2002年国民春闘共闘情報
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第48号・総会特集  2002年7月03日

回答引き出しは6割。賃金闘争を継続中

共同の広がりで小泉内閣追い込む

 国民春闘共闘  第3回総会で春闘総括

 国民春闘共闘委員会は5日、東京・全労連会館ホールで第3回幹事会総会をひらき、「02国民春闘の経過・到達点と課題」と「当面する重点課題の共同行動」について、討議、確認しました。賃金闘争では困難を余儀なくされましたが、「国民総決起型」の春闘を提起し、悪法阻止など共同の取りくみによって「小泉内閣を窮地に追い込んできた」ことを評価、ひきつづく夏季闘争の強化を意思統一しました。



医療・有事…悪法阻止の「7・19大集会」呼びかける

 写真
 総会には23単産・団体・4地方の代表ら61人が参加。主催者あいさつで小林洋二代表幹事が悪法阻止の「7・19緊急大集会」を各界に呼びかけると提案し、医療改悪法案、有事関連三法案、個人情報保護法案、郵政関連法案などの悪法の"火種を残さず廃案に"追い込む闘争強化を確認しました。
(写真。あいさつは別掲)
 坂内三夫事務局長が「02国民春闘の経過・到達点と課題」を提案。02春闘では「誰でも・どこでも1万5000円以上」やパート時給などの「賃金底上げ」要求を掲げて賃金闘争をすすめてきましたが、登録組合の回答引き出しが6割にとどまり、加重平均で7126円、2.01%(前年比525円減、同0.25P減)の水準。こうしたことから「ベアゼロ・定昇凍結などが続出した春闘全体の否定的影響を乗り越えるにはいらず、要求からほど遠い低額回答に押さえ込まれた」と総括しました。
 また、「国民総決起春闘」として、「雇用」「いのち」「くらし」の三課題で国民諸階層との共同行動を展開してきました。「4・12統一スト・国民総行動」では結成以来最大の83万5000人が参加、医療改悪反対で2600万人分の署名を集約(他団体分を含む)し、有事法制反対でも陸海空・港湾20労組が呼びかけた「国民大集会」など多様な共同が広がるなど、共同行動の前進を評価しました。そのうえで「国民総ぐるみの春闘こそ21世紀春闘発展の方向」だと強調しています。坂内事務局長は、6月末段階の全単組(民間4138組合)の春闘進ちょく状況について「回答引き出しが56%、妥結が33%」と紹介しながら、春闘未解決・夏季一時金、最賃・人勧闘争と国会での悪法阻止のたたかいを結合してたたかう夏季闘争の強化を要請しました。



悪法阻止と最賃・人勧闘争など当面する共同行動の強化を

 国分武事務局次長が「当面する重点課題の共同行動」について提案しました。

1) 悪法阻止の国会闘争については、医療改悪法案の阻止にむけて毎週火曜・木曜の定例日に委員会傍聴、4日、11日、18日、25日に国会前座込み行動、19日午後の座込みと夜の緊急大集会(明治公園)など。有事法制廃案にむけての国会前座り込み行動(医療と同日)、委員会傍聴など。郵政関連法案、個人情報保護・メディア規制法案も審議日を中心に行動強化を要請しました。
2) 第4次最賃デーは、7月15日〜19日のゾーンとし、18日に中央行動(作業委で具体化)を実施する。
3) 人勧闘争は、マイナス勧告や一時金切り下げを許さず、7月3日と31日に中央行動を配置。とくに31日の第2次中央行動は官民一体で5000人規模の結集をはかる。
4) 中央メーデー会場問題裁判は7月22日の第3回口頭弁論(722号法廷)に各組織1名以上、全体で50名の傍聴者でのぞむ。
5) 中労委・労働者委員の公正任命にむけて、6月のILO結社の自由委員会が日本政府に勧告した内容=「最低限、労働組合の複数性を認め…」や「実質的な利害関係をもつ労働組合運動のさまざまな潮流の代表権」を武器に、今井一雄候補(民間担当)と藤田忠弘候補(国営・独立行政法人担当)の実現を迫る活動として、7月3日の国会議員要請行動への参加を要請しました。





