2004年国民春闘共闘情報
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第 21 号  2004年4月12日

 

審議山場。年金大改悪阻止へ共同ひろげ

4・15年金ストへ総決起しよう

  春闘共闘が第5回常任幹事会で確認


 国民春闘共闘は4月8日、全労連会館で第5回常任幹事会を開催し、年金大改悪の審議山場に向けて、来る15日の「年金スト」を100万人規模でたたかうため、ひきつづき職場闘争に結集し、共同を広げ世論を結集して奮闘しあうことを確認しました。
 賃金闘争では、各単産・単組の奮闘によって、要求提出数や回答引き出し、回答水準(金額、引上げ率)が前年同期比で若干のプラスαで推移しています。一部に見られる賃下げや回答延期を許さず、春闘を「流れ解散」しないためにも「4・15」以降もなお統一行動の強化が必要なことから、4月最終週の26日から30日までを「闘争集中ゾーン」とすることを確認しました。

100万人規模の大闘争へ、さらに奮闘を

 「4・15年金スト」はこれまでの計画状況調査によると、単産集計で24単産、約39万人が結集する予定です。日本医労連が「1時間以上のストライキ」を中心に7万5000人、自交総連が「2時間以上のストライキ(84組合)や全国5箇所(当日は3箇所)でのタクシーデモなどに1万3530人、JMIUは200支部5000人が夕方のストライキや宣伝行動などに決起します。生協労連は全国350店舗でパートを含む1万人が店内放送やハンドマイクで反対を訴え、店頭署名・宣伝活動などに取りくみます。また、公務単産を中心に、早朝・昼休み・退庁時など時間内外の職場集会や、休暇闘争での宣伝・座り込み行動などを取りくみます。
 地方集計では、全47都道府県で多彩な行動が計画されており、全都道府県で国民諸階層と共同する実行委員会などを中心とした行動が予定され、「2・25地域総行動」(約15万人)を大きく上回る取りくみが準備されている。参加規模をみると、京都5万人、埼玉2万人、大阪は集会だけで1万人など大きな目標が準備されています。
 会議では、さらに共同を広げ世論を結集し、職場闘争への結集も強めて100万人規模の大闘争を追求していくこと、ひきつづき審議山場の4月21日(水)には、
1) 昼デモ(霞門〜。連合は国会前座り込み中)、
2) 議員要請、
3) 夜の決起集会(日比谷屋音)

の実施を確認しました。
 討論では、賃金闘争、年金改悪反対闘争とともに、イラク問題、平和、教育問題も話し合われ、「日の丸・君が代」をめぐって石原都政が強行している教職員組合の弾圧問題について、平和を守る視点、教育基本法を守る視点、教科書をつくる視点など様々な角度から様々な団体が抗議の声をあげていくことが強調され、春闘共闘も抗議申し入れを行うことになりました。


 
「企業年金」問題で懇談会ひらく

 国民春闘共闘は8日、常任幹事会にひきつづき関係単産による「企業年金問題懇談会」を開催しました。すでに確定拠出年金への移行が提案されている単組を抱える化学一般労連、通信労組や、JMIU、生協労連、民放労連、東京春闘共闘、全労連などから10名が参加し、現状と問題点を出し合い、今後の研究課題などを討論しました。
 冒頭、問題提起を含む現状報告を行った化学一般労連の屋田書記長は、二つの問題点を指摘。第一は「上場企業では退職金給付を2012年までにバランスシートに載せなくてはならないが、運用利回りがマイナスになっている。100億〜500億円の売上のなかから積立不足の4億〜5億を穴埋めしなくてはならないから、会社は確定拠出型(401Kなど)にしたいと提案してくる」「この場合、月額4万6000円が上限で、年間52万2000円しか積み立てられず、大卒40年で2000万円にならない」と指摘。第二に中小企業では、帳簿記載の義務はないが、賃上げすれば退職金などにはね返り、5000円の賃上げをしても穴埋め原資のほうが多くなる。税制適格年金がなくなったとき中退金に移る方法はあるが、10年間しか遡れない。上限3万円で10年、その後30年積み立てても貰えるのは1775万円にしかならない」、「2012年以降も放置しておくと税金がストレートで掛かってくる」ことなどを指摘しました。
 討論では、通信労組の代表がNTTの企業年金が労使一体になって、現行の税制適格年金を確定給付型に移行させ、現行利率4.5%を2.5%に引き下げてきた経緯を紹介。この推進に、国税庁と厚生労働省が関与するなど、国策としてすすめられたことも明らかになりました。
 企業年金制度は賃金・退職金の後払いとして多くの企業が採用しており、JMIU、化学一般労連などでは約半数の組合が協定しています。このほかの民間単産でも大手・中堅企業を中心に確定拠出型への移行が取り沙汰されていることから、ひきつづき懇談会を継続していくことになり、次回は、移行先の各種制度の特徴や長・短について学習することになりました。


