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全労連第25回定期大会 2010年7月21日〜7月23日

全労連第25回定期大会議案討論 第3日

JMIU 山本代議員

 議案第6章の組織建設にかかわって発言します。ひとつは労働相談をどういう構えで取り組むか、もうひとつは中立企業内労組にどうアタックするかについて。
 労働相談についてはJMIUは2年前から事件解決型から組合づくり方に転換しようと呼びかけ実践してきた。例えばサービス残業の相談がきたとき法律違反だしそう解決は難しくはないが、解決するだけでは職場に労組ができない。相談者本人だけの問題ではなく、同じような悩みを持っている人が必ずいる。そこに労働組合をつくる条件、共通の要求がある。その人の要求を解決しながら安定した職場、労使関係を作るため労働組合をつくらないといけない。私たちはそのことを情熱をこめて働きかけていく活動を、本格的に全国でやらなければならない時期にきている。JMIUは相談を受けるときは複数以上で相談を受け対応する。持ち帰って2回目の相談のときにどういう要求があるのか議論して、一定の行程表を示せるよう臨む、核になる人を作る、の3点をポイントにしている。労働組合づくにかかわったことのない若手も参加し、次のJMIUになる幹部づくりにもなっている。
 文化シャッター、CCIなど経営不振、リストラ合理化を契機に中立組合がJMIUへ相談にきて加入する流れができている。中立労組は産業後退やリストラなどに悩んでいる。今こそ同じ産業の中立労組を訪問し資料も提供し、全労連、産別に結集を呼びかけよう。
 昨年の衆院選挙で国民は自ら政治を変えることができると実感した。今年の参議院選挙では自ら選んだ政権を自ら落とすこともできることも実感した。国民は要求と合致する政治の模索が始まっている。国民の要求を実現する運動の先頭に労働組合がたつ必要がある。
 今年JMIUは大先輩を亡くしたが、その遺志を継いでJMIUと全労連運動を前進をさせたい。

自交総連 菊池代議員

 これまでの運動の教訓と基本方向について発言する。
 最初に、静岡県・石川タクシー富士宮株式会社の全員解雇事件についてのべる。この会社では、朝出勤すると突然タクシーがなくなっており、会社が解散したので全員解雇だといわれるという非常識な事件だ。事前に分社化し自交総連の組合がある会社を解散させた。事前に組合との協議もなく、何の予告もなく、秘密のうちに計画された解散だった。配布資料の中に個人署名が入っているので、ご協力をお願いしたい。
 タクシー業界では、規制緩和から規制強化へ転ずる法律が昨年施行された。現在実行段階にある。自交総連では、4月14日にいっせいストライキを実施し、全国で630台のタクシーが参加した。東京・霞が関で大規模な車両請願行動を行ったのをはじめ、16地方3100人が行動に立ち上がり、規制強化を求める強い意志と決意をアピールした。東京では4000台の減車が計画、実施されており、これによって、7月は1台当たりの売り上げが前年同月比で増加に転ずるといわれている。しかし、減車の計画はまだまだ不十分だ。引き続き全力をあげてとりくむ。
 規制緩和とのたたかいは、タクシー労働者のいのちとくらしを守る、切実な要求実現のたたかいである。タクシー労働者の賃金は歩合給であり、売り上げ減が賃下げに直結する。平均年収は271万円に過ぎず、最賃法違反が頻発している。業界の売り上げは年間2兆円であり、これをタクシー労働者数で割ると1人当たり478万円になる。1人当たり500万円以下の売り上げでは、平均的な労働者の年収500万円の実現は到底不可能だ。
 職場で経営者に対し要求するとともに、タクシーの台数を減らして1台当たりの売り上げを伸ばすという政策要求を対置してたたかってきた。これに立ちはだかったのが、構造改革路線であった。規制緩和が始まって7年余りで規制強化へ転換した。これには、資本から独立し、労働者全体の利益をはかる産別組織の役割が決定的であった。構造改革は依然として続いており、労働者の権利が広範に奪われている。規制緩和、小さな政府を求めるみんなの党の参院選での躍進は危険な兆候だ。ナショナルセンターが、非正規・未組織労働者を代表して政策を提起し、地方と単産に対し運動の指導的役割を果たすことが求められる。これは、階級的ナショナルセンターである全労連にしかできないことだ。
 たたかうために、組織拡大が必要だ。自交総連はこの間、18組合261人の仲間を新たに迎えた。業界の危機的情勢を反映し、会社の譲渡、解散をきっかけに労組を結成、組合員を何倍にも増やすという経験が生まれている。引き続き全力で奮闘する決意だ。