●主催者あいさつ  小林洋二代表幹事

規制緩和・市場原理は経済破たんの道

悪法阻止へ「7・19大集会」に総結集を

 最近、ニュージーランドを訪問してきた。規制緩和と市場原理の徹底のなかで、世界の経済が混迷と破たんに直面していることを痛感した。とくに、ニュージーランドは20年前までは、いのちとくらし、社会保障の規制が最もきいた、"南半球の楽園"と言われたところだった。労働党政権時代から規制緩和がはじまり、国民党に移ってから徹底した規制緩和を行って、80の公的事業を売り払う事態になり、そして経済が混迷し失業者が町にあふれた。労働党も反省して再度国民の支持を受けて政権に返り咲き、いまは経済の発展方向へと向かっている。
 日本の小泉内閣も、世界的な規制緩和、市場原理徹底のなかの「構造改革」として、小泉内閣の経済政策も破たんしてきているのではないか。破たんとはいえ、その攻撃は激しいもので、職場の激動も激しいものであると思う。たたかわなければ後退する、たたかえば道は開けるという情勢にある。
 当面する国会の問題だが、延長国会もいよいよ終盤である。我々の春闘課題、医療改悪、有事法制、メディア規制、郵政関連法案…、こうした悪法をなんとしても阻止したい。賃上げでは成果が取れなかったが、国民課題では必ず勝利しなければいけないと思う。国会情勢は極めて緊迫している。いずれも決して油断できない。医療はすでに衆議院を通っている(これは強行採決で認められないが…)ので、いつでも採決される危険性がある。有事法制は一部には「継続審議か」と報道されているが、先日のNHK討論会では、「いつでも採決できるよう審議は尽くしている」と与党は豪語している。これまた危険は十分にある。メディア規制についても「断念か」といわれているが、決して安心することはできない。
 しかし、今日に至るまで長期の国会審議にもかかわらず、彼らが「重要」と言った法案がいずれも成立には至らず、延長国会の最後まで追い込んできていることは、私たちのたたかいの大きな成果であり、「小泉改革」の破たんと深く結びついていると思う。
 たたかえば決して展望がないわけではない。必ず勝利の可能性をもっていると思う。そこで常任幹事会は、終盤国会の最大の力点として、来る7月19日に明治公園で、4万、6万の「STOP!有事法制」の集会に匹敵する大集会を設定したい。そして、19日の大きな成功のうえに立って、23−25日、月末まで連続的に追い込んで、必ずすべて廃案というたたかいをすすめたい。本日の総会の意思統一にもとづいて、大集会の主催を国民大運動実行委員会、中央社保協、有事法制反対連絡センター、春闘共闘・全労連の四者が中心になって行うことを呼びかけたい。有事法制で共同したなかま、最近では連合も医療と有事法制に反対の態度を発表した。医師会も参考人質疑で揺れた時期もあったが改めて三医師会とも今次の医療改悪には反対であるという態度を表明している。したがって、国民的な世論と運動は日々政府と自民党を追い込んでいる。その力で、私たちは国民春闘最後の仕上げとして7月19日を軸に精一杯たたかっていきたいと思う。
 本日の意思統一にもとづいて、全単産・地方のみなさんが行動強化を徹底していただいて、大規模な成功をかちとってほしい。既に民医連や保団連は自らの課題として万単位の動員体制を表明しているが、医療にしても有事にしても、一番被害を受けるのは労働者だ。労働者部隊が参加数で医療団体に負けるような体制ではまずいと思う。定期大会シーズンでもあるが、調整もしていただいて、あらゆる力をここに集中して国会終盤をたたかい抜いて、春闘の展望を来春闘に向けてぜひとも切り開いていきたいと思う。彼らの体制も相当なものだが、我々ががんばれば展望が開ける瞬間ではないか。本日の総会の深い意思統一でがんばっていきたいと思う。よろしくお願いしたい。





リストラ・人べらし・賃下げ許すな!

組織拡大、底上げ闘争、地域春闘を

 11人の単産・地方代表が発言。総括案を補強 

 討論には11人の単産・地方代表が発言に立ちました。民間、公務を問わず、リストラ、人べらし、賃金ダウンなどの攻撃とたたかい、果敢に組織拡大に挑んでいる報告も。また、「増大しているパートなど不安定雇用労働者の要求、地域の全労働者の気持ちを結集した賃金底上げ闘争をさらに強めよう」「地域春闘について、もっと議論していこう」などの意見が相つぎました。各々、ひきつづく悪法阻止や夏季闘争への決意を語りました。



 国公労連・岸田重信書記次長) 公務員賃金の引き下げは許さない

 公務員賃金について。2002年の民間春闘のベアゼロ・賃下げ、定昇凍結などを反映してきびしい状況になろうとしている。公務員には1.72%の定期昇給があるが、本俸切り下げ、一時金の連続切り下げ、定昇もどうなるのかということが大きな争点になっていく。
 国公労連は春闘前段で、1万7000円を要求してきたが、政府・人事院はこれまでどおり「人勧尊重」「官民較差にもとづいて」と回答している。一方で、民間給与実態調査を見直し、賃金水準を中小の事業所にシフトしてきた。「官民較差」は民間の50人以上の事業所が対象だったが、今回は30〜49人規模も調べている。同時に、人勧期を前に竹中国務大臣や小泉首相など政府関係者から「公務員賃金抑制」の発言が相ついだ。国公労連は職場からの抗議打電や、内閣府と総務庁に抗議の申入れをしてきた。こうしたことから、国会でも官房長官や竹中国務大臣が「人勧尊重」と答弁している。また、政府は6月25日に閣議決定した「経済・財政運営と構造改革に関する基本方針」のなかで、公務員の総人件費の抑制、増員の抑制と定員削減、地域ごとの公務員・民間給与の比較などの見直しを決めた。
 国公労連は、4年連続の賃金切り下げを許さないために、公務産別とともに署名に取りくんでいる。750万労働者に影響するし、賃下げは地域経済へも悪影響を及ぼし、消費不況をいっそう深刻にする。こうした運動に民間労組のご支援・ご協力をお願いしたい。悪法阻止のたたかいとともに奮闘したい。



