2003年国民春闘共闘情報
インデックスへ


 

第57号  2003年7月08日

 

 第3回最終・春闘進ちょく状況調査

回答引出し数は54%、妥結37%

スト権確立組合増えるも、決行数は15%に減少

 国民春闘回答集計センターは、7月4日の国民春闘共闘「第8回常任幹事会」に合わせ各単産に加盟する全単組を対象とした春闘進ちょく状況の第3回・最終調査を実施した。参加26単産から報告があり、回答引出しが54%、妥結がいまだ37%など、きびしい進ちょく状況が明らかになった。





要求提出数は77%。前年比2ポイントの減

[調査組合数、要求提出数]

 調査組合数は報告計で3776組合(26単産)になり、ほとんどが中小労組です。組合数が多いところは建交労の801組合、日本医労連446組合、自交総連418組合、全労連全国一般360組合、JMIU309組合、全国私教連285組合など。なお、昨年の最終集計で全体計は4138組合(27単産)でしたが、今年は外銀連が未報告で、全農協労連・単協労組の集計が間に合わず、その分減少しました。
 要求提出は、計2917組合で全体の77%になり、前年に比べ2ポイント減になりました。全労連繊維、検数労連、通信労組、地銀連、銀行労連、全損保、郵産労、特殊法人労連が100%で、全農協労連(連合会労組)が96%、全信労91%、出版労連が91%、広告労協90%などが高率です。


回答引出し54%。半数以上がベアゼロか定昇カット

[回答引出し、妥結数]

 回答引出しは計2041組合で、6月が経過してもなお54%(前年比で2ポイント減少)の低水準です。遅れている要因は、長期不況や規制緩和、価格破壊などを背景とした「赤字決算」「経営難」が多く、賃下げ強要、リストラ提案とセットの回答は「回答とみなさない」などもあります。組合側にも一部には「雇用を優先せざるを得ない」実態や力量低下も報告されています。
 回答内容は「ベアゼロ」と「定昇カット」「賃下げ」が1034組合で回答数の51%を占めました。なかでも「定昇なし・ベアゼロ」は229組合(全体の6%、回答数の11%)に達し、建交労の157組合、全労連全国一般の26組合、全損保の13組合などがきびしい状況にあります。また、「定昇カット」は108組合(全体の3%、回答数の5%)で、全国私教連の39組合、日本医労連の28組合、生協労連の7組合、建設関連労連6組合、検数労連の2組合などが今年の特徴です。JMIUや全国一般には「業績主義賃金の逆提案」などが見られます。
 こうしたなかで、回答引出し数が多いのは、地銀連、銀行労連、全損保などが100%で、全農協労連96%、出版労連90%、全倉運86%などです。
 うち妥結または妥結方向に達しているのは1415組合で、いまだ37%の低水準にとどまっています。それでも前年と比べ4ポイント改善されました。妥結しているのは、当初「2次回答」や「前年実績以上」を確保した組合が中心でしたが、ここにきて「超低額」ながら一時金で一定の回答を引出して妥結したり、上積みもかなわず「超低額」のまま妥結する組合も見られます。「全体としてほぼ集約方向」(解決率80%以上)になっているのは、全労連繊維と検数労連の100%、銀行労連87%、全倉運86%、出版労連85%、地銀連80%の6単産のみで、広告労協と全損保が70%以上になりました。各々低額なりに決着・区切りを付けています。このほかの単産では、前述のようなきびしい回答内容のために未解決が多く、解決率が50%に満たない単産が11もあります。


スト権確立63%に改善、決行は15%の低調

[スト権確立・実施数]

 スト権は2161組合で確立し調査計の63%になり、前年比で3ポイント改善しました。その要因は「春闘破壊」攻撃への危機感と「3・13全国統一行動」を集中的にたたかう方針で臨んできたことです。検数労連、通信労組、全労連全国一般、地銀連、全損保が100%で、建交労、出版労連、特殊法人労連がともに78%、JMIU72%、映演共闘70%などが高率でした。
 うち、ストライキ実施組合数(指名スト含む)は、のべ513組合で全体の15%(13ポイント減)に止まりました。昨年は「医療改悪反対」の課題を結合し第2波として「4・12統一スト・国民総行動」をたたかいましたが、今年の「労働法制改悪阻止」は春闘決着期が過ぎた5月中旬〜下旬が山場になったことも減少の要因です。1組合が2回のストを打てば「2」とカウントしますが、今年は通信労組の100%と出版労連の82%が目立つ程度で、JMIU49%と、民放労連40%も奮闘しました。ストを打っても有額回答や上積みの見込みがないことが今期の特徴点として報告されています。


粘り強く全面解決へ、夏季一時金と結合して

 以上の数値と各単産からの報告を総合すると、春闘の進ちょく状況は史上最低であった昨年に比べ、スト権確立の構えと妥結・妥結方向の組合数が改善されたものの、要求提出数、回答引出し数、スト実施数などが後退しており、春闘・賃金要求をめぐるきびしさは格段のものがあります。多くの組合が、7月上・中旬に設定している一時金支給日などを目途に粘り強くたたかおうとしています。





第3回 03春 闘 進 ち ょ く 状 況

2003年7月04日 国民春闘共闘委員会

  調査 スト権 春闘要求 回答引出し スト実施組合 妥結・妥結方向
単産名 組合数 確立数 提出数
全農協労連 27 12 44% 26 96% 26 96% 1 4% 16 59%
建交労 801 624 78% 624 78% 361 45%     279 35%
建設関連労連 55 8 15% 28 51% 26 47% 1 2% 25 45%
JMIU 309 223 72% 241 78% 172 56% 150 49% 79 26%
化学一般労連 132 34 26% 111 84% 94 71% 12 9% 80 61%
全労連繊維 1     1 100% 1 100%     1 100%
自交総連 418 285 68% 301 72% 170 41%     128 31%
検数労連 2 2 100% 2 100% 2 100%   0% 2 100%
通信労組 64 64 100% 64 100% 64 100% 64 100% 0 0%
全倉運 50 15 30% 43 86% 43 86% 0 0% 43 86%
生協労連 188 16 9% 80 43% 79 42% 2 1% 20 11%
全国一般 360 360 100% 285 79% 223 62% 6 2% 53 15%
全信労 56 14 25% 51 91% 27 48% 0 0% 5 9%
地銀連 10 10 100% 10 100% 10 100% 2 20% 8 80%
銀行労連 15 10 67% 15 100% 15 100% 3 20% 13 87%
全損保 17 17 100% 17 100% 17 100% 1 6% 12 71%
全証労協 15 8 53% 10 67% 8 53% 6 40% 9 60%
全印総連 156 44 28% 108 69% 90 58% 41 26% 87 56%
民放労連 142 61 43% 110 77% 111 78% 30 21% 80 56%
出版労連 137 107 78% 125 90% 123 90% 112 82% 117 85%
広告労協 50     45 90% 31 62%     39 78%
映演共闘 30 21 70% 26 87% 20 67% 8 27% 17 57%
日本医労連 446 219 49% 373 84% 325 73% 73 16% 300 67%
郵産労 1     1 100% 1 100%     0 0%
全国私教連 285     211 74%            
特殊法人労連 9 7 78% 9 100% 2 22% 1 11% 2 22%
報告計 3776 2161 63% 2917 77% 2041 54% 513 15% 1415 37%
前年同期 4138 2430 60% 3255 79% 2337 56% 1012 28% 1359 33%





 
 春闘で 職場と暮らしの 元気回復