全労連第26回定期大会 2012年7月29日〜7月31日
【第1号議案・付属議案】
2012年 秋季年末闘争方針(案)
I 秋季年末闘争をとりまく情勢の特徴
(1) 主党が分裂し、解散総選挙含みの国会状況のもとで、2012年秋闘をたたかうことになる。
第180回通常国会は9月8日まで延長され、衆議院で消費税増税大連立を組んだ民主党、自民党、公明党3党の「修正談合」で強行可決された「社会保障・税一体改革」関連法案を最大の争点に国会審議が行われている。
衆議院での「社会保障・税一体改革」修正法案には、民主党内から多数の反対がでた。反対票を投じた議員の一部が集団離党し、7月11日に新党「国民の生活が第一」を結党した。この結果、衆議院での民主党の議席はわずかに過半数を超える状況となった。
民主党内では、2009年総選挙での民主党マニフェストの中心的課題であった「4年間は消費税増税を行わない」ことや「最低保障年金制度を軸とする年金制度改革」を反故にする「修正談合」への反感、原発政策、TPP参加問題での意見対立などは根強く、混迷した政治状況が続くことになる。
9月に、民主党代表選挙、自民党総裁選挙が予定されていることが混迷をより深めている。

(2) 各企業が大規模なリストラ計画を公表、実施している電機産業で、7月に入り半導体大手のルネサスが国内11工場の閉鎖、売却計画を発表した。電機産業だけで、10万人を超える人員削減・リストラ攻撃が順次強行されてきている。
メーカー企業が相次いで海外移転計画を明らかにした自動車産業では、部品メーカーなど重層下請構造の下部企業へのしわ寄せが強まっている。
国際競争力強化の名による個別企業の収益改善のみを重視する製造業大企業が、収益や過剰な内部留保を国内投資に回さず、海外での企業買収等を本格化させている。その一方国内では、消費税増税分の転嫁なども含め、労働者と下請け企業への犠牲転嫁をさらに強めることが想定される。
身勝手なリストラの強行に反対し、大企業の社会的責任の履行を迫る世論を高める取り組みを秋から強め、春闘期に引き継ぐことが求められている。

(3) 原発課題をめぐって、国民世論と政府との矛盾がいっそう際立ってきた。
関西電力大飯原発の再稼働に反対する市民が呼びかけた毎週金曜日の官邸前抗議行動には、10万人を超える人々が自発的に参加するという近年にはない行動となり、全国へも連鎖している。この行動に野田首相は、「大きな音」、「(行動を)収束させることはできない」など、当事者性を欠いた発言を繰り返し、国民世論無視の姿勢を強めている。
7月1日には再生可能エネルギー特別措置法が施行され、太陽光発電などの固定買い取り制度がスタートした。また、7月中旬には、2030年の原発依存率について3案(0%、15%、20〜25%)を提示した政府のエネルギー環境会議の意見聴取会が行われ、8月にも新たな「エネルギー基本計画」が策定されようとしている。
9月には、原子力規制委員会が発足することが決まっており、停止中原発を再稼働させる動きを政府や「原子力ムラ」がさらに強めてくることは必至の状況にある。
「原発ゼロの日本」を政府に決断させ、再び福島原発事故を起こさない決意を具体的な形で示させるたたかいの集中期が、2012年秋の段階に訪れることは確実な状況にある。

(4) TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)をめぐっても、重要な段階を迎えつつある。
カナダ、メキシコがTPP参加を表明した。その一方で、9カ国のTPP交渉は、投資協定でのISDS条項(投資家対国家の紛争解決条項)をめぐって停滞していることが明らかになっている。
11月6日にアメリカ大統領選挙が行われることもあり、TPP交渉の進展が困難な状況がある一方で、日本経団連などは参加促進の圧力を強めてくる状況にもある。
4月以降、TPP参加に反対する団体による「円卓会議」での緩やかな共闘が形成され、滋賀県、北海道などで県民共同組織が発足して全労連の地方組織も参加するなど、運動的な前進がはかられている。
TPPが一部大企業のもうけの自由を拡大する一方で、国民生活とかかわる政府の機能を低下させ、グローバル経済の矛盾を労働者・国民にしわ寄せするものであることは、EUの経済、財政危機からも明らかになっている。この点での国民合意を高め、TPP参加を断念させるたたかいの節目を迎えつつある。