 通信労組・岩崎俊委員長) NTT11万リストラをくい止め、雇用確保へ

 NTTの賃金は昨年来ベアゼロで、成果・業績主義の導入で今年も50歳以上はゼロ、50歳までは年齢給しか上がらない。特別手当も100万円のうち、75%が一律、25%が成果・業績給だ。職場に不団結とやる気なさを引き起こしている。通信労組の組合員はD評価なので25%分がゼロになる。会社は50歳以上にはどんなに働いても、C、Dしかつけない方針のようだ。
 NTTはこの間の11万人リストラで、「50歳退職・再雇用」「30%賃下げ」で脅し、5万2500名(対象者全体の92%)が応じた。通信労組の470名近くがNTTに残り、解雇者は一人も出させなかった。また、5月1日付けでの「遠隔地配転」は出させなかった。会社の11万人リストラは行き当たりばったりで、新会社の事業内容も明らかでなく、5月1日には同じ所で同じ仕事をしているのに、25日の給料日に一方は30%の賃下げになった。しかし、NTTに残った組合員に対しいまになって嫌がらせ・見せしめ配転を強行してきた。札幌、旭川の組合員は道内や東京へ配転命令が出され、各地に広がっている。福岡から名古屋へ単身赴任された人はADSLを売らされている。福岡時代と同じ仕事で転勤の必要性がない。家族的責任を有する組合員が育児・介護休業法を活用して配転を阻止している事例も6―7件ある。これは労働局がNTTを指導してくれた。愛媛では心臓病をかかえる家族の面倒を見なくてはならない人が、裁判1回で和解した。しかし、山形支部の役員が東京へ転勤になった例もある。断れば懲戒解雇と脅しているので、各地で裁判闘争を準備している。
 西と東は対応が若干違う。東は7月1日いっせいに。西は状況を見ながらポツポツとやっている。この10―11月には新しく50歳になる人が対象になる。私は、純粋持株会社の株主になり、総会に出席して会社のリストラ問題を追及した。労働組合の委員長の発言として注目されたが、株価の下落は経営陣の経営計画失敗によることや、労働者が生き生きと働かなくては優良企業にはなれないし、株価も上がらないことなどを指摘してきた。引き続きがんばる。



 日本医労連・前川昌人書記長) 診療報酬の引下げ理由に、賃下げ押しつけ

 中央社保協と医団連がつくったミニリーフと、はがき付きチラシが配られている。国民春闘が提起した「国民一揆」という表現にこだわっていたが…。まだ一揆は始まったばかりだと思う。医療の労働組合として医療問題を前面に掲げ、この春闘でがんばってきた。2月14日、さいたまスーパーアリーナで1万5000人の決起集会を成功させ、医療大改悪阻止に取りくみはじめた。決起集会に参加したなかまが職場に帰って、1月末以来の国会行動には、地域の人の要求、自治体の行政側の要求、業者の要求をかついで国会議員に解決を迫るというたたかいに発展した。この半年の運動で職場の人の自覚になって、のべ1500人の上京団が参加して廃案をめざす闘争を前進させてきた。
 5月17日の読売新聞に1ページ全面意見広告が大きなインパクトとなり、地域で医療、社会保障をたたかうなかまを励ましてきた。医療改悪阻止と賃上げを結合してたたかってきた。
 秋田の本庄国立病院では、病院の統廃合をめぐる住民投票条例制定を求めて議会に署名を提出した。共同がおおきく広がり半数近い署名が集まったが、村岡(自民)が乗り込んで巻き返してきた。議会では13対11で否決された。住民自身が地域医療を考える、国民一揆型の秋田・本庄版だったといえる。
 医療・社会保障は21世紀の花形産業だといわれたが、医療の春闘は、日経連の方針がストレートで現れる状況になった。とりわけ、「三方一両損」で、6ヶ月を超す入院料負担が大幅に増えるなど、財界が規制緩和で公的医療を解体してくる。医療経営者は3月期決算が黒字でも、診療報酬の引下げなどによって賃金を下げるしかないと攻撃してきた。残念ながら押し返すところまで至っていない。夏季一時金も10%近いマイナス回答である。いま、職場では小泉首相がすすめようとしている医療大改悪の阻止、同時に労働条件を守るために全力をあげようと意思統一しているところだ。
 東京女子医大では、総合外来棟をつくっているが、病院給食を全面下請けにしようとしている。検査も下請・外注化など、人間のいのちよりも経営効率の追求に走っている。労組をあげて医療ミスのない職場づくり、医療大改悪反対のたたかいをすすめているところだ。



