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【談話】2024年人事院勧告にあたって

2024年8月9日 全国労働組合総連合 事務局長 黒澤幸一

 人事院は8日、政府と国会に対して、国家公務員の給与に関する勧告と人事管理に関する報告をおこなった。給与に関する勧告は、本俸について、公務・民間較差が11,183円(2.76%)であることから、高卒初任給を21,400円引き上げるとともに全体の俸給表の改定を行った。また、一時金については0.10月分、今年度については、12月期の期末手当及び勤勉手当に配分し、来年度以降については、6月期及び12月期が均等になるよう配分するとしている。
 昨年を上回るベア勧告であると同時に、俸給表は初任給・若年層だけでなく、再任用職員も含む全体の改善となったことや期末手当を含む一時金の引上げは、ストライキを背景にたたかった24春闘における民間でのたたかい、大幅賃上げ署名や500名が結集した中央行動など、たたかう労働組合・全労連の公務・民間共同のたたかいが反映されたものである。
 しかし、今回の俸給引き上げ額は、この間の物価高騰には到底及ばず、極めて不十分なものである。度重なる自然災害などから国民の安全・安心を守るために奮闘してきた公務労働者の生活を改善するにはほど遠く、私たちの要求に応えない極めて不満な内容である。
 給与勧告とあわせて勧告された「給与制度のアップデート(社会と公務の変化に応じた給与制度の整備)」は、「優秀な人材確保」のためとして、公務職場を分断する「能力・実績主義の強化」が強く押し出されている点については、看過できるものではない。
 手当の見直しでは、地域手当や寒冷地手当、扶養手当で不利益変更となる内容が示されている。特に、地域手当については、都道府県単位に原則一律化されたが、地域間格差は依然として解消されず、今回の見直しによって、現行水準を下回る地域が多数生じていることから、断じて容認できない。加えて、こうした不利益変更が十分な労使協議もないままに勧告されたことは決して許されるものではない。
 公務員人事管理に関する報告において「官民給与も比較を行う際の企業規模」の見直しに言及した点は、私たちの長年の要求が反映したものとして評価する。次年度から比較企業規模の引き上げを行うことを求める。
 非常勤職員について、人事院は6月28日に「3年公募要件」を撤廃した。これは国だけでなく地方自治体や教育現場などで働く非正規公務員と私たちのたたかいの成果である。今後は、適正な運用を求めるとりくみを強めるとともに、病気休暇の有給化や採用年度当初からの年休付与の実現にむけて、労働組合との誠実な協議を求める。
 今後、地方人事委員会での改善勧告を求める取り組みをすすめるとともに、確定闘争として再任用職員と会計年度任用職員の処遇改善など均等待遇にむけたたたかいを強化していく。また、独立行政法人等での賃金改善を勝ちとるため、公務大産別の団結を強化していく。
 「官から民へ」のかけ声のもとですすめられてきた公務部門の民営化などの問題点が明らかになり、国民のいのちとくらしを守るために、公務が果たすべき役割が注目されている。今こそ公共を再生し、国民の手に取り戻す共同の運動を広げていくことが求められている。
 全労連は、国民の安全・安心を守るため、すべての公務労働者の労働条件改善のために引き続き公務・民間一体のたたかいを強化し奮闘するとともに、公務労働者の労働基本権回復にむけたとりくみをよりいっそう強化していく。

以 上

 
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