2003年国民春闘共闘情報
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第1号  2002年10月23日

 

賃金底上げ、雇用、悪政阻止

共同ひろげ「国民総決起」のたたかいへ

  03年国民春闘共闘が発足  

 国民春闘共闘は10月18日、東京・労働金庫会館で2003年国民春闘共闘委員会の発足総会をひらき、「03年春闘構想」、新年度の予算などを採択し役員体制を確立しました。総会には25単産・団体・10地方から68名の代表が出席、03春闘にむけて新たなスタートをきりました。


 
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 構成団体を代表して主催者あいさつした熊谷金道全労連議長は、「労組からも財界からも春闘をいっそう形骸化させる動きが出ている」と、トヨタ労使の賃上げ自粛の動きを牽制。また、小泉内閣の悪政によって地域経済が破壊され、中小企業や自治体、保守層などと共同の条件が広がっているとし、攻勢的な春闘を呼びかけました。
 坂内三夫事務局長が「03年春闘構想案」を提案。賃金要求については「誰でも・どこでも○円以上」という要求を設定し、底上げ闘争を重視すると強調しました。その要求額は「すべての労働者の合意形成を促進し、国民的な支持を結集する視点を重視して設定する」もので、要求アンケートや各単産の意見を踏まえて設定します。
 最賃闘争の強化については、3年単位の1000万人署名を新たに提起したのをはじめ、最賃体験や全国いっせいの自治体決議にとりくみます。産別最賃の新設、地域最賃改善の運動も前進させるとしています。
 リストラ・雇用闘争では、サービス残業根絶にむけて職場・地域での点検、労基署への告発などを実施し、3月には「根絶月間」を設定します。首切り自由化など労基法改悪を阻止するたたかいに全力をあげます。
 春闘前半の統一行動は当面、1月中旬、2月下旬、3月上旬、3月中旬の4波を設定。「国民総決起」型の春闘として各界・各層との共同を積み重ね約83万人が参加した02春闘の「4・12総行動」の路線を発展させ、2月下旬の統一行動で今年を上回る規模をと強調しました。
 討論では、JMIUの代表が「経営者も動かし、地域経済と中小企業を守れと共同を広げる春闘に。労働者の要求に応える春闘をつくっていきたい」と決意をのべました。東京春闘の代表は「この年末から仕事よこせ・失業なくせの大運動をおこしていく」と決起集会、国会請願などのとりくみを紹介するなど、7名の代表が発言。各々具体的なたたかいを紹介しながら展望を示すなど構想を補強しました。
 討論のまとめに立った坂内事務局長は、発言者がリストラ反対、賃下げ阻止など具体的なたたかいを紹介しながら展望を示した点を評価。これらの発言や意見、要望などを含め、ひきつづき常任幹事会で論議し、年末には「春闘方針」として具体化するとしました。

 新年度の役員体制(三役)は以下のとおり。
●代表幹事=熊谷金道(全労連・新)、中沢善治(純中立労組懇)、佐原忠連(東京春闘共闘)
●事務局長=坂内三夫(全労連)
●事務局次長=国分武(全労連)、吉田有秀(純中立労組懇)、中井川斉至(東京春闘共闘)
●常任幹事=18名、特別常任幹事=地方より3名、会計監査=2名(氏名略)
(注)東京春闘共闘は24日の発足総会で役員が交代する予定です。



リストラ阻止 賃下げ許すな …展望示す発言つづく

討論には7名の代表が発言しました。発言者のテーマは以下のとおりです。
 JMIU・三木書記長
1) 秋季闘争で「合意・協力型」の労使関係を確立する取りくみ、
2) 日本IBMなど大手製造業でのリストラ阻止のたたかい、
3) 03春闘での5つの柱について。

 東京春闘共闘・永瀬事務局次長
1) 仕事よこせ・失業なくせの運動、
2) 地域春闘といっせい地方選挙・住民要求実現の方針化についての要望。

 建交労・江沢書記長
1) 生コン業界での「安全・安心」の点検・摘発闘争、
2) 賃下げの悪循環を断ち切る賃金闘争と生計費原則、
3) 排ガス規制と土建業者との共同の広がり、
4) 国鉄闘争での共同の広がり、
5) じん肺被害の国家賠償請求運動と闘争支援の要請について。

 自治労連・松本執行委員
1) 倒産・失業対策、有事法制阻止など国民的運動、社会的運動の再構築を、
2) 最賃・底上げ、公契約・リビングWなど国民的世論になるわかり易い表現を、
3) いっせい地方選挙、市町村合併と春闘のかかわりについての言及を。