郵産労・田中論委員長) 非常勤職員の賃上げを中労委に申請

 国営企業の賃上げは、中労委にあっせん調停の最中だ。郵産労はこの春闘で、郵政公社化法・信書便法案や悪法阻止をたたかうこと、もう一つは、郵政労働者の生活実態に根ざした賃上げ闘争をどうたたかうのか。1万2000人からの要求アンケートにもとづき、とくに今年は、パートなど短時間非常勤労働者の賃金・労働条件の向上を重点課題として取りくんできた。いま、郵政職場には、エプロン姿の主婦のパートさんなど非常勤職員が10万8300人も働いている。この人たちがいなければ仕事は回らない状況になっている。政府の「郵政新生ビジョン」ではこれを43%に拡大する方向だ。4月18日の労使交渉が不調に終わり、本務者とは切り離して中労委に初めて調停申請した。結果は、委員長勧告で「今後、ひきつづき労使が誠意をもって話し合っていくこと」になった。全国で1150万人の不安定雇用労働者がおり、非常勤職員問題を中労委のなかで問題提起したという点で成果があったと思う。
 本務者の賃上げ問題は、国営企業としては最後の交渉になる。この間6回交渉して回答なし。6月7日にあっせん申請し、24日に第1回事情聴取があった。これまで回答がなく、中労委も「人勧待ち」で苦慮しているようだ。我々は中労委に対してこれまでとは違った運動を検討しているところだ。
 郵政公社化と信書便法案は、内容が国民に知られていない。郵便を扱うところは郵政公社化法で、民間が扱ったら信書便法ということになる。私たちは二つの法案に反対している。郵政三事業の第1条には各々「公共の福祉の増進」を目的にしているが、公社化法では削られている。公共性が損なわれ効率性だけが追及される、非営利から儲け本位の営利企業になろうとしている。第3種、第4種問題もあり、盲人用の無料郵便存続の声が多くの自治体から上がってきている。郵産労は全国で100万の署名と宣伝活動をすすめている。ヤマトは記者会見して「参入しない」と表明したが、いまのままの方が利潤拡大になると判断したからだ。今回問題になっている信書便法案では、「ハードルが高すぎる」という小泉発言を受けて、総務委員会でいかに条件を下げるかということで、民間を入れて営利企業化の方向にもっていこうとしている。こうした公社化法には反対である。



 生協労連・桑田富夫委員長) 元気なパート春闘。転換期の正規春闘

 パート春闘について。パート部会は、元気な春闘をたたかってきた。「ルール署名」は15万筆を超え、一人で100筆、200筆が数十人も生まれてきた。働くみんなのアンケートも4万人を超えて集めた。最賃審議委員に8名が立候補した。地方労働委員にも千葉県で立候補した。医療署名も初めて人前でハンドマイクを握って病みつきになった人も。職場・地域で組織拡大もすすんだ。パート労組連づくりもすすみ、自立するパート労組になってきた。
 一方では、「これからの流通業界は儲けても賃上げはしない」という経営者が出てきた。こうしたなかで、がんばったけれどもまったく賃金が上がらないパートが大勢出ている。正規がベアゼロならパートもゼロだ。最低時給を下げたい、パートにも成績主義を導入する、補助的労働でなく基幹労働を任せるということがすすんできている。それがイヤなら、委託、派遣に切り替えるという。だから地域最賃要求や外へ打って出る春闘になってくる。ILOでも「パート条約」ができるとか、国が年金保険料を取り、税金や社会保険料を取るなど、パートを一人前に扱うなら、「賃金・労働条件も一人前のものを出せ」という構えになっている。パート問題は社会問題として発展すると思う。
 一方、正規労働者の春闘は、賃金闘争と企業内労働組合運動が問題になっている。今年は「世直し春闘」だし「生協改革春闘」「労組改革の春闘」の三段締め方針を出した。職場では、賃金より雇用、賃金より良い仕事をしたいとか。秋に予算づくりをしているから、この時期に賃金要求すべきという意見まである。企業内組合の特徴だ。生協労連としては方針転換して、成果・業績主義賃金は門前払いをしないという論議をしている。「総額人件費抑制反対」「成績主義賃金反対」だけではお互いに説得力がない。労働者は「良い仕事をしたい」という要望があり、経営側の利潤追求の側面はあるが、このままでは生協経営はダメになることがはっきりしているし、食の安全、BSE問題もある。それらに対応できているのか、賃金と仕事を考えながら春闘をたたかっていこうと議論している。
 組織拡大では、パートも近い将来、少数派になりかねない。委託、派遣が主流になりつつあるからだ。生協労連としてもすべての雇用形態を対象とした組織化方針を打ち出したい。不払いの一掃、労働安全衛生も取りくむ。もう一つは私見だが「地元の高校生、大学生を雇おう」という提案も必要だ。



