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全労連第22回定期大会(1日目) |
全労連第22回定期大会議長あいさつ(06.7.26)
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全労連第22回定期大会に参加された単産・地方組織の代議員・傍聴者の皆さん、大変ご苦労様です。また、私どもの大会を激励するためにお忙しいなか御列席いただきました御来賓の皆さん、さらには、私たちの招待に応じて本大会にご参加いただいた海外代表の皆さん、本当にありがとうございます。
私はまず、例年になく居座り続けている梅雨前線の大雨で九州各県や長野県諏訪地区など各地で土砂崩れによる犠牲者や家屋の損壊など多くの人的・物的被害が生まれていることに、関係者の皆さんに心からお見舞い申し上げます。同時に必要な支援については今後全国災対連や関係地方組織とも相談のうえ、早急に具体化を図っていきたいと思います。
運動方針案については全労連幹事会を代表して後ほど坂内事務局長が提案しますので、私は大会に参加された皆さんと全国のすべての仲間たちに、私たちが直面している課題などにかかわっての問題意識を申し上げ、大会への挨拶とさせていただきたいと思います。
第一に申し上げたいことは、私たちはいま歴史的にも重要な転機、岐路に立たされているということをお互いにしっかりと確認しあいたいということです。
中曽根内閣の臨調行革路線によって登場し、小泉内閣によって強引にすすめられたアメリカ型の新自由主義的「構造改革」「規制緩和」路線は、「市場経済」万能で弱肉強食の競争社会をわが国につくりだしました。それは大企業には史上空前の利益をもたらす一方で、国民には負担増と雇用・労働のルール破壊をもたらし、OECDからも指摘されるほど異例なスピードで「貧困と格差拡大」を進行させ、地域社会の疲弊と地域間格差を拡大しています。また、国民の「安全・安心」は企業利益の二の次という「利潤至上」主義は、昨年のJR尼崎線事故や最近のトヨタ・パロマのような企業犯罪などを日本社会に蔓延させ、成果主義の導入・拡大は企業の経営基盤に影響を与えるほど労働者を分断し、メンタルヘルスを深刻にしています。
こうしたもとで、私たちの運動や国民生活への具体的弊害が明らかになるにつれ、「構造改革」路線の「見直し」「転換」を求める国民世論も広がり、財界人の中からも日本社会の未来への危惧の意見が公然と出されてきています。
また、政治的には、これもまた中曽根政権の「日本列島不沈空母」発言以来なし崩し的に強められてきた日米同盟を、小泉内閣は先の日米首脳会談では「極東の範囲」をはるかに超えた「世界のなかの日米同盟」にまで格上げし、日米軍事一体化や米軍基地の再編強化への全面的な協力を宣言しています。また、自民党は「新憲法草案」を発表し、日本をアメリカと一体となって海外で「戦争のできる国」とするため、その障害である第9条をはじめとする全面的な改憲策動を強め、先の通常国会にはこれらと一体の教育基本法改悪案や改憲に向けての国民投票法案を上程しました。
しかしながら、全国各地で5千を超える「9条の会」や憲法改悪阻止の「共同センター」の広がり、米軍基地再編強化に反対する各地での自治体ぐるみの運動にみられるように、こうした動きを押し返す私たちの側の運動も大きく発展してきています。
重要なことは、9月に任期を終える小泉内閣の5年余の悪政が経済的にも政治的・外交的にも矛盾と行き詰まりを国内外で表面化させているとはいえ、そのことだけでアメリカと財界に後押しされた自公政権の破綻や自然崩壊には決してつながらないということです。それどころか、ポスト小泉をめぐっては、安保・外交政策などで歴代の自民党政権でも最もタカ派的といえる改憲論者の安倍政権誕生の可能性が強まっています。また、与党は秋の臨時国会では教育基本法の改悪や国民投票法を断固成立させようとしていますし、労働契約法制や社会保障の更なる改悪の動き、歳出削減と増税による国民負担増、いっそうの地方切捨てなども狙われています。
私たちは今まさに、米日財界や大企業いいなりで弱肉強食の「貧困と格差」を拡大する社会の継続を許すのかどうか、そして何よりも重大な憲法改悪や教育基本法改悪の策動を許すのかどうかという、この国のあり方、私たちとその家族・子供たちの未来にかかわる重大な転機、歴史の岐路に立たされています。そして、私たちひとり一人がこの歴史の転機にどのような立ち振る舞い、立ち向かうのかが鋭く問われています。
そこで私が第二に申し上げたいことは、この歴史の転機・岐路にふさわしい全労連運動を築き、発展させるために重要なことは何かということです。
この点で私が特に強調したいのは、私たちが全労連を結成した原点を再確認することの今日的重要性についてです。労働者の唯一の社会的力は「数」にあるといわれています。
にもかかわらず、70年代後半から本格化し89年の連合結成に至る「労働戦線の再編」の流れに私たちはなぜ与せず、自らナショナルセンター全労連を結成したのか。
この「労働戦線の再編」は、70年代後半に表面化した高度成長政策の破綻と自民党政治の危機の深まり、そのもとでの中曽根内閣の軍拡・臨調路線の登場と軌を一にして始まりました。そしてそれは、「西側諸国の一員」の立場から日米軍事同盟を容認し、「自由にして民主的」な労働運動の名による反共・労資一体化路線などを基本に、戦後労働運動の積極的・戦闘的伝統であった「合理化」反対闘争や権利擁護、日米軍事同盟反対、反戦・平和、さらには国民春闘などのたたかいの旗を投げ捨てるものであったからです。
