2003年国民春闘共闘情報
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第63号・夏季第4号  2003年8月07日

産業別・単産別総括表   個別回答一覧へ

 

最終平均は2.03月、64.5万円に

 中小が減額。大企業は回復、加重平均がプラスに 

夏季一時金最終集計結果の特徴について

2003年8月07日 2003年国民春闘回答集計センター

 1.2003年国民春闘回答集計センターは8月6日、夏季一時金の最終・第4回集計をおこなった。登録組合の約80%にあたる651組合が回答を引出し、うち、498組合が妥結した。残る組合も粘り強く交渉し収拾に向かいつつある。

2.回答+妥結の状況は別表のとおりで、集計結果は以下のとおりである。

 
登録組合数 827組合      
回答組合数 651組合 回答引出し率 78.7%  
2次回答以上 176組合 上積み回答率 回答数の27.0%  
前年実績額以上 178組合   回答数の27.3%  
妥結組合数 515組合 妥 結 率 登録数の60.2%  
[回答+妥結] 組合数・人数 回答月数 金  額 引上げ率
単純平均 651組合 2.03カ月+α 645,215円  
前年同期比 (02.08.05) 2.09カ月+α 657,946円 −1.93%
前年実績比 (同一組合)   690,193円 −6.52%
加重平均 115,211人   758,887円  
前年同期比 (02.08.05)   754,664円 +0.56%

3.03夏季一時金闘争の経過と特徴はつぎのような諸点である。
 1) 今期の夏季一時金闘争は、財界・大企業の春闘解体攻撃によって賃上げが史上最低を更新し、多くの単産が未解決組合をかかえながらの取りくみとなった。5年連続の年収減、毎月の赤字補てんを改善するとともに、医療、年金など社会保険料の高負担に対応するため支給額の引上げを重視してきた。民間調査機関による「前年比マイナス」の予測が発表されるなか、6月10日集計の「既に決まっている一時金」は、単純平均が前年比2万8664円減、3.65%マイナスというきびしいスタートとなった。

 2) すべての単産の回答引き出しが出揃った7月中旬段階の集計では、◆リストラ効果などによって「業績回復」が伝えられる大手企業で100万円前後の回答が出てきたこと。◆一方、中堅・中小・零細企業では、「業績悪化」や「赤字幅の増大」「社会保険料の高負担」などを理由とした低額回答の押し付けが目立つなど、回答額の二極化、規模別格差の拡大が見られた。
 こうしたなかで、総報酬制による「社会保険料の高負担」問題は新聞、週刊誌、テレビなど多くのマスコミが取り上げ、「小泉内閣の悪政」として紹介された。

 3) この間のとりくみの特徴は、5月以降「労働法制の改悪反対」を中心に「有事法制」や「イラク特措法」など悪法阻止の国会闘争をはじめ、職場・地域では春闘未解決支援の特別対策や、最低賃金、人勧期要求などを官民一体でたたかいつつ、夏季一時金闘争をすすめてきたことである。こうしたなかで、各単産が業種別・地方別の対策をつよめ、一部ではスト突入、残業拒否、本社交渉などをたたかいながら、176組合(回答数の27%)が2次、3次と回答を上積みさせ、178組合(同27.3%)では前年実績以上を獲得してきた。

 4) 最終集計結果は、単純平均が64万5215円、前年実績(同一組合)比で4万4978円の減、引上げ率にして6.52%のマイナスという結果になった。建設業と金融保険業では二桁のマイナスで、製造業や交通運輸業、卸小売業、マスコミ関係業など23単産が前年比マイナスというきびしい実態がみられる。一方、プラスになっているのは、検数労連6.56%、化学一般労連6.31%、全労連繊維3.69%、郵産労2.37%、地方登録組合0.30%の5組織のみであった。

 5) 単産平均が100万円の大台を超えているのはマスコミ関係の民放労連、出版労連、地方マスコミ(新聞)の3つで、この加盟組合を中心に150万円以上の高額回答が16組合(最高は出版労連傘下の332万円)報告されている。最高回答次数は関西医大労組(日本医労連)の第7次回答。最高引上げ額は朝日放送労組(民放労連)の前年実績プラス40万9660円、率ではカイジョー支部(JMIU)の111%アップであった。


4.他団体の集計結果について


連 合(最終) 8月05日現在 月 数 金 額 前年実績 (引上げ率)
単純平均 379組合 1.95カ月 524,113円 521,503円 +0.50%
加重平均 62.3万人 2.27カ月 677,975円 648,555円 +4.54%


日経連(最終) 7月23日現在 月 数 金 額 前年実績 (引上げ率)
単純平均 主要213社   674,890円 670,557円 +0.65%
加重平均     806,056円 769,564円 +4.74%




 
民間賃下げ、最賃ゼロ、公務員はトリプル引き下げ…

8日、人事院前で抗議の座り込み行動を

 5. この間、春闘共闘・全労連と公務労組連絡会は、「誰でもどこでも時給1000円以上に」「全国一律最低賃金制の制定」などを求めて第6次(7/17)、第7次(7/24)の「最賃デー」を中央、地方で取りくんできた。7月24日に出された中賃審議会の改定目安は「各ランクともゼロ円」とするものとなった。使用者側の執拗な引き下げ論や30人未満事業所の賃金改定状況が史上初のマイナスを記録したことから思うと、審議日にあわせた宣伝・要請・座り込み行動と、審議会における労働者委員の奮闘が影響したものである。いま、全国各地で地方最賃審議会にたいし「自主性の発揮」を求め、ひきつづき大幅な引き上げをめざす要請、意見陳述、異議申し立てなどの取りくみがすすめられている。

 また、03年度人事院勧告のヤマ場をむかえ、7月29日から31日まで連日の座り込み行動を取りくみ、31日午後には全国上京団を含む3500人のなかまを結集して「第3次中央行動」を展開してきた。「公務員賃金の改善、マイナス勧告阻止、賃下げの悪循環を許すな!」の夏季重点要求の実現でも官民一体の運動に全力をあげてきた。勧告は、本俸、一時金、諸手当とも引き下げるトリプルマイナスになることが予想され、明8日、公務労組連絡会に結集するなかまが勧告日当日の人事院前座り込み行動を実施する。公務単産の奮闘とともに各民間単産、首都圏地方からの積極参加が期待される。


(以 上)




 
 春闘で 職場と暮らしの 元気回復