(5) 庶民増税の押しつけと社会保障改悪に反対するたたかいは、2013年度予算編成ともかかわって秋闘の重点課題である。
消費税増税と一体で「修正合意」された「社会保障改革推進法案」は、年金制度改革や医療制度など、先送りされた社会保障「改革」課題について、自己責任と自助、共助を基本に再編しようとする新自由主義「構造改革」推進を宣言している。政府が、この法案の基本性にそった制度改革を2013年度予算案論議のなかで進めてくることは必至である。
とくに、生活保護制度についてはその水準、範囲、期間等について全面的な改悪の動きが顕在化してきていることは見すごせない。
生活保護改悪が、最低賃金制度や年金給付額など最低限の生活保障の水準と深く結びつくと同時に、「望まない就労」の強制など、労働者課題としても見すごせない問題を内在している。
消費税増税反対のたたかいを2012年秋の段階でも継続すると同時に、「雇用と社会保障を中心におく日本」をめざす国民的合意を広げる取り組みの強化が求められている。

(6) 労働法制をめぐる秋のたたかいの強化も求められる。
6月21日、厚生労働省・労働政策審議会「雇用均等分科会」は、「今後のパートタイム労働対策について」(報告)を建議した。その内容は、@均等待遇を義務付ける第8条について「無期労働契約要件」を削除し「職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して不合理な相違がみとめられない」場合としたことなどの前進面はあるものの、不十分な改正内容である。この建議をもとに、パート労働法「改正」作業が進められている。
国会には、メンタルヘルス対策とかかわる労働安全衛生法「改正」法案、60歳代前半の雇用継続についての高齢者雇用安定法「改正」法案、そして有期雇用契約の原則を定める労働契約法「改正」法案が提出されている。第180回通常国会で、これらの審議の目途が立たないなかでのパート労働法「改正」作業である。
いずれも、非正規労働者の増加傾向や差別的取り扱いに対する歯止めや、労働者の働き方にかかる重要な法案であり、要求反映と早期成立を求め、一体的にたたかいを進めることが必要となっている。
なお、国家公務員の高齢者雇用にかかる法案の提出も、2012年秋に予定されている。

(7) 国家公務員の賃金を7.8%引き下げる特措法を成立させた政府は、引き続き人件費抑制施策を強めている。独立行政法人、国立大学法人などでの賃金引き下げの強要に続き、国家公務員の退職手当について約400万円の引き下げを強行しようとしている。
さらに、地域主権改革の名による国の出先機関廃止や道州制導入などの強まりも、民主、自民の「増税連立」とも相まって懸念される状況にある。一方で、公務員労働者の労働基本権回復とかかわる「労使関係法案」は、地方公務員にかかわる法案提出が遅れ、先行して提出されている国家公務員の労使関係法など公務員制度改革法案はたなざらしの状況にある。 
公務員人件費削減とも並行して、政府の行政刷新会議は、TPP参加も念頭においた規制改革やPFIの推進、独立行政法人の再編など、新自由主義「構造改革」を短期間に仕上げようとしている。 
大阪市の橋下市長が、公務員労働組合攻撃を強めつつ、「敬老パス」制度の改悪や男女共同参画センター廃止などの住民サービス切りすての「市政改革プラン」を強行しようとしているように、国・地方自治体ともに公務員バッシングを隠れ蓑にした行政サービス引き下げの動きが強まっている。
国家公務員の人件費削減攻撃の具体化がさらに進むことが懸念される2012年秋のたたかいは、国・地方ともに強まる行政改革とのたたかいと公務員労働者の労働基本権のたたかいと一体での展開が求められる状況にある。

(8) 政府は、新成長戦略もふまえた日本再生戦略を国家戦略会議で決定しようとしている。この内容をもとに、2013年度予算編成が開始されるものと考えられる。
日本再生戦略では、「震災・原発事故からの復活」と「デフレ脱却と中長期的な経済財政運営」を二つの目的においているが、実質はグローバル化対応を中心においた大企業の経済活動を後押しする成長戦略であり、経済成長と財政再建を「車の両輪」に位置づけた消費税増税の地ならしが課題とされている。
同時に、国内での成長分野として環境(グリーン成長戦略)、医療・介護・健康関連(ライフ成長戦略)など11の成長戦略分野を掲げ、特区や規制改革、民間参入、年金積立金の活用などが強調されている。国民生活の安定よりも企業のもうけ口を国内で作り出すことに力点がおかれる内容になっている。
労働者の雇用、労働条件改善と社会保障改革などによる富の再配分機能強化で内需を拡大させる政策は一切含まれていない。また、教育費無償化や奨学金制度改善など、子どもの貧困への対策もとろうとしていない。
貧困と格差の是正につながる施策強化を求めるたたかいの重要性は、この点でも増している。

