2003年国民春闘共闘情報
インデックスへ


 

第40号  2003年4月22日

 

 第2回03春闘進ちょく状況調査

回答引出し数は33%、妥結未だ9%

遅れ気味。4月末〜連休明けに決着めざす

 国民春闘回答集計センターは21日、全単組を対象とした春闘進ちょく状況の第2回調査を実施しました。前週は4月16〜18日の「第5波全国統一行動」で4月決着をめざしてたたかい、各単産の集計作業がすすんだ段階で19単産から報告がありました。スト権確立組合の割合が62%(昨年は61%)に増えているものの、要求提出が66%、回答引出しが33%、妥結・妥結方向がいまだ9%にとどまるなど昨年にも増してきびしい実態が明らかになりました。





要求提出組合数は66%に止まる

[調査組合数、要求提出数]

 調査組合数は報告計で3575組合(19単産)で、ほとんどが中小労組です。組合数が多いところは建交労の827組合、全労連全国一般500組合、日本医労連445組合、自交総連419組合、JMIU309組合など。なお、昨年の最終集計(6月末)で全体計は4138組合(27単産)でしたが、現時点では、金融・私学関係の回答引出しが5月段階になることから、報告のあった全信労以外は調査対象からはずしています。
 要求提出は、計2342組合で全体の66%に止まりました。前年同期比で5ポイントも減少しています。検数労連と通信労組、郵産労が100%で、広告労協か93%、全倉運が90%、出版労連88%、映演共闘87%、全農協労連85%などが高率です。


回答引出し33%、妥結はいまだ9%

[回答引出し、妥結数]

 回答引出しは計1173組合で、4月16〜18日の「第5波」のたたかいを経てもなお33%(前年同期比で4ポイント減)の低水準です。遅れている要因は、「中小では賃上げできる経営実態にない」という現実や、それを悪用した思想攻撃での回答引き延ばし、電機や自動車大手の回答を睨んだ定昇カット・賃下げ提案という先制攻撃があります。こうしたなかで、回答内容を問わなければ通信労組と郵産労の100%があり、出版労連80%、全倉運66%、民放労連65%、JMIUと化学一般労連の56%などが高率です。建設関連労連、検数労連、映演共闘や金融、私学関係の回答引出しは、4月下旬から連休明けに本格化します。
 回答内容では「ベアゼロ(定昇のみ)」が多く、通信労組のNTTグループは全社、全農協労連、生協労連、全信労、日本医労連などは5割以上で、計297組合になります。昨年、定昇カットの攻撃を受けて総反撃した生協労連では、今年は3組合に止まり、うち1組合は撤回させ、1組合も闘争中です。
 このほか、「定期昇給あり・定昇カットや賃下げなど」が127組合、「定昇なし・ベアゼロ」が24組合、「定昇なし・賃下げ」が15組合も報告されました(建交労とJMIUは調査の手が回りませんでした)。建設関連労連からは「受注減がつづき賃金カット・諸手当カットの提案4社」、化学一般労連からは「賃金抑制の態度がより顕著に。交渉長期化。定昇をなくす発言も」などと報告されています。
 うち妥結または妥結方向に達しているのは338組合で、いまだ9%にしかすぎません。妥結しているのは「前年実績以上の回答」や「定期昇給分など一定額を確保」した組合が中心です。「全体としてほぼ集約方向」に向かっているのは出版労連の53%だけで、比較的高率なのは化学一般労連29%と広告労協28%、JMIU26%です。このほかの単産では、前述のようなきびしい回答内容のために未解決が多く、全体でも前年同期比で1ポイント減になっています。


スト権確立62%に増え、実施は12%に減少

[スト権確立・実施数]

 スト権を確立したのは1842組合で、調査計の62%になりました。前年同期比で組合数は減りましたが、比率は1ポイント増えています。建交労と検数労連、通信労組が100%で、JMIU72%、映演共闘70%などが高率です。
 うち、ストライキ実施組合数(指名スト含む)は370組合、昨年比で半減し全体の12%でした。3・13第4波全国統一行動が275組合でしたから、その後、第5波の4・16〜18第5波全国統一行動ゾーンでの四月決着のたたかいを中心に105組合増えたことになります。これまでのところ通信労組が全組合のストで100%のほかは、出版労連58%、JMIU29%、映演共闘27%などが比較的高率で奮闘しています。単産によっては、公共性が高い業種や取引関係からストが打ちづらい下請中小の特性、さらに、今年はストを打っても回答の見込みがないことなどが報告されています。


決着をめざす闘争を。労働法制・有事法制と結合して

 以上の数値と各単産からの報告を総合すると、春闘の進ちょく状況は史上最低であった昨年に比べ、さらに遅れ気味で、いっそう長期化が予想されます。例年以上に粘り強くたたかうとともに、集中的な区切りのたたかいも重要です。当面、4月下旬や連休明けに「決着をめざす」産業別統一闘争や特別対策を軸に、地方・地域も支援・連帯の輪を広げることが必要です。労働法制改悪阻止、有事法制・個人情報(メディア規制)反対のなど悪法阻止のたたかいと結合しながら精一杯奮闘しあいましょう。





第2回 03春 闘 進 ち ょ く 状 況

2003年4月21日 国民春闘共闘委員会

  調査 スト権 春闘要求 回答引出し スト実施組合 妥結・妥結方向
単産名 組合数 確立数 提出数
全農協労連 27 12 44% 23 85% 5 19% 1 4% 1 4%
建交労 827 827 100% 590 71% 119 14%     47 6%
建設関連労連 55     16 29% 8 15%     4 7%
JMIU 309 223 72% 241 78% 172 56% 90 29% 79 26%
化学一般労連 131 26 20% 104 79% 73 56% 7 5% 38 29%
自交総連 419 285 68% 273 65% 55 13%     31 7%
検数労連 2 2 100% 2 100%   0%   0%   0%
通信労組 64 64 100% 64 100% 64 100% 64 100% 0 0%
全倉運 50 21 42% 45 90% 33 66% 0 0% 6 12%
生協労連 177 13 7% 92 52% 80 45% 1 1% 4 2%
全国一般 500     150 30% 62 12% 4 1% 13 3%
全信労 57 11 19% 42 74% 18 32% 0 0% 0 0%
全印総連 156 41 26% 95 61% 62 40% 35 22% 2 1%
民放労連 142 61 43% 109 77% 92 65% 25 18% 13 9%
出版労連 137 48 35% 121 88% 110 80% 80 58% 72 53%
広告労協 46     43 93% 22 48%     13 28%
映演共闘 30 21 70% 26 87% 3 10% 8 27% 1 3%
日本医労連 445 187 42% 305 69% 194 44% 55 12% 14 3%
郵産労 1     1 100% 1 100%     0 0%
報告計 3575 1842 62% 2342 66% 1173 33% 370 12% 338 9%
前年同期 3706 2247 61% 2641 71% 1377 37% 756 21% 354 10%





 
 春闘で 職場と暮らしの 元気回復