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全労連第25回定期大会 2010年7月21日〜7月23日

来賓あいさつ

労働総研 牧野富夫(代表理事)

労働総研 牧野富夫(代表理事) 全労連と同じ年に生まれ、以後20年間にわたり同じ志のもと歩んできた労働総研を代表し、25回定期大会にご挨拶をします。
 このところ、金融恐慌、経済恐慌で格差と貧困が一挙に拡大したことはみなさんもよく知っていることです。そういう側面についてはいやと言うほど毎日直面していますが、少し長い目で見ると、たとえば10年くらいの視野では、そういうことの奥に別の積極的傾向も出ていると思います。私たちがもともと必要だと主張していた社会的規制、ルールということについて、企業経営の側もそういうことを言うようになっているのが最近の新しい傾向です。金もうけのためにも一定の規制、ルールがあった方がよいという流れがあるのではないかと思います。
 いくつか例を挙げます。例えば自動車などで環境に対する配慮が進んできましたが、日本の自動車の輸出力・競争力がついた理由に、アメリカよりも環境に対する規制が厳しいことがあります。例えばそういうことにあらわれているのではないでしょうか。私たちが言うだけでなく、経営サイドもそういうことを考えざるを得なくなっているのです。いま一つは、雇用破壊が嫌というほど行われていますが、最近の政府系の研究機関の調査発表でも、企業経営サイドも7割くらいは長期安定雇用の方が企業の目から見てもいいという動向があることです。私たちが雇用を守れと要求してきたことを、経営サイドも言いはじめています。
 もうひとつ、大きなことですが労働の復権という機運が国際的にここ10年くらい叫ばれ、無視できなくなっています。ILOは1999年からディーセントワーク=「働きがいのある人間らしい仕事」を提起していますが、その機運が高まっています。95年発足のWTOでは、アメリカの多国籍企業が知的所有権をテコにして労働の価値を追いやってきました。それではいけないという労働者国民の叫びと、企業サイド、資本サイドも労働力の再生産をきちんと行う仕組みを作らないと自分たちの企業の再生産も危ういことに、一部ではあっても気づいていることのあらわれではないでしょうか。
 労働総研ではいまあげたような目に見える嫌なこととは別の底流の変化を重視し、次のようなテーマで労働総研のプロジェクトを立ち上げて議論をすすめています。そのテーマは「人間的な労働と生活の新たな構築をめざして」です。たいへん大きなテーマですが、みなさんの運動に少しでも役に立つことを願って研究をすすめております。全労連第25回定期大会が実り多いものになることを願いまして、ご挨拶とします。

全国労働組合総連合
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