 全農協労連・国分書記長
1) 農水省の「コメ改革」の実態と、国民の食糧と農業を守る運動、
2) 地域経済を守る課題と全国キャラバンの取りくみ、
3) 農協の10万人「合理化」に反対する取りくみ。

 通信労組・岩崎委員長
1) NTT11万人リストラと新会社での低賃金、雇止めなどの労働実態、
2) 東会社のさらなる5000人リストラ反対闘争への決意。

 生協労連・桑田委員長
1) 「安全・安心」の課題…規制緩和の本質と労組の役割り、
2) 労働組合としての産業政策の必要性について。



 

くらし、雇用、働くルールで大きな共同を

構成団体を代表して ●熊谷金道全労連議長の主催者あいさつ(要旨)

 今日、臨時国会が召集され、年末にかけてたいへんなたたかいが展開される時期に春闘共闘委員会の発足総会を迎えた。
 臨時国会をめぐっては、先の通常国会で私たちのたたかいで成立を許さなかった有事法制関連法案などについて、隙あらば成立させようという動きが強まっているし、一方で、連日報道されているように、深刻な日本経済の行き詰まり、デフレが加速されていく状況に対して、デフレ対策を含めた緊急経済をどうするかをめぐって、さまざまなやりとりが政府部内でやられている。
 しかし、小泉内閣が昨年春に発足して1年数カ月経って明らかになったことは、結局、自民党をぶっ壊してでも改革を進めると言ってきた小泉政権が壊してきたものは、労働者・国民のくらしであり、雇用であり、地域経済であった。その深刻な状況はますます深刻の度合いを深めている。
 にもかかわらず、小泉政権は、自らの政策破綻をとり繕いながら、大銀行には公的資金、国民の税金を投入してまで体力強化を図る、一方で労働者・国民生活に関わる規制緩和を進め、労働分野についてもいっそうの規制緩和を進める。不良債権処理の名によって、大企業を含めて企業の再編淘汰を進めていく、そういう方向を強めている。民間のシンクタンクなどによっても、さらに大量の失業者、大倒産がつくられてくるのではないかと言われている。
 これ以上の国民生活の悪化、労働者の雇用破壊、人間らしく働くルールの破壊は許されない。まさにいま、そのためのたたかい、これに歯止めをかけることが大事な課題になっている。力をあわせてとりくみを強めたい。
 一方で、来春闘に向けて、労働組合内部からも、財界からも、春闘をいっそう形骸化させようという動きが強められている。日本で最大の儲けをあげているトヨタの労働組合が、賃上げを毎年要求するかどうかを含めて再検討するということも昨日報道された。こうした動きに対して、われわれが、どのように、ほんとうに多くの労働者・国民のくらしや雇用を守るためにたたかっていくのかが、いま春闘共闘に課せられた大きな課題となっている。
 そのためには、今日発足する春闘共闘の戦線拡大ということにも特段の努力をしていかなければならないと思っている。
 この間も、中立労組などに対して春闘共闘への参加・結集を呼びかけてきたが、この努力を強めながら、ほんとうに春闘をたたかう労働者の姿が全国の多くの労働者に見えるような運動をどう作っていくのかが重要だ。
 あるいは、労働者だけでなく、深刻な地域経済の実態、中小企業の経営破壊などのなかで、中小経営者や自治体当局者を含めて、このままでは経営がもたない、地域がもたない、地域住民のくらしを守ることはできないという小泉内閣に対する批判が強まっているし、同時に、新しい模索、変化がさまざまなところで、いわゆる保守層と言われる人たちのなかからも沸き起こってきている。
 労働戦線における共同、そして国民的な共同の拡大の条件が大きく広がっている。そういうところに目を向けながら、われわれが攻勢的にどう運動を広げていくのか。春闘共闘は、一致する課題でたたかいを強めていく緩やかな共闘組織という原点を押さえながらも、共同を大きく広げていきたい。
 5千数百万人の雇用労働者のなかで、春闘を、積極的な要求を掲げてたたかっていく労働者・労働組合そのものが小さくなってきているなかで、改めてわれわれがどのように戦線を広げていくのかが重要だ。
 そのためにも、すべての構成員が参加するような運動をどうつくりあげていくのか。新しい局面を切り開いていくような、相手の攻撃にかみあった大きな運動をつくっていくような、従来の発想にこだわらず、知恵を出しあいながら、力の集中を図っていく春闘を練りあげつくりあげていきたいと思う。
 今日の発足総会で、来春闘に向けての基本的な問題提起がされる。これにもとづいて、大いに知恵を出していただいて、みんな納得して、これだったらいける、こういうたたかいで大きく前進させよう、そういう意気のあがる春闘方針の確立に向かって、秋闘段階からしっかりたたかいを強めながら、積極的な討論をお願いしたい。