2002年国民春闘・闘争宣言
日経連は本日開催する臨時総会で、「労働問題研究会報告」を発表する。
その内容は、相変わらず「わが国の賃金水準は世界のトップクラス」論を振りかざして、国際競争力の維持という観点から「これ以上の賃金引上げは論外」と主張している。また「ベア見送り、定昇の凍結・見直し」を要請するなど、徹底した「総額人件費の抑制」、春闘解体の姿勢をこれまで以上に強く打ち出している。加えて、「危機的な雇用失業情勢を打開するため」として、雇用のセーフティネット、ワークシェアリング、雇用の多様化などを掲げているが、その狙いは「総額人件費の抑制」とパート・派遣など低賃金労働者の拡大である。さらに、年金、医療、介護、福祉などは「自立・自助・自己責任」の要素を高めるなど、公的責任を放棄し、大企業に市場を開放するという社会保障制度の再構築を提唱している。
私たち春闘共闘は、日本経済と国民生活を危機的状況に陥れ、労働者・国民への犠牲転嫁によって「構造改革」を推進しようとする日経連・財界の姿勢に強く抗議するとともに、「労問研報告」は断じて容認できない。
いま、労働者・国民の生活は、小泉自公保内閣による悪政と大企業の横暴によって、戦後最悪の失業者や自殺者を生み出し、個人消費の長期低迷、中小企業の倒産など深刻な生活危機に見舞われている。その最大の要因は、リストラ・首切り競争と毎年の賃金抑制、さらには年金・医療制度の改悪攻撃にある。とくに、NTTや電機・自動車などの大企業が大規模なリストラ計画を相次いで発表し、新卒者の深刻な就職難がつづき、世帯主の失業が高水準に達している。こうした国民犠牲・負担増の押し付けが、日本経済のもっとも大きな力である個人消費を冷え込ませ、労働者の間にいっそうの雇用不安、生活不安、将来不安をいだかせ、消費不況を長期化させている。
一方で財界・大企業は、この不況下でも大儲けをつづけている。日立、トヨタ、NTTなど主要企業20社の連結決算だけ見ても、この一年間に2万人近い人べらし「合理化」、中小・下請けいじめを強行して、内部留保を2兆6000億円も増加させてきた。まさに利潤の集中、大企業の「ひとり勝ち」状態をつづけている。日経連が「ワークシェアリング」を主張するなら、賃下げ、不安定雇用の拡大を押し付けるのでなく、サービス残業の根絶、時間外労働の削減、有給休暇の完全取得などによって雇用拡大を図るべきであり、本工・正社員の増員、パートの均等待遇は十分可能である。
小泉内閣の「構造改革」路線は、大企業のリストラ・首切りを応援し、特殊法人や医療・福祉まで民営化しようとしている。また、医療費の大幅引き上げ、公務員制度の大改悪、選別教育などもすすめ、「国際テロ」を口実に有事法制の強化、憲法第9条の改悪まで公言している。このように大企業を優遇し、労働者・国民にいっそうの負担と「痛み」を押し付ける政治姿勢にたいして、「小泉人気」を支えてきた多くの国民が、小泉改革の犠牲者になろうとしていることに気が付きはじめている。したがって、02春闘は労働者の切実な要求実現とともに、日本の政治・経済の歪みを正す重要なたたかいであり、新しいうねりをつくるチャンスである。
私たち春闘共闘はこの間、リストラ反対・雇用確保、賃金底上げ、年金・医療制度の改悪阻止、行革・規制緩和反対などを掲げてたたかってきたが、ガマンも限界である。国民の生存権にかかわる「雇用」「くらし」「いのち」を守る共通課題を土台に、国民生活優先の新しい波を生み出すために、すべての労働者・国民との共同をすすめ、各分野で壮大な運動をつくりあげ、国民的統一ストライキで、政府の悪政と大企業の横暴にいどむ02春闘をめざして全力でたたかいぬくことをここに宣言する。
2002年1月11日
2002年国民春闘共闘委員会
2002年東京春闘共闘会議
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