000円の達成を含め、しっかりと議論を行う。また、地域間格差は、地域別最低賃金の最高額に対する最低額の比率を引き上げる等、地域間格差の是正を図る」としている。
 全労連は、「最低賃金を全国一律1500円以上」に大幅引き上げ、格差を解消するように求めている。中央最低賃金審議会に、この全国一律1500円以上にすることを決断し、5年で達成できるように、年100円程度の引き上げを計画的にすすめる水準の目安を少なくとも示すよう求める。
 最低賃金は、現在、全国平均で961円(昨年平均引き上げ額31円、3.3%)、最高が東京1072円、最低は853円で青森、秋田、愛媛、高知、宮崎、熊本、佐賀、長崎、鹿児島、沖縄の10県で、生活できない水準のままである。ここ5年間の平均引き上げ額を見ても、2018年26円、19年27円、20年1円、21円28円、22年31円と「昨年は過去最高額」と言うが、労働者の生活実態を顧みない極めて低い改定である。さらに、地域間格差が219円(20.4%差)もある状態が放置されたままである。仮に、3%ずつの引き上げで単純計算すると、平均961円が1500円になるのは16年後の2038年、853円の地域は20年後の2043年である。待つことはできない。
 日本は、四半世紀におよぶ実質賃金低下の上に、歴史的な物価高騰が労働者・国民の生活を脅かしている。5月の消費物価指数は、前年同期比3.2%の上昇である。生鮮食品を除く「食料」が同9.2%の上昇で、1975年10月(9.9%)以来、47年7カ月ぶりの上昇率となっている。23春闘で20数年ぶりの高い賃上げが行われているが、4月の実質賃金は、前年同月比4.1%も減少する事態となっている。
 海外では、物価高騰に対して最低賃金を抜本的に引き上げ、労働者の生活を守る政策が取られている。報道によれば、オーストラリアは7月から8.7%引き上げ2,230円とする。米国ロサンゼルス市は、7月から時給15ドルから16.04ドル(約2000円)に引き上げられる。
 全労連は、最低賃金の格差を解消し、全国一律制に法改正するよう求める運動を全国で展開している。最低賃金の低い地域は、経済的格差となり、少子化や人口流失、人手不足、さらに教育格差にまでつながり、地域衰退の深刻な原因となっている。ランク数が4から3へ縮小されたが、これだけで地域間格差が縮小されるわけではない。目安審議の中で格差解消に向けた抜本的な改定議論を求める。そして、繰り返しになるが、悠長な引き上げではなく、生計費に基づく抜本的な引き上げを求める。
 全労連には、「子どもが食べざかりでやりくりが大変だ」(大阪・パート労働者)など、切実な声が多数寄せられている。全国の仲間と全力をあげて運動を展開することをここに表明する。

以 上

 

 
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