大会宣言(案)
全労連はこの2年間、貧困と格差をなくし、雇用と生活、平和を守るために「労働組合の社会的役割」を発揮してたたかってきた。2008年秋の金融危機は世界的不況を引き起こし、それをきっかけに解雇・雇い止めの嵐が吹き荒れた。全労連は大企業の社会的責任を追及し、“非正規切り”の被害者を仲間に迎えて権利回復のたたかいを展開した。また、全労連が「日本労働運動の再生の環」と位置づけたJR採用差別事件は、1047名の23年におよぶ不屈のたたかいと支援の広がりによって、政治的解決と最高裁和解に到達した。組織拡大では様々な取り組みによって増勢に転じる芽を育て、労働者の助け合い事業である全労連共済を立ち上げた。核兵器廃絶と地球温暖化防止の運動では、国際舞台に仲間を送り出して世論に影響を与え、普天間基地の無条件撤去を求める声に寄り添い、日米安保条約の是非を問うたたかいを展開した。
市民団体との協力で成功した「年越し派遣村」は、各地の「生活・労働相談」活動へと発展し、貧困問題を可視化させて政府を揺さぶった。「構造改革」で痛めつけられた労働者・国民の“怒り”は、昨年8月の総選挙で自公政権を退陣させた。ところが、民主党中心の鳩山政権は、国民の期待と財界・アメリカの圧力との間で動揺し、わずか8カ月で頓挫した。後を継いだ菅政権は、国民の願いに背を向け、突然、消費税増税と大企業減税を提案。公共サービスとナショナルミニマムの切り捨て、日米同盟の深化など、財界とアメリカの意向にそった政治姿勢を強めている。国民は、新政権の変質に当惑したまま、7月11日の参議院選挙を迎え、菅民主党に厳しい審判をくだす一方、「改憲」「構造改革」路線の勢力にも一定の伸張を許した。
こうした情勢の中で開かれた、全労連第25回定期大会は、大企業中心社会からの転換、貧困と格差の解消、雇用の安定とディーセント・ワークの確立、社会保障拡充による「福祉国家」の確立をめざす2年間の運動方針を決定した。討論では、単産・地方組織、青年、女性、非正規センターの豊かなたたかいの経験と教訓をもとに、「今、労働組合が求められている」「仕事と雇用の確保を」「最低生計費調査で最賃底上げが確信に」「統一闘争強化で国民春闘の再構築を」など、方針を補強する意見が出され、さらなる前進の決意が語られた。討論を受け、春闘再構築、労働者派遣法の抜本改正、最低賃金の抜本改正、有期・請負労働契約の規制強化、消費税増税反対、公契約適正化運動の推進、後期高齢者医療制度の即時廃止、地域主権改革反対などの諸課題の実現と、全労連の新たな峰をつくる組織拡大に大きく踏み出す運動を意思統一した。
「憲法をいかし、なくそう貧困と格差、変えよう職場と地域、つくろう平和な世界」の大会スローガンのもと、単産・地方組織の総力を結集することを、全国の仲間に呼びかける。この秋から、一致する要求に基づく労働者・国民各層との広範な共同に力強く踏み出すことを、ここに決意する。
以上、宣言する。
2010年7月23日
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