(9) アメリカが、沖縄普天間基地に垂直離着陸輸送機・オスプレイを配備しようとしていることに、沖縄県はもとより、訓練名目での飛行が予想される地域の自治体からの反発が高まっている。
オスプレイの事故率の高さへの懸念と同時に、事前協議もなしに配備計画を一方的に押しつけるアメリカに唯々諾々と従う日本政府への不満と、その根底にある日米安保条約の不平等性への怒りが、反発の背景になっている。沖縄など影響を受ける地方との連帯を強め、オスプレイ配備反対のたたかいを軸に、安保条約破棄の全国的な運動を強める必要がある。
また、衆議院比例定数削減などの選挙制度改革を含め、民主主義の形骸化につながる改悪攻撃への反撃も緊急の取り組み課題になっている。
さらに野田首相は、7月6日に国家戦略会議フロンティア分科会が「旧来の制度慣行の見直し等を通じて、安全保障協力手段の拡充を図るべきである」との報告書を出したのを受けて、集団的自衛権行使を容認する解釈改憲に踏み込む姿勢を示した。

(10) 前述したように、11月6日にはアメリカで大統領選挙が行われる。12月19日には韓国の大統領選挙も予定され、秋には中国共産党の第18回大会が予定されている。
国内では、山口(8月)、新潟(10月)、富山(11月)、栃木(12月)の県知事が任期満了を迎えることから、それらの自治体での選挙が、原発など国政課題ともかかわって実施されることになる。
国内外ともに、政治的な変化が起きる可能性を含んだ状況のもとで2012年秋闘のたたかいを進めることになる。
また、政府・財界が一体となって成長戦略の具体化が進められるもとで、労働者の暮らし、労働条件を守るためのたたかい、自治体での賃金確定闘争や年末一時金闘争、さらには2013年春闘準備を一連のものとしてたたかうことになる。
歴史的な変化が起きる可能性を含んだたたかいの時期にあることを確認し、情勢の推移に目を向けて、一致する要求での共同をあらゆる課題の取り組みの中心に位置づけ、連帯と団結の力で情勢を主体的に変える秋闘をめざす。
II 2012年秋闘の基本的な構え
(1) 第26回大会方針で提起した「2年間の運動の基本方向」での「三つの柱」(1.「安全・安心社会をめざす大運動」(全労連大運動)の取り組み、2.全労連組織の拡大・強化に向けて「新中期計画」実践、3.憲法擁護、安保条約破棄の運動を再強化)をたたかいの基軸に、2012年秋のたたかいを展開する。

(2) 「全労連大運動」の第1の取り組みである「大企業中心、経済効率重視の日本社会からの転換をめざす国民共同の追求」では、次の課題を重視して取り組みを具体化する。
東日本大震災からの早期復興を被災者本位で進めるための被災県・被災地の取り組みに連帯し、支援と共同の取り組みを継続・強化する。
「原発ゼロの日本」への決断を政府に迫る取り組み、原発再稼働に反対する共同の取り組みを「原発をなくす全国連絡会」に結集し、強める。
消費税増税阻止、撤回要求を掲げ、年金、医療、介護、保育、生活保護など社会保障制度の拡充と教育予算拡充など個別要求の2013年度予算への反映を求める共同を各分野で拡大する。最低保障年金制度の確立など高齢期の生活保障を求める取り組みを秋の段階から具体化する。
TPP交渉への参加を許さない共同の取り組み前進に奮闘する。

