全労連第26回定期大会 2012年7月29日〜7月31日
総括答弁

 小田川義和(事務局長)3日間の熱心な討論に心から感謝を申し上げます。
 最初に、本大会の参加状況を報告します。発言は、会場発言79名と、文書での、一つは自治体臨時職員の任用、雇用関係の制度と運用改善に向けた取り組み強化にかかわって石川県労連・長曽代議員から、二つには労働者福祉事業、とくに労働金庫への対応方針の提起を求める東京労連・佐藤代議員、お二人の発言が寄せられています。含めまして81名の方々から方針を補強し、あるいは運動についての積極的なご意見をいただきました。

 総括答弁に入る前に、議案の取り扱いともかかわりますので、群馬県労会議・安藤代議員からのご意見についてお答えをします。ご意見の趣旨は、第4号議案・新中期計画については数値目標である10%純増についての議論の不十分さと、第5号議案で提起している特別会費の額と使用目的について、専任オルグ、人の手当を正面からとりあげていないという不十分さを克服するために、5号議案・特別会費については本大会での採決を見送るべきというものだと理解します。
 動議の性格をもつご意見だと思います。組織課題については、ご意見を多数の方からいただいていますので、詳細は一括して後ほど申し上げますが、10%の純増目標を含む中期計画案については昨年秋以降の論議もふまえて予備提案を行って論議を進めてきました。
 特別会費についても、中期計画具体化を前提に、一方で単産・地方組織の代表からの現実的な財政負担の可能性などもお聞きして会費額を論議し、中期計画のなかからの焦点化をはかったものです。4号議案と5号議案を不可分の議案ですが、いずれもいま申し上げた経緯のうえに幹事会として提案したものであり、5号議案についても本大会での採決をお願いします。

 さて、いただいた発言の傾向は、一つに議案ともかかわって組織課題にもっとも多くの発言をいただきました。また、震災、原発課題と加えての消費税、TPP、地域共同など、地域での共同行動が大きく前進していることと、その点での確信が口々に語られたことも特徴でした。
 さらに、官民問わずにリストラ・合理化攻撃が強まるもとでの産業政策を対置し、あるいは司法を活用した取り組み、非正規労働者の労働条件改善の取り組み、最賃・公契約運動でも積極的な発言をいただきました。美女3人衆ならぬ5人衆から青年運動の現状が語られたのも本大会の特徴の一つでした。加えて、新たに提起した全労連大運動を積極的に位置づける発言も多くいただきました。
 すべての発言にふれることは時間の関係でできません。ご容赦いただき、質問的なご意見と、議論が集中し幹事会としての見解を申し上げたい点にふれて総括答弁とさせていただきます。

 はじめに、個別的になりますが質問的なご発言にかんし申し上げたいと思います。
 原発闘争ともかかわって、立地自治体などの雇用、経済問題について、茨城労連・丸山代議員や佐賀県労連・稲富代議員から発言をいただきました。
 全労連として、見解を取りまとめることは容易ではありませんが、運動を進めるうえできわめて重要な課題であることは十分承知します。原発依存政策をとる限り、電源3法の補助金問題は解決せず、依存の構造が温存されることになります。その点からしても、原発ゼロを政府に決断させ、代替エネルギーへの転換や廃炉作業などで地域の雇用と産業の再生をめざさせる、その立場の堅持が必要だと思います。崩壊した原発安全神話のもとで「核と人類は共存できない」、その国民合意を広げることはその意味でも喫緊の課題です。
 その運動をねばり強く、強力に進めていくためにも組織内の世論をより確たるものにする学習運動の強化は不可欠です。提起しています学習強化期間での1,000カ所学習会の具体化に特段の努力をお願いします。
 原発課題とかかわって、地方からの運動強化の方針提起のご意見を静岡県評・林代議員からいただきました。EPZの範囲とはかかわりなく、全自治体の課題、福島原発事故での放射性物質の拡散、事故調査報告からも垣間見える東日本全体が避難対象区域となった可能性などからも、運動の対象は全自治体とすべきと思います。原発再稼働反対、廃炉を求め、再生可能エネルギーへの加速度的な転換を迫る自治体要請、安全協定の対象自治体拡大、避難訓練の広域実施など福島事故をふまえた安全、事故対応策の確立などを求めるとり組みを、原発をなくす全国連絡会とも調整のうえ全国に呼びかけさせていただきます。