日本医労連 相澤代議員

 春闘再構築、地域医療再生について発言する。春闘再構築についての発言がさまざまあった。統一闘争への結集、要求提出、回答引き出しが進まないなど、課題解決のために取り組みをすすめてきた。すべての労働者、労組に結集する労働者の利益を守る課題に取り組み、賃金改善取り組みが最も大事である。要求を実現するということをうすめてはいけない。労組の存続に関係する。国民春闘委員会と一緒に課題に取り組んでいく。要求は何か、賃金とは何か、回答指定日、統一行動日の設定など、春闘再構築のためにナショナルセンターとしてのイニシアチブを発揮してほしい。
 地域医療再生について。厚生年金病院、社会保険病院を廃止する法案が廃案になった。厚生年金病院の廃止は二年先延ばしになりそうだが、二年では公的存続が担保されない。厚生年金病院以外の公的病院を含め地域医療が崩壊、存続・拡充にかかわる。公的病院存続を課題に共同し交流集会を行う。全労連もナショナルセンターとして大いに責任もって対応してほしい。

大阪労連 宮武代議員

 方針に対し基本的には全労連が果たすべき役割から政策的、組織的活動方針に弱さがあることを考慮しつつ、今後適切な時期と期間で補強されることを要望しつつ、方針を補強する立場で発言します。
 私たちのたたかいが仲間を励まし、世論を変え、政治を変えている。大企業の身勝手と構造改革路線が格差と貧困をうみ、派遣労働者など明日への希望を踏みにじるような状況があり、それに対しては組織の大小なく地域の共同をつくろうと呼びかけ、様々な取組みをしてきた。派遣法の署名は6万を超えたが、地域共同の中で抜本改正の意義や重要性を共有してきた。働くものの団結や様々な団体との連携において労働組合の社会的役割を問い直すことができた。貧困、ワーキングプアの実態を毎年継続してきた自治体調査、高校調査、ハローワーク前調査などで明らかにしてきた。最賃を参議院選挙の争点に押し上げようと重視した。中小企業支援、最賃1000円を求める団体署名をつくって取り組んだ。これまで共同が難しかった団体含めて中立組合や、無所属の団体にもお願いして、連合の組合を含む広い共同が築けた。地域労連で初めて国会に上京し地元議員に届けた。最賃のたたかいは内需拡大に転換し安定した雇用に改善しようと中小企業の成長、ワーキングプアを克服し経済の風化に力を発揮する。
 民主も自民の参院選で下がったが、連合職場の人は賃金も下がり、人員も減っているのに増税かという声がある。連合職場でも率直な対話ができる。消費税増税反対の宣伝を300時間を超える宣伝カー・ハンドマイク宣伝、街頭のビラまきなどをおこなった。憲法と消費税、最賃と消費税など要求と結びつけた宣伝を重視した。お金がないから仕方がない、増税より先に公務員削減だという声が国民なるのも事実。私たちの主張が特別だとか幻想だといわれることもある。
 大阪でも改憲・構造改革反対勢力と対峙し、憲法を守るから生かす取組みをすすめ、そこに米軍基地撤去、核兵器廃絶の運動が合流してきている。労働組合の役割発揮が求められている。