 出版労連・今井一雄委員長) たたかえなかった組合の声を聞いて次の前進を

 中労委・労働者委員候補の今井です。ILOでの奮闘により、可能性が高くなったと思う。この夏には出版労連委員長を退任して、労働者委員に専念するための体力づくりにまい進したい。
 春闘総括について。春闘共闘180万人といわれるが、春闘共闘に入っていながら、春闘に参加できない組合や組合員をどうするのか。「第3回進ちょく状況調査」を見ると、要求提出は79%、スト権確立は60%、回答引出しは56%、ストの実施は28%、7月に入って春闘の妥結が登録組合で39%、こういう実態がある。これを春闘共闘としてどうするのか。総会に出席している単産は、そこそこ春闘をたたかうことができた、賃上げなりが獲得できた組合の幹部のみなさんだと思う。しかし、実際は要求提出ができない組合が30%もあるし、妥結できない組合も6割もあり、いまだ春闘をたたかっているということになる。そういうことを私たちは深刻に考えてみる必要があるのではないか。
 「4・12国民統一ストは有効だった」と書いてあるが、医療改悪反対とともに春闘の中心課題である賃金闘争に関わっても評価すべきであると思う。この点では6:4くらいで否定的だ。議案の<2―5>に書いてある「賃金闘争の今後の検討課題」の記述については評価したい。春闘共闘とはどういう組織かというと、たたかった組合、たたかえなかった組合を含む参加単産の結集体だから、この改善策は個別具体的に議論して、一つでも二つでもたたかえない組合をなくしていくことだ。記述されている(1)から(6)まで、とくに(6)の、「統一要求提出日、集中回答日、ストライキを含む全国統一闘争の配置と結集のあり方」などについては、個々の単産の春闘総括にとどまらず、こうした点にも触れながら発言してもらう必要があると思う。単純に言えば、要求提出できなかった30%の組合の代表に出てきてもらう。「4・12」と、あれだけ大騒ぎしてきたが、スト権を立てられなかった40%の組合に出てきてもらう必要がある。そういう人たちの苦しい、きびしい状況を発言してもらう必要がある。出来たところ、出来なかったところが相互に発言しあって、相互に学びあい、03春闘の展望を切り開くという総会にしていかないといけないと思う。常任幹事会は労を惜しまず努力してほしい。



 自治労連・三宅一光書記長) 「国民総決起」の提起と自治体労働運動

 「4・12」でストライキを打てなかった。ある会議で京都の人から「国民統一ストというからには自治労連、国公労連とも話がついているんだろう」「お前たちの腹は据わっているのか?」と聞かれた。残念ながら、公務員労組のスト権は年々狭まっている。いま、公務員制度問題をめぐって、「労働基本権を返せ」と要求しているが、ILOなら常識だが、国内では同意されていない。全国知事会へ申入れに行ったら「住民と直接触れ合うところでストをやられたら困る」という。国民的合意ができていない。総評時代の失敗もある。民主主義の問題とサービスの受け手の問題として深い国民的議論が必要だと思う。
 しかし、「国民総決起」という提起は正面から受け止めた。自治体労働者にとっては賃上げの時期ではないので、理屈はわかるが全面的な力を発揮するところまではいかない。そういう意味で「国民総決起」という提起は、自分たちにもやれることがある、ピッタリくる提起だった。自治労連としてはすべての単組が参加しようと呼びかけた。単組といっても大・小があり、役員はいるが活動できない単組もある。そこも含めてすべての単組が何かをやろう。これを一覧表にして配布した。3月に県民大集会をやった地方などからは「4・12」が国民総決起になっていなかったと報告してきた。2・20地域総行動も年内に日程を決めていないと出来ないように、国民総決起も早めに提起することが必要だ。
 つぎは賃金闘争で、トヨタのように資本の論理が貫徹された。賃下げ・ベアゼロの局面で、どういう要求を掲げて取りくむのかは、今までと違った視点で深める必要がある。自治体でいうと、一つは底上げ要求で、これを掲げて未加盟の人にも広げること。二つは公契約条例だ。地方自治体を舞台にして未組織の要求を実現するという強い武器になるので、これから力を入れていきたい。
 三つ目は、自分が生活し働く地域のなかで、自治体がどう動くかがカギになる。地域経済、自治体の赤字財政、それによるリストラ。住民にとっては負担増とサービス切り捨ての押し付け、保育料や医療費負担などで、賃上げ分は飛んでしまう。市町村合併も根っこは同じだ。これは究極のリストラで、住民サービスは低下する。100人いた職員は10人に減らされる。行政に文句を言いたくとも近所の窓口がなくなり車がないと文句も言えない。私たち職員の問題であるとともに、そこに暮らす人々には大問題であり、力点をおいていきたい。
 最後は公務員制度について。地方公務員も地方公務員法の改正が来年出されるという。その先取りで管理職には成績主義・目標管理が導入されている。彼らは健康保険証の取り上げを催促する、税金の取立ての尻たたき、職員同士を競争させる。こうして、住民の痛みを感じない、制度を盾に開き直ることもある。これはたいへん危険だと思う。しかし、いま自治体の職場は、いまの状態でよいのか。アンケートでは「住民に喜ばれる仕事をしたい」が多数で、「財政が苦しくとも福祉は削ってはならない」と考えている労働者が多数だ。ここに依拠して国民春闘に結集し、たたかっていきたい。