 なお、そのような運動を進めるうえで福島との連帯はきわめて重要です。福島県労連の齋藤代議員、川村代議員からの発言も確認いただき、風評被害問題も含め、福島のいまを知り、伝える運動として、呼びかけています仮設住宅訪問へのボランティア参加や新聞意見広告運動を職場段階まで呼びかけていただくことを強くお願いします。
 映演労連・金丸代議員から、パレードではなくデモで統一を、というご意見がありました。数年前の大会で、デモは古くさい、いまはパレードと言うべき、というご意見をいただいたことを思い出しました。最近ではデモ・パレードのシュプレヒコールについて、○○反対、○○やめろ、という宣伝カーを先頭にしたものは場違い、あるいは組合旗を集会では立てるべきではない、など真顔で論議されます。
 共同が広がるなかで労働組合の文化も変わらなければならない時がくるとは思いますが、組織的な運動を否定し、たたかいを否定するような意味あいでの論議は別に、場をわきまえることは必要だと思っています。たとえば、官邸前には、原発ゼロを大きく書いて、組織名を入れた看板やノボリ旗は許されるのではないでしょうか。譲れないところは主張しつつ、柔軟な対応を、というのが必要だと思います。
 郵政産業ユニオンの日巻代議員から、組織統合の経緯とその後の状況報告がありました。12年間のご苦労の結晶として賞賛をおくるとともに、21万人もの郵政グループでの非正規労働者の存在ともかかわって、1+1が3にも4にも10にもなる可能性を信じ期待したいと思います。
 重点をおいた拡大運動などで、全労協にも呼びかけ行動を具体化できたらと望んでいます。そのことが、ご発言にもありました全労連と全労協の共同前進にもつながるし、当面、目標としていますメーデーの共同開催に近づくものと考えます。
 秋田県労連・越後屋代議員、神奈川労連・福田代議員、山形県労連・勝見代議員、生協労連・木下代議員から最低賃金闘争についてご発言がありました。最賃闘争の二つの側面、生活できる賃金水準確保と全国一律最賃への接近の両面から、一つは生活保護制度との関係で、いまひとつは最低賃金における格差拡大の問題にふれていただいています。最賃が低いから生活保護引き下げを、という逆立ちの制度改悪を許さないたたかいをこの秋から強めると同時に、600円台にとどまるC、Dランクでの最低賃金水準引き上げ、格差是正での要求と運動をこの秋も含め一段と強めることとし、運動の具体化論議を進めたいと思います。
 全印総連・白原代議員から、胆管ガン問題での全労連での位置づけと運動をとのご発言をいただきました。いの健全国センターとも連携し関係単産との相談の場を早急にもつことで対応をはかりたいと思います。
 愛労連・吉良代議員から、トヨタを見据えた地域産業政策づくりの発言がありました。産業政策や地域経済政策への挑戦はほかにも発言をいただいています。国の政治が機能不全になっているいま、地方自治体の役割が相対的に高まっていますが、その役割発揮を迫るためにも地域からの要求組織と政策強化が求められます。広島県労連の小林代議員からは、地域課題での共同行動の取り組みと成果が語られました。教訓にしたいと思います。
 非正規センターの本田特別代議員から、全労連としての実習生問題での政策、基本方針の確立を、との意見をいただきました。2008年の段階で、団体引き受けの研修・実習生制度の問題点を指摘し、制度反対を明確にしています。そのことを前提に、TPP問題など新たな状況もふまえた見直しの必要性は検討したいと思います。
 自治労連の松重代議員、福岡県労連の土井代議員から、憲法キャラバンの全体での位置づけを、とのご意見をいただきました。地域おけるキャラバン行動は、各地域で独自に発展し成果を積みあげてきていることもふまえ、単産と地方組織の共同を前進させる観点での可能な調整、課題と時期だと思いますが、可能な範囲で論議したいと思います。
