すべての争議の早期解決をめざす特別決議

企業が労働者をモノのように使い捨て、司法がその良心と憲法尊重擁護義務を見失い、資本や権力に迎合する姿勢を強めているという困難な状況の下でも、労働争議をたたかう仲間のあきらめず粘り強いたたかいは貴重な勝利・前進をかちとっている。

日本IBMのロックアウト解雇撤回闘争は昨年の第1次・第2次訴訟に続き、第5次訴訟でも和解が成立。会社は11人すべての解雇を撤回し3人が職場復帰を果たした。グリーンディスプレイ青年過労死裁判が横浜地裁川崎支部で和解が成立。通勤時の事故に対し会社側が責任を認める画期的な和解が成立した。台東第一興商パワハラ損害賠償請求・不当降格撤回闘争は全面勝利の内容で和解が成立した。JMITUフクダ電子は「定年後再雇用雇止め事件」で勝利和解が成立。「パワハラ退職強要事件」では東京高裁勝利判決が最高裁への不受理で確定した。DNPファイン解雇・偽装請負争議は東京都労働委員会において労働委員会の和解案に双方が合意し9年間の争議の和解が成立した。原告のあきらめない闘志、支援する仲間の団結、年2回の全労連・東京地評争議支援総行動などの力を集中したとりくみが有機的に結びつく中で多くの争議解決を実現した。

郵政産業労働者ユニオン「20条裁判」では、東日本・西日本の判決で正社員との手当の格差の不合理を認める判決を勝ち取った。NTT西日本(岐阜)の契約社員雇止め裁判でも、岐阜地裁で全面勝利判決を勝ち取った。エミレーツ航空では、会社が控訴を取り下げ、解雇を無効とした大阪地裁判決が確定した。日産自動車派遣切り事件では、神奈川県労働委員会が日産自動車に対し不誠実団交是正の勝利命令を出した。司法の反動化のなかでも大きな前進を実現している。

JAL争議では、LCC新会社設立と深刻な人手不足を背景に、争議解決にむけた和解協議が始まり、全国の仲間たちの大きな支援が争議を大きく動かした。社会保険庁の分限免職撤回闘争でも、全厚生闘争団の仲間が全国でねばり強く裁判闘争をたたかっている。

「残業代ゼロ・働かせ放題」の「高度プロフェッショナル制度」の導入、過労死ラインの上限規制、「雇用によらない働き方」の普及など働くルールを破壊する「労働法制改悪一括法」は強行採決された。社会全体の「ブラック企業化」を阻止し、改悪法を職場に持ち込ませないたたかいを強化する。そして、「最低賃金1000円以上」、「時間外労働の上限規制」、「同一労働・同一賃金」の実現をめざして全力でたたかっていく決意である。

ブラック企業・ブラックバイト、パワハラ・セクハラ・マタハラの横行、過労死・過労自殺の頻発などにみられるように、労働者と職場をめぐる状況はいっそう悪化してきている。こうした中で、不当解雇や労働者いじめ、不当労働行為などの労働争議をたたかう労働者・労働組合と連帯して、その勝利解決をめざすとりくみはいっそう重要性を増してきている。

わたしたちは、安倍内閣による憲法改悪を許さず、憲法を暮らしと職場にいかすたたかいを強化するとともに、争議をたたかう労働者・労働組合と固くスクラムを組み、そのたたかいを支援し、すべての労働争議の一日も早い解決をめざしていっそうたたかいを強化していくものである。

以上決議する。

2018年7月27日
全労連第29回定期大会