2003年国民春闘共闘情報
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第65号  2003年8月22日

 

ゼロ答申に、36地方が異議申出

 地域別最賃  46都道府県の時間額出揃う

山形、神奈川、香川、沖縄でプラス1円

 03年度の地域別最低賃金は、中央最賃審議会の「各ランクともゼロ円」の答申を受けて地方ごとに審議がつづけられ、8月5日、6日、7日を中心に46都道府県で時間額が答申されました。その結果、山形、神奈川、香川、沖縄の4県で「プラス1円」(昨年は17県)をかちとり、41県では前年同額の据え置きになりました。残る福岡県では25日の審議会で結審する予定で、プラスアルファをめぐる労使の攻防がつづいています。
 この間、各地方組織は現行水準の引き上げ、ランク別逆転現象の解消などを求め、審議会への要請、傍聴、宣伝行動などを取りくんできました。
 これまでの審議態度では、全会一致が19県(うち「据え置き」は16県)、使用者側反対が2県、労働者側反対が24県で、昨年に比べ労働者側反対が11県も増えました。県労連などによる「異議申出」のとりくみは36県に広がりました。使用者側の引き下げ攻撃への危機感、「ゼロ円」答申に対する労働者の怒り、運動の高揚が反映したものです。

(全国の改定状況)


公正取引へ、運輸、設計、印刷の経営者も参加

「改正・下請二法説明会」に50人以上

 全労連と国民春闘共闘、建交労の三団体は20日、東京トラック健保会館で「改正・下請二法説明会」を開催しました。先の第156国会で下請代金支払遅延等防止法と下請中小企業振興法が改正され、情報成果物、運送、役務提供、金型製造などにも適用されることになったことから、これらの関係労使が参加し、各産業、企業で公正取引をめざして積極活用していくこと、政省令の見直しにむけて違反事例を上申することなどを確認しました。
 参加者の顔ぶれは、印刷、運輸、設計など7社8名の経営者、全商連の3名や、労働団体では全国参加の建交労をはじめ、JMIU、全印総連、民放労連、電算労、自治労連、東京地評、大阪労連などから計54名が参加しました。
 下請代金法の説明を公正取引委員会企業取引課の向井課長補佐が、下請振興法の説明を中小企業庁取引課の竹谷課長補佐が行い、現行法のしくみと公正な下請取引の内容、親事業者の遵守事項(禁止行為)、一部改正された法律の概要などが詳しく解説されました。
 質疑応答では、建交労運輸、民放労連、電算労、JMIU、千葉商連、大阪労連などの参加者から不公正取引の実態が紹介され、これが法違反か否かの問い合わせや、自らの業務が改正下請法の適用になるのかなどの質問が相次ぎ、説明員が一問一答で答えました。
 今後、各単産、地方ごとに説明会開催や、親事業者の禁止事項の「運用基準」、下請中小企業の「振興基準」の見直しにむけて、違反事例と意見の集中を図ることなどを確認しました。


 <最賃闘争> 各地方のとりくみ (3) 

 神奈川  審議会で「プラス1円」の引き上げを答申

県労連などの運動実る

 賃金の最低限度を定めた最低賃金について、神奈川地方最低賃金審議会(会長・松田保彦横浜国立大学名誉教授)は5日、現行の1時間706円を1円引き上げて707円(引き上げ率0.14%)とすることを、神奈川労働局の寺岡忠嗣局長に答申しました。
 昨年の中央最低賃金審議会の「据え置き」答申などきびしい状況のなかで、県春闘共闘と神奈川労連などの粘り強い運動が実ったものです。
 同労働局が12日現在で発表した全国の今年度の地域別最低賃金の決定状況をみると、引き上げたのは、神奈川、山形、香川、沖縄の4県だけで、いずれも1円引き上げです。県最低賃金は、鉄鋼業など7業種の基幹的労働者を除いた約257万人の県内労働者に適用されます。
 県春闘共闘と同労連は、最低賃金引き上げを求めて5月に県内38自治体に要請し、地方議会にいっせいに陳情・請願。中央と神奈川の最低賃金審議会への要請や、厚生労働省前(7月)や神奈川労働局前(8月)でのハンガーストライキ行動などをおこない、最低賃金の引き下げに反対し、「せめて生活保護水準を上回る1時間1000円の最低賃金実現を」と訴えてきました。
 連合神奈川とも懇談し、「最低賃金引き上げは全労働者の課題であり、景気回復の社会的影響力を持つ内容にすべき」と意見がいっちしました。
 神奈川労連の水谷正人事務局長は「大企業の横暴と小泉内閣の悪政のなかでも、あきらめないで粘り強くたたかえば必ず運動の前進と成果をつくり出せることを示した成果です。引き続き、生活保護基準以上の時間額実現、神奈川労連代表の最賃審議会委員任命、憲法25条にもとづく全国一律最低賃金制の確立などに向けて奮闘します」と話しています。

 (しんぶん赤旗 8/14付より)  


 大阪  時間額「据え置き」強行を許さない

大阪労連が最賃改正答申に異議申し立て

 2003年の最低賃金をめぐる情勢では、中央の「0円目安」にも関わらず、山形県、神奈川県、香川県、沖縄県の4県で、「1円引上げ」決定がなされる予定です。
 わずかに1円と言う声もありますが、不況を理由にリストラ・解雇をテコに労働単価の引下げを強引に進める資本の大攻勢を背景に、「使用者側」委員の「最賃引下げ決定」の狙いを打ち破っての引き上げであり、非正規労働者の賃上げ+アルファの重要な意義をもつものです。
 「引上げ」決定を行う4県と歩調を合わせることは、地域経済と雇用が深刻な状態である大阪にあって、広範な労働者への激励と地域経済への刺激につながるものです。また、最賃地域別・Aランクにあって、東京=708円、神奈川=707円で大阪703円据え置きとなれば、Aランク内での格差の拡大につながり、将来にわたって重大な問題をもつものです。さらに、最低賃金703円は週5日・40時間・年50週働いたとしても104万6000円にすぎず、最賃の任務を放棄したものです。
 大阪労連は、労働法制改悪でさらに非正規・パート・派遣労働者が増大する可能性が否めない今、最低賃金の引き上げこそ広範な労働者から支持され、地域からの運動を盛り上げる能力を発揮するものと考えます。また、西日本を代表する大都市として、ただでも不当な金額で、さらにAランク地域での格差拡大となれば、大阪の労働者に対する最賃審議会の見識を問うものです。
 申入れ行動では服部副議長を先頭に、最低賃金引き上げへの再考を要求し、また、それぞれ産別・地域の仲間から一言を添え、持参された意義申入れ文書(186団体分)を提出しました。引き続き地域での非正規・パート・関連・アルバイト・派遣の職場で働く労働者の要求を結集し、正規・非正規労働者の均等待遇の運動とも連動させ奮闘していきます。

 (大阪春闘共闘ニュース 8/19付より)  





 
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