 
単価叩かれ、仕事は中国へ、後継者なし…

春闘共闘・全労連&全商連が川口市で「中小企業アンケート」

 全労連・春闘共闘と全商連は4月9日、埼玉県川口市で「年金改悪・消費税大増税許すな!公正取引めざす中小企業・業者アンケート」の調査活動を共同して実施。市内43社の中小企業・業者の経営実態や年金改悪・消費税引き上げへの対応、下請いじめの実態などについて、事前送付したアンケートを回収しながら実情を聞き懇談しました。この調査には中央団体10名、埼労連・埼商連12名、川口民商10名・民間サミット川口実行委5名など計42名が参加しました。

 自動車や家電部品のプレス加工業者は、一工程数円何十銭という仕事を請負っています。大量に出る部品は親会社が自動化して生産しており、多品種・少量の部品をジャスト・イン・タイムで要求されています。「単価は仕事を受ける時点では教えられません」「無理難題を言われても、口答えしようものなら『型引きあげるよ。やらないんだったら他へ回すから』と言われます」と、親会社の優越的地位を利用した下請いじめを告白しました。
 上下水道など公共工事の2次、3次の下請業者は、従業員、関連同業者を含め40人規模ですが、「資材、リース代、人件費を払うと、もう残りません」と深刻です。現場では必要な人手をかけても認められないことがしばしば起きます。「言った言わないの争いになると引かざるを得ない。下請なので価格交渉力もなく弱い立場でどうしようもない」「昨年は春先から仕事が途切れ、赤字がつづき消費税も支払えず、銀行融資も受けられなかった」と訴えました。

 調査終了後の総括会議では、参加者が調査企業の実態を紹介しながら、「労働者の最低賃金も必要だが、社長の最低賃金が必要だと思った」「資金繰りに苦しんでいる。借金返済のために止めるに止められない実態にある」「製造現場ではどこでも話がはずんだ。仕事への誇り、技術への確信を感じた」「中国に仕事をもっていかれ、苦しいながらも中小企業が地域の雇用を守り、真面目に元気にがんばっている」などの感想が寄せられました。

政府の年金「改革」に賛成者なし

 アンケート調査票は当日39社から回答が寄せられました。

当面する年金「改革」については、
「賛成だ」0、「反対だ」19人(66%)、「どちらともいえない」5人(17%)、「よくわからない」5人(17%)となりました。
厚生年金の保険料の負担率は
「現行(13.58%)が精一杯」4人(36%)、「引き下げてもらいたい」7人(64%)で、引上げを容認する人はいませんでした。
国民年金保険料では
「現行(1万3300円)が精一杯」8人(57%)、「引き下げてもらいたい」6人(43%)で、引上げを容認する人は「1万5000円」が1人(7%)でした。
政府の消費税引き上げ計画については、
「7-8%」2人(7%)、「10%位」1人(4%)の計3人(11%)が引上げを容認しましたが、
「なくしてほしい」12人(43%)「引き下げてほしい」4人(14%)で、
「現行(5%)据え置き」5人(18%)、「よくわからない」3人(11%)となり、
「なくしてほしい」と「引き下げてほしい」が計57%と多数を占めました。(カッコ内の比率は「未記入」を除外)


 
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