【日韓労組共同声明】
全労連と韓国民主労総は、7月8日にソウルで行われた「日本の核汚染水海洋投棄を阻止! 7.8日韓労働者大会」にあわせて、日本政府と東京電力が計画するALPS処理水/汚染水海洋放出に反対する以下の共同声明を発表しました。また集会には、全労連の小畑雅子議長、福島県労連の野木茂雄議長がビデオメッセージを送り、全労協の渡邊洋議長も文書でメッセージを送り連帯を表明しました。
韓国・民主労働組合連盟(民主労総)/全国労働組合総連合(全労連) 共同声明
2023年7月8日
日本政府が「夏ごろ」としているALPS処理水/汚染水の海洋放出が迫っている。放射性物質を含む水の太平洋への放出は、日韓両国で漁業関係者をはじめ多くの労働者・国民が懸念や反対の声をあげており、絶対に認められない。日本政府が当初約束していた十分な説明と理解は、被災地福島をはじめ、日韓両国、周辺の国の国民から得られているとは到底言えない。日韓両国および周辺国の労働組合は、連帯して抗議の声を上げる。
日本政府と東京電力は東京電力福島第一原子力発電所からのALPS処理水/汚染水の放出について、2015年には福島県漁業協同組合連合会に対し、文書で「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」としていた。今年6月の担当大臣と漁連の意見交換でも、改めて反対の意見が表明された。地元のいわき市議会も関係者の理解なしの放出に反対する意見書を採択。全国市長会も「海洋放出によらない新たな処理、保管方法を国の責任で検討」することを求める決議を採択している。
福島第一原発事故から12年が経過したが、いまだに被害は続き、多くの人が故郷に戻れず、被災者への補償も十分に行われていない。しかも政府は原発の稼働上限を60年に引き上げる「GX脱炭素電源法」を可決し、原発推進を明確にしている。
韓国では最近の世論調査で国民の85%が核汚染水海洋放出に反対し、80%は日本政府の主張が信頼できないとしている。だが、尹錫悦政権はこのような国民の意志を日本政府にきちんと伝え最善の安全策を講じるのはおろか、むしろ国民を相手に争っている。日本政府と東京電力が計画した海洋放流の手続きが国際安全基準に合致しているかのだけに限られたIAEAの検討への問題提起を「怪談」だとおとしめ、「怪談話が過ぎれば司法当局はそれなりの措置をとる」と脅しもはばからない。さらに尹錫悦政権は、日本政府と同じように「脱・脱原発政策」を公式に進め、2030年まで原発の割合を30%以上に増加させるというエネルギー政策の方向を発表している。
民主労総をはじめ韓国の市民・環境団体は、日本政府が核汚染水の海洋投棄を決定した2021年5月から「日本の放射性汚染水海洋投棄を阻止するための共同行動」を結成し闘っている。民主労総は、「労働、民生、民主、平和を破壊する尹錫悦政権退陣」を要求する7月ゼネストを行っており、主要な要求項目には「核汚染水の海洋投棄阻止」も含まれている。「守ろう、学生と海を!」というスローガンで全国教職員組合が行った「汚染水海洋投棄反対教育主体共同宣言」には18,735人が賛同し、オーガニック無償給食の道を切り拓いてきた学校給食の労働者たちは、「学生たちに核汚染の食材料の給食を食べさせられない」として反対の記者会見を行った。
民主労総と全労連は、日本と韓国の労働者民衆が日本政府の汚染水海洋放出を阻止するための闘いに、共に賛同することを訴える。
汚染水の放出を押し付ける日本政府、東京 電力に抗議の声をあげ放出をやめさせよう。この問題に取り組む両国、周辺国の労働組合や市民社会を連携と連帯を強め、反対の世論をさらに強化しよう。
(以上)