自治労連 木村代議員

 雇用の安定、社会保障の充実、福祉国家へ向けた運動の提起を積極的に受けとめ補強する立場から発言する。
 民主党政権が改革の「1丁目1番地」と位置付けた地域主権改革では、国の役割を軍事、外交、治安、大規模プロジェクトに限り、福祉など住民向けサービスは自治体の自己決定に任せるものだ。地方自治を民主的に改革するものではなく、憲法25条に規定された生存権保障を壊すものであるということを、学習会などで学び広げてきた。世論にも変化がみられる。日弁連がシンポジウムを開いたほか、自治労連としても共同行動を呼びかけ、16の住民団体などと国会で集会を開催した。しかし、地域主権改革の中身は、ほとんど国民に知らされていない。9月の国会では、地域主権改革が審議される予定だ。保育所にどんなに子どもを詰め込んでも構わないとか、自公政権が始めた民営化をバージョンアップさせることが狙われている。これに対するたたかいを、全労連が国民的課題に位置付けることを要請する。
 来春のいっせい地方選挙で、民主的自治体を建設することを呼びかけたい。地方では、農業、モノづくり、地域産業が衰退しており、自治体の福祉が後退している。市町村合併により、役場、学校、公共施設が遠い存在になり、議員が減らされ、住民の声が行政へ届かない事態となっている。自治体財政は逼迫し、職員が削減され、福祉など住民サービスの分野に営利企業が参入してきている。静岡県立の青年の家では、えい航中のボート転覆で女子中学生が亡くなるなど、指定管理者制度のもと人命まで奪われる事件が発生している。
 栃木県茂木町では、学校用務がアウトソーシングされていたが、「偽装請負やめろ」のたたかいで全員の直雇用を勝ち取った。働きがいのある職場、誰もが安心して働ける職場づくりをめざしてがんばりたい。10を超える自治体でアンケートを行っているが、「何が一番困っているか」との質問に、「隣近所との付き合いが無くなった」という答えが圧倒的に多い。構造改革で、いま地域は崩壊の危機にある。いっせい地方選挙では、東京など13の知事選と、200以上の市町村の選挙がある。民主的な自治体建設を目指し住民と協力して全力を挙げる決意だ。

建交労 藤好代議員

 資料で配布したが、イナックスメンテナンスの署名への協力を。
 経産省が個人企業経済調査を発表したが、その純利益、これは個人事業主が生活費に使える金額だが122万円、二人で180万円となっている。年収では200万円で最賃千円にしても届かない。個人事業主は最賃の規定外であるが。さまざまな形態で働いている人がいるが格差是正に結び付けられるか課題。労組に入ってたたかって、ダンプ労働者の年収を200万円にさせるため、単価引き上げで運動してきた。しかし、廃業に追い込まれる人もいる。国民的大運動として、所得保障の政策を作る必要があるのではないか。新しい産別闘争を作る必要がある。個別企業闘争では解決しない。これは労働組合の社会的任務である。公契約運動だが、賃金、所得水準を公契約にどう入れていくか。追求することが必要ではないか。

埼労連 原冨代議員

 第一章に大局的運動方向が提起されているが、単産と地方組織がどうするのか全体的な統一を果たす上で全労連がどういう役割を果たすのか、二点意見を述べたい。
 労働者福祉事業について、共済にとどまらず大きな位置づけで発展方向を出すべき。埼玉では平均で生活保護に届かない賃金実態がある。生活保護水準を稼ぐと中流という事態。一方ハローワークには毎月12万人が詰めかけ、うち就職できるのは5千人程度。失業給付を受けるのが4万人、失業手当も出ない7万数千人はどうするのか。高金利の消費者ローンで生活をつないでいる人がたくさんいる。埼玉での生活保護世帯は5万世帯だが、自殺は毎月150人、一日5人が県内のどこかで自殺している。
 労働組合がたたかいを呼びかけても生活の危機を抱えている人には借金を返すことで精いっぱい。それどころではない、という実態がある。埼労連は中小企業労働者や非正規労働者の生活支援・共済事業、労働者のスキルアップ、福利厚生、地域福祉貢献、災害援助の6つの事業を行う埼玉県労働者福祉共済会を立ち上げて今苦闘している。階級間の闘争の一形態として労働組合運動の柱に位置付けて魅力ある労働組合として前進したい。
 21世紀初頭の目標と展望の改定が提案されている。展望の中では200万全労連から労働者の10%を組織するナショナルセンターを展望することが含まれている。それを実現するために。22回大会で二年間の討議を経て中期計画が定められ実践されてきた。その総括は十分とは言えないが、この25回定期大会では、歴史的な前進を開始する出発点でなければならない。提案の中に2011年秋の大規模集会がある。福祉国家の提案にはやや唐突な感じがするし、社会保障基本法も現段階の大衆運動の目標かやや疑問がある。組織拡大の総括と方針ももっと深める必要がある。それらの課題を来年秋の大規模集会への討論を通じ、新たな方向を打ち出せるようにすればいいと思う。この大会がこれらの議論の出発点と理解して、来年の集会での議論を楽しみに発言としたい。

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