(3) 「全労連大運動」の第2の取り組みである労働者要求の前進をめざす「四つの挑戦」(1.労働者・国民の暮らしの実態などの「可視化」、2.もっとも困難な状況にある労働者の実態改善、3.働いて人間らしく暮らせる社会をめざす制度改善、C広範な労働者・国民との総対話と共同)に取り組む。
有期雇用にかかわる労働契約法「改正」法案の修正、早期成立、公務員も含めた高齢者雇用にかかわる改正法案等の早期成立を求める国会闘争を継続強化する。
パート労働法改正法案への要求反映を求める政府追及を強める。
雇用状況が深刻な青年と被災地域に焦点をおいた調査などに取り組む。
公契約条例制定を求める取り組みを全国的に強める。
全労連の基本政策文書「目標と展望」の改訂作業を進める検討プロジェクト設け、討議素案の作成、論議を秋闘期に進める。

(4) 大会で確認する新「組織拡大強化中期計画」の実践にふみだす。
2012年秋闘期に、「総がかり作戦」や初級教育講座など、重点課題での意思統一を行い、秋の組織拡大運動の具体化に反映させる。
組織内外の労働者「100万人」との総対話の取り組みに位置づけて、春闘アンケートや青年実態アンケートなどの取り組みを具体化する。

(5) 憲法擁護、安保条約破棄を求める取り組みを職場段階から再強化する。
「3.11」後に出された自民党の改憲案(自民党2012年草案)などの問題点と欺瞞性について学習強化も含め、改めて憲法学習を強化する。
普天間基地へのオスプレイ配備撤回を求め、普天間への新基地建設反対する沖縄県の運動に固く連帯し、全国課題に位置づけた取り組みを進める。
衆参の選挙制度改悪に反対する国民共同の取り組みや秘密保全法など基本的人権侵害の悪法に反対する取り組みを進める。

(6) 公務、公務関連職場での賃下げへの反撃を、地域から官民共同の取り組みで強める。地域最低賃金引き上げと職場での成果の活用、年末一時金闘争勝利、職場要求前進など、「成果を勝ちとる職場闘争」を強める。
秋闘をたたかいながら、2013年春闘の準備を進める。
III 主要な課題での取り組みの具体化
1、 東日本大震災からの早期復興をめざす取り組み
(1) 東日本大震災労働者対策本部規模での共同の取り組みを継続する。
被災県での仮設住宅訪問や被災者支援、「復興行進」などの取り組みへの全国からの支援、参加を組織する。

(2) 被災地における雇用実態調査を10月に実施することで準備を進める。実態もふまえた政府交渉などを強める。
11月15日(木)に予定する中央行動の課題に、大震災復興を位置づける。
10月7日(日)〜8日(月)に開催される全国災対連の全国交流集会への参加を強める。
2、 「原発ゼロの日本」をめざす取り組み
(1) 「原発をなくす全国連絡会」が作成したDVDも活用した職場学習会(全国「1,000カ所」原発学習会)の開催をめざす。震災から1年半が経過する9月11日(火)〜10月10日(水)の1カ月間を、学習強化期間に位置づけて取り組む。

(2) 大飯原発3号機、4号機も含め、原発の再稼働に反対する取り組みを地域から強める。毎月11日を「イレブンアクション」に設定し、東日本大震災復興と「原発ゼロの日本」をめざした宣伝、集会、共同の申し入れ、地方議会要請行動など、多様な取り組みを全国で集中させる。

(3) 「原発比率に関するパブリックコメント」などに積極的に対応し、「原発ゼロの日本めざす」要求を政府政策に反映させる取り組みを強める。
 11月11日付の全国紙での掲載を目標に開始されている「原発ゼロ意見広告運動(仮称)」(福島県復興共同センターなどの提起)の成功をめざして取り組みを強める。
3、 解雇、失業に反対し、雇用の安定をめざす取り組み
(1) 大企業などのリストラ・首切り合理化に反対する取り組みを強める。
○月○日(○)に、全国規模で工場閉鎖を打ち出しているルネサスに対する宣伝、自治体、関連企業への要請行動などを具体化する。

(2) 解雇、雇止めとたたかう権利10カ条」、「下請け二法の活用パンフ」の改訂を行い、秋闘期から労働者・労働組合との対話や中小企業訪問活動を具体化する。この取り組みは、組織拡大強化の取り組みに位置づける「100万人総対話運動」の一環に位置づけ、春闘アンケートへの協力要請ともあわせ、11月を取り組みの集中期間に具体化をはかる。

