安倍内閣の経済政策である「アベノミクス」の中心課題とされた成長戦略の主要課題に、労働者派遣法の抜本改悪、解雇自由化、残業代ゼロなどが位置付けられ、強行にすすめられている。新自由主義の広がりによる格差と競争、自己責任が強調され、非正規雇用が広がり、有期雇用と低賃金が蔓延し、労働法が軽視されるなど、規制緩和と構造改革によるあらゆる犠牲が労働者と国民に押し付けられている。
大企業相手にたたかわれている派遣・期間工切り裁判では、山口マツダ裁判で勝ち取った勝利判決を受けて今年の7月22日に和解が成立した。このたたかいは、派遣切りなどでたたかっている全国の仲間を大きく励ましている。さらに7月10日には、資生堂・アンフィニ裁判では、派遣元企業の解雇を無効とし、判決確定までの賃金支払いを命じる一部勝利判決が出ている。社会保険庁解体にともなう分限解雇撤回闘争では、人事院が「裁量権を濫用したものとなる」と明確に判定し、34%の処分取り消しが決まり、たたかいは不当解雇された仲間の裁判闘争へ移行している。
他方で、ホンダ、いすゞ、ダイキン、日産、NEC、パナソニックなどの派遣切り・期間工切り裁判では、派遣先企業による偽装請負や雇用のキャッチボールなどの違法・不法行為の存在を認めながら、それを免罪し、「働き続けたい」という労働者の切実な願いは切り捨てるという不当判決が続いている。
JAL裁判では、「更生計画ありき、よって解雇有効」という論理によって解雇を容認する不当判決が、再び東京高裁で出された。国際的にも批判が高まっており、最高裁で却下させず、公正な判断を行わせるための緊急なたたかいの盛り上げが重要になっている。
これら一連の司法判断で共通する点は「大企業の言い分は正しく、労働者側の立証は信頼するに値しない」とする偏向的判断に支配された判決になっている点である。
さらに、悪質なファンドによる企業支配が広がり、成果主義などをフルに悪用した解雇・退職強要が頻発している。昭和ゴム争議や日本IBMによる「ロックアウト解雇」はその典型である。そして「追い出し部屋」などを使った電機大企業による未曾有のリストラも続いている。
労働環境が悪化し、長時間過密労働や異常なノルマ管理、セクハラ・パワハラなどによるメンタルヘルス不全が蔓延し、未組織労働者からの労働相談も多数寄せられている。格差と貧困がますます深刻化し、若者を使い捨ているブラック企業・ブラックバイトが横行するなど、構造的な労働者攻撃が強まっている。さらに、「ユニオン対策」などと称して、不当労働行為をそそのかす弁護士や社労士などの「ブラック士業」の広がりも深刻な問題になっている。
こうした労働者・国民に対する攻撃に勝利するには、国や企業の無法を糾弾し、司法の反動化を許さない社会的な大きな包囲行動が必要になっている。そして、安定した良質な雇用が保障され働く貧困も過労死もない社会の実現をめざすことと合わせて、厳しい条件のもとで、働く者の暮らしと権利、尊厳の回復を求めて戦っている争議団の仲間の思いに寄り添い、すべての争議の勝利解決を勝ち取るため、全労連に結集する職場・地域の組織の総力を結集して奮闘することを決意する。
以上、決議する。
2014年7月28日
全国労働組合総連合 第27回定期大会