2003年国民春闘共闘情報
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第60号  2003年7月17日

 

引き下げ阻止!生活できる最賃額を

目安小委会場「茜荘」前で官民28人が宣伝

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 17日朝、全労連・国民春闘共闘の各単産は、中央最低賃金審議会・目安小委員会の最終会議がひらかれる直前の時間にあわせ、赤坂の茜荘前で「最低賃金の引き下げ反対」「生活できる最低賃金」を求めるハンドマイク宣伝を実施しました。最終会議会場前での宣伝行動は初めての取りくみです。
 会場は閑静な住宅街。官民各単産と全労連、東京地評役職員ら28人が参加し、つぎつぎマイクを握り、道行く住民に最賃ビラを配布しました。
 自交総連の菊池書記次長は、タクシー会社の1割が最賃法違反の低賃金で行政指導を受けていると紹介、全労連全国一般の福本書記長も中小企業が低い最賃額を下回る取引単価で経営を圧迫している実態を告発、生協労連の桑田委員長は職場の7割がパート労働者で、低賃金に耐えながら経営改善に努めている姿を紹介しました。JMIU、民放労連、日本医労連、全労働、全医労、東京労連、全労連、国民春闘共闘などの代表も「誰でもどこでも時間額を1000円以上に」「パートや非常勤職員の賃金改善を」「民間の賃金破壊、最賃・人勧切下げ、民間賃下げの悪循環を断ち切ろう」などと訴え、会場入りする中賃・目安小委員の公労使代表にエールをおくりました。
 中央最低賃金審議会は、本日夕刻には03年度の「改定目安」を決めるべく議論を重ねています。ここ数年は、労使の意見が対立したまま「公益委員長見解」として目安額が提示されています。昨年は「据え置き」とされ、今年は使用者委員が支払能力や民間賃金の低下などを理由に「引き下げ」を強く主張し、改善・引き上げを求める労働者委員(連合)との対立が続いています。
 全労連と国民春闘共闘は、審議会が最終結論を坂口大臣に答申する24日には12時15分から厚生労働省前で、500人規模の座り込み行動を取り組みます。





 
 続報  7・9「第5次最賃デー」のまとめ

 7月9日、全労連、国民春闘共闘、公務労組連絡会は、「第5次最賃デー」を実施した。最賃闘争と人勧闘争を結合した共同の取り組みに、1500人が参加、霞ヶ関界隈で1日行動を展開した。

●早朝宣伝から昼休み集会まで
 行動早朝宣伝を、霞ヶ関界隈3箇所(厚労省前、財務省前、総務省前)と池袋駅東口、後楽園駅前、計5ヶ所で行ったにおける早朝宣伝からはじめた。各単産や東京地評から100人以上の役職員が参加した。並行して、厚生労働省前では、ハンスト座り込みが朝8時から開始された。神奈川労連本部役員と青年部、全労連役員、千葉労連などから29人が参加し、最賃全国平均額「664円」にちなみ、朝8時から夜7時4分まで664分間(11時間4分)のハンストを決行した。24人が参加した神奈川労連は、「最賃答申引き下げ、マイナス人勧は禁じ手だ 憲法25条を実現しろ!」と書かれたオレンジのTシャツやビラを用意、中央や他県の参加者にも提供し、座込み行動を盛り上げた。
 厚生労働省前では、朝宣と兼ねた「ハンスト座り込み出発集会」を皮切りに、ハンスト参加者エール交換、パート・臨時労組連絡会の最賃リレートーク、昼休み要求行動と、途切れなく宣伝・集会を実施、昼休みには隣の人事院前に結集した公務の仲間とともに、2台の宣伝カーを使って、最賃・人勧課題でのエールを交換した。

●午後の行動 「許すな!賃下げ悪循環」と総決起集会、請願デモ
 昼集会後、公務労組連絡会は、総務省前、行革推進事務局前行動にて要求行動を実施、民間代表も激励あいさつを行った。午後2時20分からは「マイナス勧告阻止、最賃引き下げ、民主的公務員制度の確立を、許すな!賃下げの悪循環7・9中央総決起集会」を日比谷野外音楽堂で開催。参加人数は昼のピーク時に比べ大きく減ったが、民間と公務との賃下げの悪循環を断ち切り、最賃、人勧、公務員制度改革を三位一体で取り組む意思統一をした。朝のNHKニュースで「今年の人事院勧告もマイナスか」と報道されたことから、参加者の緊張が高まるなか、公務(国公労連・裁判闘争原告、全教)、民間(JMIU)、地方(神奈川)の各代表がたたかう決意を表明し、集会後、国会請願デモを実施した。

●ハンスト決行者を激励し、終結集会へ
 夕方5時からは、厚生労働省前ハンストを激励する最賃リレートークUと、ハンスト座り込み行動終結集会を、歌声のアトラクションをいれつつ、7時4分まで連続して行った。最賃と人勧課題での共同した取り組みの第一歩を祝しつつ、参加者全員で厚労省に向けカウントダウンのシュプレヒコールを行い、行動を締めくくった。

●行動の効果について
 当日朝10時から12時近くまで開かれていた第2回目安に関する小委員会は、厚生労働省前の我々の行動についての話題からはじまったといわれる。会議終了後も、労働側委員、公益委員が、昼休み行動の中をとおり、横断幕など眺めながら歩いていた。また、賃金時間課職員も、目安小委員会記録をまとめつつ、夜まで続くハンスト座り込みの様子をみて、奮闘ぶりを確認していたとのこと。1日行動によって、「最賃・人勧マイナス阻止、引上げを」の我々の要求を強くアピールすることができたものと考える。