 年金者組合・田中寛治中央執行委員) 皆じっとしていられない。どう結集するか

 スペインでは対政府交渉で6―8%の年金引き上げをかちとった。この背景には労働者・労働組合のがんばりが成果をあげた。日本のように企業内労働運動では、退職すると労働組合員でなくなるというのは不思議な話だ。ナショナルセンターの組合員であったという誇りをもって、かたちはともあれ地域の中でたたかっていくという方向で考えていくことが大切だと思う。
 年金者組合から2月から6月の国会行動に、首都圏から600―700人のなかまが参加してきた。「4・12」では全国15都道府県で約1000人が行動に参加した。この春闘期に約3000人の年寄りが馳せ参じたことになる。それは、要求が切実だからだ。京都・西陣の女性組合員は、国民年金で月額6万8000円の最高額を貰っている。ここから介護保険料を引かれ、家賃などを支払うと、もう暮らせないという。貯金を取り崩し、家族の支援で生きている。国民年金の平均は4万円台だから生活はギリギリだ。厚生年金も女性は年間200万円にいかない。年金だけしか保障がない人の生活はたいへんだ。医療が改悪されると負担が5割増になるので、重度の病気だと10万円くらいかかるかと不安になって病院にも行かなくなる。広範な層の中にじっとしていられない気持ち、表面化しないで伏流になっている、この気持ちをどう掴むかということだと思う。
 国民全体が収奪を受けている。なんとか跳ね返したいが一人では無理だ。何かの組織に入ってたたかうことが大事だ。底上げも、年金者組合は最低保障年金があるが、これと最低賃金の結合とか、公務員賃金とか、こういうたたかいをいっしょにやっていくことで、みんなが持っているマグマ、伏流を大きくできないものか。そういう意味でも「4・12」の行動は、年金者組合にとってインパクトある行動だった。要求の多様化、第二賃金闘争などの提起は大賛成で、是非いっしょにやっていきたい。7月31日の公務労組連の集会には参加する。



 JMIU・三木陵一書記次長) 「あのトヨタでも賃下げだ」と押し付ける

 JMIUの春闘は249支部中189支部に回答があり、支部平均で4642円、1.63%だった。うち、ゼロが60ある。昨年は30だった。前年比863円のマイナスで、定昇分に届かず賃下げ春闘になった。特徴の一つは、「あのトヨタでも賃下げだ」という説明もあり、財界・大企業の方針が太く貫かれた。日本信号では連合組合もあり、電機連合の水準プラス・アルファで妥結しJMIUの存在を示してきた。職能給も右肩上がりでとどめてきた。ところが今年は定昇凍結が提案され、1/2にさせたが、こうした回答がいろんな職場に出てきた。
 二つ目は、中小企業問題だ。中小企業の経営危機が新しい段階に入った。夏季一時金の回答平均は50万0940円で、1.65カ月分になっている。90年代半ばから0.8カ月分も下がった。前年比でも0.17ヶ月下がっている。民事再生法の申請や倒産、経営危機が広がっている。
 三つ目は、経営効率最優先になってきた。企業のリストラやモラルハザードが極限へ行き着いているのではないかと実感している。IBMでは「リソース・プログラム」(退職強要プログラム)というのが発覚した。早期退職制度などとはまったく違うもので、秘密裏にプログラムをつくり、「○○職場では何人減らせ」と管理職に押し付け、競わせるというもの。対象者は、成績の悪い方から10%、50歳以上の社員、秘書、製造部門、事務など生産性の悪い部門や、必要性がなく派遣などに切り替えられるところを優先的に切る。そういうマル秘文書が表沙汰になった。組合で追及中だが、人間を人間扱いしないやり方に怒りが噴出している。
 大企業でも中小でも、雇用、将来展望の不安が広がっている。JMIUは「くらし・雇用・将来展望・労使関係」の四大要求を掲げ、経営のあり方に踏み込んだ提案をし、働き方、企業の社会的責任などで一定の前進がみられた。神戸と滋賀の神港精機では、「医療改悪反対」で社長が同意して会社ぐるみで署名に協力し、国会行動の上京団は交通費会社もちになった。別の会社(1000名規模)では、社長がホームページに「労働組合に期待する」とのタイトルで「会社と労組は緊張と強調が大事だ。必要なのは労使の話し合いで、そこから企業の存続を図っていくこと。うちでは労組に入っていない社員がいて、労使の話し合いが伝わっていない…」と書いてくれた。映画「ドレイ工場」のモデルになった日本ロールでも塩ビ部門をなくし、人べらしすることに反対して、連合第二組合の書記長を含めほとんどの人がJMIUに加入してくるなど、大きな変化が生まれつつあると思う。埼玉の労働相談に対応してきたが、若い人からの相談が増えてくれば、我々の運動も変わってくる。運動も成長すると思う。