(3) ディーセントワーク署名の年内目標達成に奮闘する。最終集約前の取り組みとして、11月15日(木)の中央行動で、同署名を活用した労働契約法案修正を求める国会議員要請行動に取り組む。
労働契約法案などの国会審議の状況も見つつ、院内集会などでの共同の取り組みを強める。
官民ともの高齢者雇用安定を求め、10月中旬に院内集会と議員要請行動を配置する。

(4) 9月26日(水)に開催される労働法制中央連会総会の成功を、全労連要求を反映した法案成立を求める決起の場に位置づけて成功をめざす。

(5) JAL争議の勝利解決、社会保険庁分限解雇の早期撤回など、すべての争議の勝利解決をめざした共同の取り組みを前進させる。
11月27日(火)に東京地評と共催する秋の争議総行動に取り組む

(6) 公務員労働者の労働基本権回復を求め、国会行動などに取り組む。
大阪市での組合事務所強制撤去などに反撃するたたかいを全国課題に位置づけ、署名などの取り組みを強める。
中央労働委員会労働側委員の公正任命と、労働委員会の民主化を迫る取り組みを強める。
4、 賃金、労働時間改善など良質な雇用の実現をめざす取り組み
(1) 地域最低賃金引き上げ、時給1,000円実現をめざす取り組みを継続する。中央最低賃金審議会の目安提示を受けた地方最低賃金改定での使用者側の巻き返しを許さないためにも、要請行動などの集中をはかる。
公務員賃金、公務関連労働者への賃下げの強制に反対し、共同の取り組みを強める。
秋闘諸課題を掲げ、年末一時金闘争、地方自治体確定闘争の勝利をめざした統一行動週間を11月12日から16日の週に設定し、産別統一行動を軸に要求実現をめざす。
11月15日(木)に中央行動を配置し、秋闘要求課題の実現をめざす省庁交渉や国会要請行動などに取り組む。

(2) 公契約運動を全国運動として発展させる。
9月21日(金)に、公契約運動交流集会を配置し、取り組みの到達点を確認するとともに、自治体要請行動などの意思統一をはかる。
各地方組織が取り組む自治体キャラバンでの課題に公契約条例制定を位置づける。単産でも、公務・公共業務関連企業への影響はもとより、最低労働条件引き上げの有力な課題と位置づけ、事業者団体、自治体要請行動などを重視して秋闘期からの取り組みに反映させる。

(3) 労働時間短縮の取り組みを強める。
雇用を拡大しエネルギー大量消費型の社会との決別をめざすうえでの労働時間短縮の重要性を確認し、職場段階からの取り組みを強める。
次の労働開始までの休憩時間、日・週・月・年単位の残業上限規制、休暇計画取得、家族的責任 を負う労働者の労働時間短縮、休暇・休業制度の整備などで協約締結闘争の強化に取り組む。
「さよなら24時間型社会」キャンペーンの具体化に向けた準備を開始する。

(4) 秋闘をたたかいながら、2013年春闘の準備を開始する。
「私の要求アンケート」を要求確立と組織化の取り組みに位置づける。未組織労働者や非正規労働者も対象においた集約目標を設定し、対話を強めて「100万人対話」を実践する。取り組みは9月以降開始し、第1次集約11月20日(火)、第2次集約12月20日(木)、最終集約を2013年1月15日(火)として進める。
2013年春闘を事実上スタートさせる国民春闘共闘委員会総会(10月25日〔木〕)に結集する。
11月28日(水)〜29日(木)に開催する2013年国民春闘討論集会の成功をめざす。
5、 社会保障の拡充を求め、消費税増税阻止をめざす取り組み
(1) 第180回通常国会の最終盤まで、「社会保障・税一体改革」関連法案の成立に反対した取り組みを強める。
毎週水曜日の国会行動への結集を強めるとともに、地元選出参議院議員への要請行動などに取り組む。毎週水曜日を全国統一の宣伝行動日とし、ターミナル宣伝行動などを継続する。