●第2回目安小委員会の中身について
 労使双方から、見解がだされた。
 労働者側見解は、
1、 経済はデフレ状態と高失業の厳しい状況にあるが、大企業は収益を回復し、日銀短観も改善傾向にある。デフレ脱却のための措置が必要、
2、 増大するパート労働者の中で、「生活維持」を目的とする人の割合が増えている。雇用・所得環境悪化をただすために、マクロの視点に立ち、賃金底上げが必要、
3、 最賃水準は、初任給やパート実態賃金に比べても低すぎる、
4、 連合試算の「最低生計費」(理論生計費)は単身で148000円となったが、現行最賃はこれを大きく下回る。可処分所得減少傾向にてこ入れして消費マインドを刺激するメッセージが必要、
5、 えい共立は1.2%と低く、最賃に社会的影響力がない、
などの観点から、「社会的に影響力のある水準への『目に見える』改善に繋がる決定をすべき」と主張している。
 一方、使用者側見解は、
1、 経済状況は昨年より悪化、倒産・失業も高水準。物価は3年連続で低下しており、実質賃金は高くなっている。
2、 中小企業の景況判断は厳しい。グローバル化とデフレの競争で疲弊している。構造改革・不良債権処理の進展でさらに悪化する可能性もある。
3、 春闘は市場最低。初任給は凍結されている。人勧マイナス勧告も重く受け止める必要がある。
4、 「賃金改定状況調査」で凍結事業所が6割近くある。第4表の−0.1を重く受け止めるべき、
などの観点から、「据え置きにとどまらず、引下げの目安について議論すべき時期がきている」と主張している。

 議論の中では、目安に大きく影響してきたといわれる、「第4表」(一般労働者及びパートタイム労働者の賃金上昇率、今回−0.1)の扱いがどうなるかが注目された。労働者側委員は、パート比率上昇による効果を指摘した上で、毎勤によるパート労働者増の影響を試算してだしたり、賃構センサスによるパート賃金動向をあげたり、労働移動要素も加味すべきと指摘し、データの性格に「ゆさぶり」をかけ、マイナス効果を打ち消そうと奮闘している。使用者はこれまでプラス基調できたときには、第4表軽視だったが、今度は重く受け止めるべきと主張を変えている。
 労働者側見解としては、新しく試算した理論生計費(148000円)の発表も含めて労働者側の最賃改善の必要性を強調、これにマクロ経済上の必要性を加えた議論を展開している。対するに使用者側の主張は、経済情勢の悪化、グローバル化などもふれているが、個別企業の支払能力低下論に終始しており、公益から「賃金引下げしかないのは本当か。証拠を出して欲しい」と促されている。





 
「労働法制改悪反対」は国会から職場闘争へ

 全労連など四つの闘争本部が合同会議

 労基法や派遣法・職安法の改悪に反対して国会闘争をすすめてきた労働法制中央連絡会と、全労連、自由法曹団、日本共産党の三つの闘争本部は16日、全労連会館で合同会議をひらき、この間の国会闘争を総括するとともに、今後、各職場で解雇規制をはじめサービス残業根絶や過労死防止など積極部分の活用や、有期雇用の期間延長阻止など職場段階の闘争強化を確認しました。これを受けて三つの闘争本部は解散することになりました。
 合同会議で、国民春闘共闘代表幹事の熊谷金道は「共同した労基法改悪反対闘争で『解雇自由』を撤回させ、解雇規制のルールを明文化させたこと、改悪部分も11項目の付帯決議でサービス残業や過労死の防止などを謳ったことなど、到達点を確信して新たなたたかいを職場、地域からまきおこそう」「諸外国の先進例に学び、21世紀に人間らしく働くルールづくりを前進させていこう」と呼びかけました。
 日本共産党の山口富男衆議院議員は、国会論戦の中で感じたことを紹介。一つは解雇問題の修正がかちとれたのは全労連などの運動があったからで、四野党共闘の実現もみなさんの運動による。二つは21世紀に大企業職場のあり方を変えていこうという流れで、首切りの金銭解決、ホワイトカラーの時間規制除外がひきつづき狙われている。三つはたたかいの中でかちとった成果として、「合理的な理由」の中身には整理解雇の四要件が含まれるとの政府答弁があったこと、11項目の付帯決議をかちとったことなどを紹介しました。

職場から問合せや学習会も相つぐ

 全労連の生熊茂実闘争本部長は、参議院で労基法が成立した6月26日以降、JMIUでは職場からの問合せや学習会をやりたいとの要望が相ついでいること、「使用者は…解雇できる」をはね返したことが職場の確信になっていると報告。修正と付帯決議を財産に、改悪部分を職場に入れないための学習を強めたい。
とくに、
1,労働者のくらしと雇用、労働条件を守る協約づくり、事前協議・同意約款の協定化が求められている
2,「働くルールづくり」を職場の内外で広げる
3,不安定雇用、有期、派遣が増えており、これらの組織化が緊急に必要である。
闘争本部は解散したが、今後は全労連の重要な闘争課題としてがんばりたい
と決意を表明しました。

 席上、全労連の闘争本部より、附帯決議や国会論戦を活用して作成された坂口大臣宛の「改定労基法、派遣法・職安法に関する要求書」(案)が紹介され、討議・修正しました。同要求書は近く厚生労働省に提出する予定です。





 
 春闘で 職場と暮らしの 元気回復