2002年国民春闘共闘情報
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第47号  2002年7月02日

 第3回最終・春闘進ちょく状況調査  

回答引出し数は56%、妥結33%

未解決各組合は一時金と結合し全面解決へ

 国民春闘回答集計センターは6月28日、春闘総括の「第3回幹事会総会」に合わせ各単産に加盟する全単組を対象とした春闘進ちょく状況の第3回・最終調査を実施した。参加27単産から報告があり、回答引出しが56%、妥結がいまだ33%など、きびしい進ちょく状況が明らかになった。




02春 闘 進 ち ょ く 状 況

(第3回・最終集計)    2002年6月28日 国民春闘共闘委員会

  調査 スト権確立 要求提出 回答引出し うちベアゼロ うち定昇カット賃下げ提案 スト実施組合 妥結・妥結方向
単産名 組合数
全農協労連 343 32 9% 215 63% 195 57% 86 25% 3 1% 4 1% 93 27%
建交労 672 672 100% 672 100% 372 55% 148 22% 68 10% 52 8% 256 38%
建設関連労連 55 8 15% 32 58% 31 56% 14 25% 16 29% 2 4% 28 51%
JMIU 330 249 75% 249 75% 191 58% 88 27% 21 6% 280 85% 129 39%
化学一般労連 149 25 17% 140 94% 126 85% 15 10% 5 3% 4 3% 115 77%
全労連繊維 1 1 100% 1 100% 1 100% 0 0% 0 0% 1 100% 1 100%
自交総連 453 306 68% 351 78% 163 36%         11 2% 139 31%
検数労連 2 2 100% 2 100% 2 100% 1 50% 2 100% 0 0% 2 100%
通信労組 13 13 100% 13 100% 13 100% 13 100% 2 15% 26 200% 0 0%
全倉運 51 18 35% 47 92% 45 88% 19 37% 3 6% 0 0% 42 82%
生協労連 188 27 14% 85 45% 86 46% 75 40% 10 5% 10 5% 28 15%
全国一般 460 460 100% 325 71% 285 62% 33 7% 10 2% 80 17% 80 17%
全信労 61 17 28% 50 82% 33 54% 25 41% 3 5% 0 0% 10 16%
地銀連 10     10 100% 9 90% 9 90%         8 80%
外銀連 10 10 100% 10 100% 10 100% 3 30%     10 100% 3 30%
銀行労連 14 11 79% 14 100% 14 100% 8 57% 5 36% 3 21% 10 71%
全損保 20 20 100% 20 100% 20 100% 20 100% 0 0% 0 0% 15 75%
全証労協 30 20 67% 20 67% 7 23% 7 23% 5 17% 5 17% 10 33%
全印総連 165 48 29% 120 73% 93 56%         50 30% 66 40%
民放労連 143 80 56% 113 79% 96 67% 80 56% 5 3% 110 77% 76 53%
出版労連 138 104 75% 132 96% 131 95% 34 25% 3 2% 299 166% 123 89%
広告労協 51     46 90% 46 90% 35 69%         28 55%
映演共闘 34 17 50% 26 76% 19 56% 2 6% 0 0% 20 59% 19 56%
日本医労連 451 217 48% 365 81% 280 62% 244 50% 36 8% 113 25% 57 13%
郵産労 1     1 100% 0 0%                
全国私教連 285 87 31% 189 66% 68 24% 49 17% 14 5% 0 0% 20 7%
特殊法人労連 9 6 67% 7 78% 1 11% 1 11% 0 0% 2 22% 1 11%
報告計 4138 2430 60% 3255 79% 2337 56% 989 27% 211 6% 1012 28% 1359 33%
前年同期 4100 2057 62% 3251 79% 2465 60%         1039 32% 1654 40%
 (注)、各項目の「率」の計算は報告のあった単産の組合数を分母としています。





要求提出数は前年同率の79%止まり

[調査組合数、要求提出数]