 国公労連・九後代議員から、公務員制度改革をめぐる現状についてのILOへの情報提供のご意見がありました。公務員闘争本部で論議をお願いすることになりますが、かつて国鉄闘争では9次の勧告がILOからなされたようですが、公務員制度改革でも7次の勧告が行われ、直近の勧告でもILO87号、98号、151号条約などの基準に沿う労働基本権の早期回復を求めています。その点では、日本国内での運動強化論議とあわせ、ILO活用の論議は必要な段階にあることもぜひ論議をお願いします。
 日本医労連・鎌倉代議員から、審議中の社会保障改革推進法案の危険性が指摘されました。問題意識を共有すると同時に、改悪のメニューを示す基本法であることもふまえ、単なる反対運動ではなく、改善の積極要求を対置した取り組みが必要なことをふまえ、社会保障闘争本部での要求論議を急ぐとともに、一致点での総合的な運動づくりをめざし互いに努力しあいたいと思います。
 福祉保育労・民谷代議員から、社会保障全面改悪の攻撃のもとで焦点を絞ったたたかいを、というご意見がありました。改革推進法でいま述べた要求すりあわせと並行しつつ、この秋の統一した取り組みとしては、方針書38頁で記述した方向で、相互の支援は強めつつ、年金と生活保護を統一的な署名として整理していきたいと考えています。
 沖縄県労連・峰間代議員からご指摘をいただいた方針書4頁(3)の冒頭の記述は、「普天間基地撤去を求める沖縄県民のたたかい」と修正させていただきます。配慮を欠いた記述であったことはお詫びさせていただきます。
 なお、10月または9月にオスプレイの沖縄配備反対集会の岩国開催については、山口県労連・川済代議員の決意の発言も受けとめ、安保中央実行委員会とも相談し、ご意見を具体化する方向で論議させていただきます。
 千葉労連・本原代議員から、大企業における全労連の影響力拡大を目的とする交流会と職場革新懇の交流の場の検討が要請されました。全労連だけで決定できる課題ではありませんが、前者については繰り返しいただいているご意見でもあり、その必要性を受けとめ具体化の方向で検討を始めたいと思います。後者については、全国革新懇とも相談させていただきます。
 ご質問で、方針書16頁、第6章1の(8)の労働組合の権利委員会についていただきました。悪徳弁護士というお話がありましたが、イギリスではユニオンバスターと言うそうですが、労働組合つぶしの弁護士が存在するようです。日本でも、社会保険労務士も含め争議を仕掛け、組合つぶしを行う「専門家」の存在が言われ始めており、組織を減らさない観点からも対策が必要だとの議論のうえに提起したものです。詳細はこれからですが、早急な具体化をはかりたいと思います。
 埼労連・宍戸代議員から、ローカルユニオン交流会開催の要望をいただきました。趣旨は、非正規センター・伊藤特別代議員の発言とも通じているように思います。大会を開催しない2013年度に向け、開催の可否を検討したいと思います。
 全教・高橋代議員から、いじめ問題での発言がありました。非民主主義的な動きの強まり、何人かの方が触れられたパワハラが横行する職場など、社会の現状、競争と自己責任を煽る新自由主義改革が子どもに反映していると思います。民主主義、人権の問題として重大な関心をもって対応を検討させていただきます。

 以上、申し上げ、次に、議論が集中した課題について、取りまとめて見解を申し上げます。
 第1は、組織課題です。25人を超えて発言をいただきました。発言、意見はいくつかの類型がありました。その一つは、退職労働者の協力を得て外国人労働者の組織化を前進させたとのみえ労連・臼井代議員や地域でタクシー労働者の組織化に地方組織のみならず弁護士の協力も得て進めているとの北海道労連・松任代議員などの発言のように、地域での組織化の教訓が語られたことです。
 産別と地域が一体で組織化運動を進めていく教訓は、発言にあるように焦点を絞った取り組みにあります。単産の組織化運動と地方組織の取り組みの接点を見いだし、その調整を進める、その方向での取り組み強化を中期計画では強調していますが、そのことの可能性を実戦的に発言いただいたものと思います。
 その二つは、この間の取り組みもふまえ、組織強化拡大の取り組みの構えについての発言です。JMIU・山本代議員からは、全員参加の取り組みと運動の第一課題に組織化課題を位置づけることの重要性が強調されました。同様のことは、京都総評の馬場代議員からも主張され、岡山県労会議の伊原代議員からはそのような取り組みの前提となる組織実態調査の困難性が指摘されました。すべての組織、少なくとも単産中央と地方組織に対応する県単位の組織、地方組織では、組織実態について随時の把握ができるよう、体制・機能の整備を早急に進め、機関会議で確認しあう状況を早急に作りあげようではありませんか。