(2) 11月を消費税増税阻止、社会保障拡充を求める統一行動月間とし、2013年度予算編成に向けた要求課題を掲げた宣伝、署名、要請行動の集中と共闘の前進をはかる。
全労連全体としては、「消費税増税阻止、税の応能負担」署名と最低保障年金を軸とする年金制度確立署名、子どもの貧困解消・生活保護改悪反対署名を統一の取り組みに、政府に向けた運動の集中をはかる。
11月15日(木)の中央行動に、これらの取り組みの中間的な到達点をもちより、政府交渉などを具体化する。
6、 改憲策動を許さず、核兵器廃絶、安保破棄をめざす取り組み
(1) 1月を憲法学習強化月間とし、改憲策動の動向や憲法軽視の「構造改革」の強まりなどの現状について職場からの学習を呼びかける。
この取り組みのうえに、新たな憲法署名(「憲法が輝く日本を署名(仮称)」)の具体化につなげる。
憲法改悪に反対する労働組合が共同する「集会」開催を追求する。

(2) 沖縄・普天間基地へのオスプレイ配備に反対する取り組みを強める。8月5日(日)に開催が予定される沖縄集会への参加を呼びかけるとともに、開始した署名の早期集約をめざす。
10月23日(火)に、米軍基地撤去、安保破棄を求める全国一斉宣伝行動を具体化する。
日本平和大会(11月23日(金)〜25日(日)・東京)の成功に尽力する。

(3) 8月2日(木)〜9日(木)に開催される原水爆禁止世界大会の成功に尽力する。
 この成功も跳躍台に、秋の国連総会に向けて核のない世界をめざす署名を推進する。
7、 政治の民主的転換をめざす取り組み
衆議院の解散・総選挙の可能性が高まる状況のもとで、原発、TPP課題などでの「一点共闘」を大切にしつつ、政治革新をめざす共闘への発展を労働組合の立場で模索する。
労働者要求ともかかわって、労働者保護規制強化や、消費税増税など庶民増税阻止、「原発ゼロの日本」の実現、憲法擁護を政治的争点に押し上げることを重視し、職場内論議や職場内外の宣伝の中心的な課題にすえる。
総選挙の実施が濃厚となった段階では、「候補者アンケート」など、組合員の選択に資する取り組みを具体化する。
8、 国際連帯の取り組み
2国間組織の共同と交流を継続する。
ベトナム労働総同盟(VGCL)、中華全国総工会との交流の具体化を進める。
IV 統一闘争、総対話と共同を柱にした全労連組織の強化拡大の取り組み
1、 新「中期計画」の実践、具体化を進める
(1) 新中期計画の具体的実践にふみだす秋の組織拡大・強化特別月間の取り組みの意思統一の場として、9月27日(木)〜28日(金)に「組織拡大交流集会」(従来の単産・地方組織担当者会議を発展的に位置づけ)を開催する。
そのことから、単産・地方組織は8〜9月中に月間方針と態勢を確立し、「組織拡大交流集会」ではそれぞれの計画に即して連携した取り組みへの意思統一をはかる。

(2) 2012年秋の組織拡大・強化月間を10月〜12月に設定する。
すべての組織が「10%以上の純増」をめざす新中期計画スタートの「特別月間」と位置づけ、全労連と単産・地方組織が連携した取り組みを軸に旺盛な組織拡大運動を進める。

(3) 要求課題を前面に掲げた「100万人総対話運動」の一環として、「春闘アンケート」や各種署名などを活用して、職場内外の未組織労働者との「総対話運動」を展開する。
「青年部アンケート」を活用し、職場内外の青年労働者との「総対話」を広げる。
2013年春闘に向けた「共同」と「連帯」を広げる視野から、全労連と単産、地方組織が連携して、友好・中立労組訪問などに取り組む。

(4) 単産と地方組織の連携による「総がかり作戦」の実施に向けて、総がかり作戦の対象地域と業種を絞り込み、具体的な実践が展開できるよう単産と地方組織の調整を開始する。
組合員5,000人未満の地方組織を重点においた「総がかり作戦」は、11月〜12月を「作戦ゾーン」として設定して取り組みを具体化する。

(5) 震災復興地域の組織の再建、拡大・強化を位置づける。
岩手、宮城、福島の被災3県での特別な体制を強化し、被災地域での拠点づくりや組織化を進める。関係単産の協力を得て、組織再建・強化の「総がかり作戦」実施に向けた調整をはかる。

(6) 非正規・青年・女性労働者など今後の全労連運動を担う活動家の育成を目的に、全労連教科書の活用と労働者教育協会との連携を位置づけて、地方ブロック単位を基本に「労働学校」の開催を進める。
地方ブロックでの「組織拡大オルグ養成講座」の開催を進める。

  以 上