 自交総連・菊池和彦常任執行委員) 平均年収が299万円に下がったが…

 2月1日、規制緩和で改悪道路運送法が施行された。その2月1日に「タクシー一揆」をやった。全国で宣伝、運輸・陸運支局交渉などにとりくみ、東京では1500人の集会をもち国土交通省に請願、全国で3000人以上が行動に参加した。また、「4・12」には18地方4000人が行動参加した。悪質企業を包囲しようと、東京、福岡から出発し第一交通にむけてキャラバンしながら糾弾した。
 2月1日以降の規制緩和で、全国で4000台が増車、200社で料金値下げを申請し、労働者の賃下げに直結している。平均賃金は、全国平均の年収が300万円を切り、299万円になってしまった。沖縄では2500時間も働いても180万円にしかならない。時間単価は800円以下だ。
 たたかってきた結果、いくつかの前進面が明らかになった。第一は、全体の統一行動にどれだけ結集して春闘を盛り上げてきたのか。しかし、結集・参加できないところをどうするのか。「4・12」でもストはできなくてもビラまきくらいはできるだろう――と広げていきたい。春闘共闘としても、来年は日程設定を早めるなどして実績を上回る参加を追求すべきだと思う。
 第二は、妥結水準だ。10年前タクシー労働者の年収は380万円だったが、歩合給もあって毎年下がり、いまは299万円へ下がっている。一時金=解決金の形で5000円、3000円をとったが、大半は現行賃金体系維持で終わっている。これをどう評価するのか。金額だけでは評価できない。組合員が納得できるか。将来展望がもてるか。政府方針の規制緩和に反対するかを追及してきた。宮城ではタクシーシンポに県タクシー協会の会長が出席して政府の規制緩和方針を批判した。後日、「しんぶん赤旗」がこの方(自民党員)を1面で紹介している。いま、全国で介護タクシーを走らせる政策合意を広げている。組合員がヘルパー資格を取得する際の時間・費用を保障させている。
 第三の組織拡大は、既存の労組で減少に歯止めがかからない。埼玉の自交総連だった組合が脱退して企業内組合になったら、賃下げ、権利剥奪がすすみ、このほど10年ぶりに出戻りしてきた。福島ではボーナスも出ないので、有志が自交総連に入ったとたんに首切りに遭った。しかし、社長の友人(弁護士)の忠告で8日後に撤回した。たたかうなかまを増やしていきたい。



 埼玉・原冨悟事務局長) 地域相場の形成へ、地域春闘をもっと議論しよう

 埼玉でも総括論議をしているが…。地方の春闘総括は、国民的課題でどれだけ広げたかが中心だが、今年は賃金闘争をしっかり論議している。地域共闘の賃金闘争をどうすすめてきたのか、今後はどうすすめるべきか、産別の総括でも深めて欲しい。国民課題と地域の共同行動でも、労組は中央で決めると地方や単組が動くが、民主団体では中央で決めても県や地域は動かない。地域の労組がほかの民主団体を励ましながら共同をつくっていくことがとても大事だ。
 賃金闘争では、タクシーの賃金が下がったと報告されたが、建設関係の賃金もずーと下がっている。パートも下がっている。下がっているのは産別よりも地域相場、地域経済に影響される職業で、この間下がりつづけている。地域の底上げ闘争が必要で、地域相場をいかに構築していくかが地域春闘の重要なテーマだ。しかし、現実は産別闘争の寄せ集めになっている。スローガンは「○○地域から○○円以下の労働者をなくそう」とか、大阪のようなパート賃金の申入れ活動が始まっているが、実質的な影響力になっているのか?今後、春闘共闘や全労連が具体化して全国的な運動にしていく必要がある。
 最賃闘争も県別に違うが、全国平均の未満率は00年に1.7%が01年も1.7%と変わらない。僅かな上げ幅だが人数にして80万人が影響を受ける。地域最賃のたたかいはパート時給引き上げの大きな力になっている。埼玉では、夏の賃金闘争をやろうと提起してみた。春闘未解決、一時金闘争、公務員賃金、そして最賃、これを一つにくくって情報交換しながらおおいにがんばろうというもの。今年はスタートで交流が中心だったが好評で、来年からは運動化も検討したい。議案の「今後の課題」に地域からの賃金闘争のあり方というものをテーマに議論してほしい。
 要求を出せなかった組合について。埼玉でも有力な拠点が要求を出さなかった。親会社との関係でそうなった。そのことは、産別は理解してくれるが、地域では毎年旗が揚がっていたのに…と困ってしまう。周りへの影響も考えて、社会的な目で議論してほしい。地域春闘について、もっと議論していこう。






新しい運動、貴重な意見を03春闘へ

 坂内事務局長の答弁とまとめ 

 熱心な討論をいただいた。11名の代表が発言した。いずれも内容は濃いもので、初めて聞く実態もあり、たいへん勉強になった。来年の春闘共闘の運動に反映させていきたいと思う。


1.公務員賃金問題について。

 今年のILO総会でも政府は「労働基本権の代償措置として人事院制度と機能がある。これを維持するのだから日本はILO条約に違反していない」と言う。その最中に竹中、小泉などが労働組合との交渉もなしに「公務員賃金を切り下げる」と宣伝、攻撃を仕掛けている。これ事態がILO条約違反だ。いま進んでいる公務員制度改革が87号条約、98号条約に違反していると提訴しているが、現実に進行している一方的賃下げ問題を追加提訴することも検討したい。地域最賃の目安が7月26日に答申される。このところ4―5円づつ上がってきたが、まったく上がらない。むしろ産別最賃については引き下げろという財界の要求が強まっている。失業手当の給付額なども、年金の支給も、生活保護の支給基準も引き下げろ…。公務員賃金だけではない。総合的に捉えていく必要がある。もし、そんなことになったら、日本経済がデフレスパイラルを克服する道などは見つけられない。したがって、日本経済の重大問題との視点から捉えていく必要があると思う。