 その三つは、組織化運動のもう一つの構えと言える発言です。「怒りの共感からたたかいに立ち上がり、歓びの共感から参加が継続する」という福祉保育労組の仲野代議員の発言や、「夢を語り、夢から運動を」という青年部の中津川特別代議員の発言は、互いに確認しあいたいと思います。また、生協労連の村上代議員の三つの提案「拡大は純増で把握する」、「組織実態のリアルな認識を」、「組織拡大にお金の集中」は貴重な意見として、全体で受けとめたいと思います。
 その四つは、提案している中期計画、特別会費にかかわるご意見です。中期計画と特別会費の提案の一体性は先ほどもふれました。組織拡大の中心のアクターは職場であり、単産の機関組織であり、地方・地域組織です。組織拡大運動における全労連の役割は調整と単産・地方組織の協力も得て進めるモデルづくりです。井戸水をくみ上げるのに、呼び水が必要ですが、いわばその呼び水を財政的に論議したのが特別会費です。
 長崎県労連・塩塚代議員、東京労連・久保代議員、群馬県労会議・安藤代議員のご意見は、組織拡大運動を進めるための人の配置を行える財政措置を全労連全体で講ずるべき、とのご意見だと思います。神奈川県労連の山田代議員から発言がありましたように、人的配置を独自に取り組む方針論議も行われ、現実に、単産や地方組織でも自治労連をはじめいくつかの先行例があることは承知しています。
 先日、個別の意見で、全労連組合員1人1,000円を集めれば、仮に人件費500万円として200人の専従配置、というご意見をいただきました。仮に、全労連としてその規模の組織拡大運動を行うとすれば、いま単産85円、地方6円の会費を少なくとも倍以上に引き上げなければなりません。今回の提案は3円・1円ですから、桁の違う論議です。その論議を避けているのでは、との批判は甘んじて受けますが、この間の論議ではいますぐの合意は困難だと思います。端的に言えば、特別会費の提案内容が合意点です。
 思い切った提案をし、その合意を図る努力をすべき、それはそれで正論ですが、残念ながら合意を形成できる見通しもなく先送りすることは、結局、可能なところからの中期計画の具体化すら放棄することになりかねません。最初から、中期計画は絵に描いた餅になりかねません。
 したがって、確保できる財源の範囲で、緊急性の高いもので、かつ全体的な合意がはかられつつある地域と産業・職種で重点を決めた組織化運動、労働相談など未組織労働者の組織化運動の継続、そして新たな試みとしての全労連としての労働学校開催、の3点で取り組みの具体化をはかることとして提起しました。
 五つ目になりますが、労働学校のあり方については福岡県労連・古賀代議員、自治労連・平野代議員からご意見をいただいています。大会方針17頁第6章2の(1)に記述していますように、提起している労働学校は、全労連教科書の活用と労働者教育協会との連携、より詳細に言えば勤労者通信大学の労働組合コースのノウハウと全労連教科書の活用を基本に具体化を進めることとし、労働学校はその集合学習の場としてスタートさせたいと考えています。その論議を労働者教育協会とも開始しています。このことをベースに、各県開催や具体化にあたっての意見反映というご意見を受けとめたいと思います。
 さまざまなご意見があることは承知しますが、今大会の論議でも特徴的なように危機感をもって、単産、地方組織、全労連がそれぞれの役割を寄せあい、力をあわせて組織拡大運動に大きくふみだそうとの合意は形成されてきたと思います。この機会を、次の繋ぐ論議のスタートと位置づけ、中期計画と特別会計を確立して4年間の取り組みに入りたいと思います。代議員の皆さんのご理解を重ねてお願いします。
 第2は、スローガンも含め、安心・安全社会をめざす大運動の関係です。