私たちはこの流れを批判しつつ、戦後労働運動の積極的・戦闘的伝統をしっかりと受け継ぎ、財界・大企業が一体となった賃金抑制・人減らし「合理化」攻撃や財界に支援された政府による労働者・国民への社会保障改悪・増税などの悪政をはね返し、私たちの暮らしや平和・民主主義を守るためには、企業や産業の枠を超えた労働組合の全国的中央組織による全国的に統一された闘争と国民的共同の追求が不可欠であることから自らナショナルセンター全労連を結成したのです。
また、私たちは総評など過去のナショナルセンターとは違い、全国的産業別組織と地方別労働組合を対等の構成組織として全労連を結成しました。このことは、企業別労働組合の弱点を克服し、点や縦糸である職場や産別の運動と地域の横糸を組み合わせ、地域から強力な面の運動を作り上げ、さらにはこれを土台に全国的に力を集中した運動を発展させていくうえで大きな力を発揮しうる全労連の組織的特徴といえます。
歴史の転機・岐路に立ついまこそ、私たちはこうした全労連結成の原点を再確認しつつ、戦後労働運動の積極的・戦闘的伝統を受け継ぐ歴史の本流としての誇りと確信を持って、また、全労連の組織的特徴を生かして労働者・国民の切実な要求の前進と戦後史をかけた改憲阻止のたたかいに職場・地域から総決起することが求められています。
そのために決定的に重要なことは何か。私たちの力は職場の仲間たちの切実な要求とたたかうエネルギーにあります。全労連に結集する約130万人の仲間とその家族を総結集すると数百万人の力になり、その周りに共同を広げるならそれに何倍する力を私たちは持つことができるのです。私は仲間のたたかうエネルギーを引き出し、その力をつくりだすためにも、改めて職場や地域の仲間との「総対話」そして「共同」の本格的な追求が決定的に重要になっていると思います。
「対話」というのは、相対して話すことであり、一方的に情勢や方針を伝えることは「対話」とはいいません。マスコミの内閣支持率などをみると「構造改革」の被害者が加害者を評価しているという一見矛盾した国民の意識がさまざまな世論調査に示されています。私たちの職場だけが特別な存在と言うことはありえないと思います。だとすると、この状況を変え、仲間たちのたたかうエネルギーを引き出すためにも、職場の仲間たちと職場の目線で労働現場の実態や悪政の具体的事実、さらには労働者一人ひとりの力は微力でも団結・連帯は大きな力を発揮することなどについて本音をぶっつけあうような双方向での対話が今こそ重要になっていると思います。
また「共同」の条件についても大きく広がっていることは、これまでの全労連運動の到達点や今日の情勢からも明らかです。とりわけ、改憲阻止の共同についていうなら、「護憲」と反戦・平和運動がかつての総評運動の大きな柱であり、戦後労働運動の多数派であったことからしてもナショナルセンター所属の違いを超えた共同を発展させ得る可能性が大いにあるといえます。これまでの共同の輪をさらに大きく広げるため、改憲阻止や労働契約法制反対など一致する労働者の切実な要求を基本に、連合傘下労働組合や中立労組へ全国各地で共同を積極的に働きかけていくことが重要であり、私は全国の仲間たちにその取り組みの強化を呼びかけるものです。
最後に私が申し上げたいことは、組織拡大についてです。その重要性は皆さんには釈迦に説法になりますし、大会には第四号議案も提案していますので具体的に触れることはしません。残念ながら私たちは本大会を組織の純増で迎えることができませんでした。組織拡大の問題については大会でも大いに議論してほしいと思います。
私が皆さんに特に訴えたいことは、労働総研との共同の調査結果は労働組合への期待は未組織労働者を含めてかなり高いものであり、未組織労働者のなかに組合加入の意思が相当の比率であることなどを明らかにしているということです。この点はお互いに運動への確信とする必要があると思います。しかし、一方でこの調査結果は、職場に増大する非正規労働者について「組織化の必要性」は約80%の組織が感じつつも、「組織化の具体的計画」は70%の組織がもっていない、と言う私たちが組織改革しなければならない職場の課題も明らかにしています。この点でも職場の仲間たちとの「総対話」が決定的に重要になっていると思います。職場の組織拡大は職場の要求実現の度合いに直結しています。そして、職場の組織拡大は産別運動や全労連運動を前進させる土台を強固なものとします。
以上さまざまなことを申し上げましたが、最も言いたかったことは歴史の転機・岐路に立つ今だからこそ原点や原則を大切に職場の仲間としっかりと団結・連帯して頑張ろうということです。私は先日ある単産の大会で職場の副委員長である青年の代議員が職場の仲間に支えられ会社の差別とたたかっている経験について「労働運動は組合事務所にあるのではないということを肝に銘じて今後も頑張りたい」と発言したことに心から感動しました。仲間とともに、これがすべての運動の原点だと思います。
大会の成功に向けて皆さんの積極的な討論をお願いして挨拶を終わらせていただきます
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