2.NTTの11万人「合理化」問題について。

 不当な広域配転が次々出される状況にあり、改正育児休業法に違反するが、その前にILO156号条約の「家族的責任を有する労働者を広域配転してはいけない」規定に違反している。明確な脱法・違法行為だ。純粋持株会社が、通信労組との団交に応じないことも新しい形の不当労働行為だ。春闘共闘も支援を強めながら法的対応を含めた断固たるたたかいを展開していきたい。そのためにも物心両面のご支援をお願いしたい。日本一の大企業・NTTにおける11万人という、世界最大のリストラに対して、反対してがんばればNTTに残れるんだというたたかいですから、そういう位置付けでお互いがんばりたい。


3.医療改悪反対闘争について。

 配布されたチラシはたいへん良いものだが、労働組合から見ると階級的に問題がある。医療大改悪は「健保財政の赤字」が理由になっているが、国庫負担率をこの間30.1%から24.9%に、5.2%も減らしたこと。もうひとつ、これだけリストラ・人べらしをやったら健康保険料を支払う労働者が少なくなって医療財政の危機になるとの指摘が必要ではないか。「医療や社会保障は21世紀の花形産業だ」と思う。就労者がいちばん増えていくのは医療、福祉、介護など分野だ。こうした分野への攻撃はものすごく強まっていくと思う。製造業と違ってこれらは海外移転できない。ここに「合理化」、不安定雇用とか、賃下げとか、財界の基本戦略がある。日本医労連、福祉保育労の活躍に期待したい。ここに最低賃金とか、働くルールの最低基準の確立が必要だ。


4.郵政職場の非常勤職員の問題について。

 郵政省にエプロン姿のパートが10万8000人もいるという報告で、中労委の調停で「今後ひきつづき交渉していくこと」になったとのことだが、自治体の非常勤職員の組織化などが話題になっており、国営企業における非常勤職員の問題も重視していきたい。パート労働者の問題も医療・福祉と同じで、いま、パート労働者への攻撃が強まっている。時給を上げない。業績主義賃金を導入する。これが21世紀の働き方で、我々は望まないが、パート労働者が主流になっていくなかで、総額人件費をどうやって抑えていくかという戦略の柱になっているからだ。ILO総会でも世界共通の問題になっている。どこの国の組合も、不安定雇用労働者の賃金・労働条件が極端に切り下げられているという問題が、グローバリゼーションにおける最大の問題であると言っている。国際労働運動の主要なテーマになっていくので重視していきたい。


 5.春闘を今後どうしていくのか、という提起がいくつか出された。まず、春闘に参加しない仲間をどうするかという問題について。日本全体でも組織率は20.7%、約1100万人しか労組に入っていない。うち、要求提出するのは約7割で700〜750万人だ。残る人たちをどうするかは重要な問題だ。要求提出、スト権、統一行動などの議論を重ねてきたが、春闘のイメージも古いスタイルを引きずっている人も多い。1955年に春闘がはじまって、74年までの20間、平均11.8%の賃上げをかちとってきた。その間の物価値上げを差し引いても実質5.7%の賃上げを達成してきた。この間の大幅賃上げ闘争の役割は非常に大きかったが、今日のグローバリゼーションとか、産業再編だとか、日本的経営の崩壊とか、デフレスパイラルとかの状況のなかで、新しい春闘の方向とは何なのか、地域春闘の問題も含めて議論していかなくてはならないと思う。但し、それは春闘共闘でやるのか?春闘共闘は各単産の要求などを集約して一致する要求でやっていくのか、それともギリギリ議論して細かな要求まで出していくのか、春闘共闘のあり方を含めて十分な議論をしていかなければと思う。例えば、こういう統一要求を何月何日までに出して、何月何日までに回答をとって、何月何日にはストライキを打てというように、上から統一行動の見本を示して、どれだけ結集したかによってその年の春闘の到達点を考えていく、これも大事だと思うが。そうではなしに、職場・地域からどうやって提案型、参加型の運動を巻き起こしていくのかも含めて、春闘の構築を十分議論したいものだと思う。かつては、賃金論の原則にもとづいて賃金闘争をたたかってきたが、今日もそれでよいのか。それとも一人ひとりの労働者にとって、ほんとうに必要な要求、これならば自分も実現のためにたたかおうという身近な春闘にするのか。こうした議論をもっと追及する必要があると思う。



 6.自治労連からの賃金、公務員制度、市町村合併などの深い発言も参考になった。年金問題の発言もいただいた。国民皆年金だが未加入者が99万人もいる。加えて保険料滞納者が264万人、保険料が払えない減免者が443万人もいる。年金はすでに空洞化している。こうした問題については春闘共闘としても検討したい。自交総連もタクシー労働者の年収が減って大変だ。

 活発な議論をいただいた。いつも未整理のまま春闘共闘を閉めて、また10月に次の春闘共闘を立ち上げることを繰り返してきたが、東京の春闘共闘のように日常的な共闘体制にしたほうが良いのか。あるいは、「国民総行動」のように国民的な運動をすすめようという時に、労働組合だけの集まりで良いのかなど、いろんな議論があるかと思う。そうした意見が出し合えるような春闘共闘として、この10月には「03国民春闘共闘」でお会いしたい。不十分なまとめだが、共闘団体としての相互理解をいただきますようお願いしたい。