 まず一つ目に、言葉の問題で言うわけではありませんが、安全・安心社会とスローガンや大運動で標記しているのは、関越自動車道での痛ましいバス事故にも象徴される規制緩和の行きすぎと労働者保護の網の荒さや公務公共業務民営化での国民の安全低下にも目を向けているからです。その点では、雇用と社会保障拡充の枠を越える概念で使っており、運動面でも第1の取り組みと第2の取り組みと区分しています。したがって、福祉国家からの後退ということではないことはご理解ください。
 二つ目に、前回大会で「福祉国家」と提起したにもかかわらず、2年で引き下げるのかというご意見にかかわります。
 社会科学大事典によれば、福祉国家とは修正資本主義と記述され、最近の出版物では、この規定は誤りで、福祉国家の提唱者はマルクスと紹介するものもあります。学問的論争をする必要も、その気も全労連にはありませんが、残念ながら前回大会以降、率直に言って場外での議論が加熱したのは事実です。そのことが全労連の団結にも影響しかねない、との論議と判断で、「日本」と表現することとしました。言葉の問題で運動を停滞させるより、実戦的な運動を先行させたいと考えるからです。
 したがって、昨年11月の全国集会での論議や全労連の組合員教科書などが消えてなくなるわけではなく、論議をさらに進める素材であることは当然のことです。
 憲法は、国民から政府への命令書、と言われます。市民的権利に加え、ワイマール憲法以来の生存権規定など社会権を規定する日本国憲法は、社会保障、教育、雇用、労働基本権を基本的人権として国に尊重を迫っている世界でも先進的な憲法です。
 この命令書、憲法に従った国の政治、制度づくりを、という運動は、決して政治的な課題ではありません。労働者として、国民としての当然の要求です。その当然のことの実現を迫る、当面の運動が安全・安心社会をめざす大運動・全労連大運動であることを改めて確認をお願いします。

 第3に、非正規労働者の労働条件改善、雇用の安定と均等待遇実現の運動強化の必要性に、大坂労連・嘉満代議員など多くの発言がありました。口々にふれられますように、有期雇用、非正規雇用が原則という方向を打ち出した日本再生戦略は、本日閣議決定されました。
 先日、大坂の地下鉄に乗りましたら、交通局の2013年度採用募集のポスターがありました。内容はすべて嘱託職員採用で、試験に合格すれば正社員になれるというものでした。郵政でも、JRでも、東京の地下鉄でも同様のものを目にします。実態は、政府文書を先行し始めているように思います。
 それだけに、制度と職場運用の両面での運動強化が必要です。当面の焦点はパート労働法ですが、同時に、職場での正社員化の運動強化の論議を強めていただくようお願いします。非正規労働者の組織化促進とあわせ取り組みの特段の強化を確認しあいましょう。

 本大会を通して、全国各地で、全労連の地域組織や単産が、国民共同の担い手、一点共闘の担い手として奮闘しているだけでなく、一点共闘から重層的、多面的な共闘前進の「要」の役割も担い始めていることが、たとえば北海道労連・渡辺代議員や滋賀県労連・今村代議員の発言からも明らかになりました。
 労働組合の役割は、職場労働者の雇用とくらしを守り、要求前進に力を尽くすことは当然です。その点で春闘、夏季、秋闘などでのたたかいを産別、地域の統一闘争を基軸に強化するために全労連の調整機能が求められていることは十分ふまえたいと思います。しかし同時に、たとえばヨーロッパの労働組合のたたかいが、職場のたたかいと同時に、緊縮財政による年金改悪反対で大規模なストライキをナショナルセンターの指導のもとに取り組むことにも象徴されるように、集団の力を社会的課題で発揮することもまた当然のことだと思います。
 その社会的労働運動の場面で、いよいよ企業内に埋没し、資本との一体化と政治主義を強める連合とは異なり、いま全労連全体に、全労連を構成する単産、地方組織を含め、全労連全体に光があたっていることを、この大会では確認できるのではないでしょうか。
 そして、その状況の延長線に、激しさを増している新自由主義構造改革に回帰し、強権化する政治との対決点が明らかになり、転換を求める国民、労働者の選択肢を晃関していくことになる、千葉労連・松本代議員をはじめ何人かの方がふれられました。
 たたかえば、希望が広がる変化の時代、2010年代前半の全労連運動方向を深めあうことのできた大会として成功しつつある、そのことを最後に申し上げて、幹事会としての総括答弁とします。
 3日間の討論、ありがとうございました。