 調査組合数は報告計で4138組合(27単産)になり、ほとんどが中小労組です。組合数が多いところは建交労の672組合、全労連全国一般460組合、自交総連452組合、日本医労連451組合、全農協労連343組合、JMIU330組合、全国私教連285組合など。なお、昨年の最終集計で全体計は4100組合(26単産)でしたが、今年は外銀連の報告が加わり若干増加しました。
 要求提出は、計3255組合で全体の79%になり、前年同期比でほぼ同数・同率になりました。建交労と全労連繊維、検数労連、通信労組、地銀連、銀行労連、全損保、郵産労が100%で、出版労連が96%、化学一般労連94%、全倉運92%、広告労協90%などが高率です。


回答引出し56%、半数以上がベアゼロか賃下げ

[回答引出し、妥結数]

 回答引出しは計2337組合で、6月下旬段階でもなお56%(前年同期比で4ポイントの減少)の低水準です。遅れている要因は「赤字決算」「経営難」の実態や思想攻撃があり、賃下げ強要、リストラ提案とセットの回答は「回答とみなさない」などもあります。組合側にも一部に今期は「あきらめ」の傾向や力量低下も報告されています。回答内容は「ベアゼロ」と「賃下げ」で半数以上を占め、「ベアゼロ」は989組合(全体の27%、回答数の42%)に達し、通信労組のNTTグループと全損保は全社、地銀連は90%、検数労連、銀行労連、民放労連、広告労協などでは50%以上のようです。また、「定昇カット」や「賃下げ」提案が211組合(全体の6%、回答数の9%)もあり、検数労連が100%、銀行労連36%、建設関連労連29%、全証労協17%、通信労組15%など、後続の金融関係、私学もベアゼロや賃下げ・一時金カットの回答が報告され、「厳しいというより無残」(私学)と評しています。JMIUや全国一般には「業績主義賃金の逆提案」などが見られます。
 こうしたなかで、回答引出し数が多いのは、外銀連、銀行労連、全損保などが100%で、出版労連95%、地銀連と広告労協が90%、全倉運88%、化学一般労連85%などです。
 うち妥結または妥結方向に達しているのは1359組合で、いまだ33%の低水準にとどまっています。妥結しているのは、当初「2次回答」や「前年実績以上」を確保した組合が中心でしたが、ここにきて「超低額」ながら一時金で一定の回答を引出して妥結したり、上積みもかなわず「超低額」のまま妥結する組合も見られます。「全体としてほぼ集約方向」(解決率80%以上)になっているのは、全労連繊維と検数労連の100%、出版労連89%、全倉運82%、地銀連80%の5単産のみで、化学一般労連、全損保、銀行労連が70%以上になりました。各々低額なりに決着・区切りを付けています。このほかの単産では、前述のようなきびしい回答内容のために未解決が多く、解決率が50%に満たない単産が14も見られます。


スト権確立60%、実施は28%に

[スト権確立・実施数]

 スト権は2430組合で確立し、調査計の60%になり、前年比で373組合増えましたが、率では2ポイント減少しました。実数で増えた要因は、早くから「3・14」に加え「4・12統一スト・国民総行動」を提起したことです。建交労と検数労連、通信労組、全労連全国一般、外銀連、全損保が100%で、銀行労連79%、JMIUと出版労連がともに75%などと高率でした。
 うち、ストライキ実施組合数(指名スト含む)は、のべ1012組合で全体の28%(4ポイント減)でした。「4・12統一スト・国民総行動」直後には702組合で、前年同期を上回っていたものの、その後、「4月末決着」のたたかいや「5月闘争」で若干の伸び悩みになりました。1組合が2回のストを打てば「2」とカウントしますので、通信労組の200%と出版労連の166%は群をぬくたたかいぶりです。JMIUが85%でつづき、民放労連77%、映演共闘59%などが高率で奮闘しました。公共性が高い業種や取引関係上ストが打ちづらい下請中小の特性、さらに、ストを打っても上積みの見込みがないことなどが今期の特徴点として報告されています。


全面解決へ夏季一時金と結合して

 以上の数値と各単産からの報告を総合すると、春闘の進ちょく状況は史上最低であった昨年に比べ、あらゆる面で後退しており、春闘・賃金要求をめぐるきびしさは格段のものがあります。多くの単産が、7月上・中旬に設定している一時金支給日などを目途に粘り強くたたかおうとしています。