2004年国民春闘共闘情報
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第 42 号  2004年8月06日

 

「マイナス勧告」を阻止!

 04人勧  一時金も4.4カ月で据え置き

官民一体の抗議・要求行動が実る

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 人事院は8日、国家公務員の2004年度賃金等の改定について、本俸と一時金の据え置きなどを内容とする勧告・報告を行いました。
 官民給与の比較については、「月例賃金は官民格差が39円程度の微小なもので、均衡している。ボーナスも民間の昨年冬と本年夏の支給実績と公務の支給月数(年間4.40カ月)と概ね均衡」として、本俸と一時金の前年水準を維持することになりました。
 なお、39円の官民格差には、すでに寒冷地手当の廃止・削減が含まれており、一方的な強行に公務員労働者の怒りが広がっています。廃止・削減が、民間企業の支給実態のみに着目したことや、北海道の気象データで線引きし、東北や甲信越・北陸など本州の4割の支給地域・寒冷の市町村を切り捨て、対象職員の約半数を除外するという不当なものです。


寒冷地手当改悪を強行。地域給与の見直しを報告

 加えて「給与構造の基本的見直し」についての報告で、
(1) 20%もの格差をつける地域給与の引下げ・見直し、
(2) 能力・業績主義強化の「査定昇給」導入など、俸給構造の基本的な見直し・改悪の方向

を明記しました。これらは、労使協議を抜きにして、政府の「2004年骨太方針」に応えた一方的なものです。来年度実施が目論まれており、民間賃金や地域経済、景気への悪影響が懸念されます。
 公務労組連絡会に結集する国公労連、自治労連、全教、郵産労、特殊法人労連などの各単産は、全国から2500人を結集した7月27日の中央行動につづき、8月4日より連続3日間の人事院前座込み・要求行動(写真)を実施。猛暑のなかのべ880人が参加しました。この間、民間からの連帯参加は24単産・地方組織に達し、激励あいさつやリレートークで闘争を交流しました。本日、各公務単産・団体は声明や談話を発表、この間の最賃闘争の高揚につづく官民一体の運動前進を評価しつつ、勧告・報告の内容をきびしく批判しています。




 
 2004年勧告の主な内容

◎ 本年の給与勧告のポイント
〜 月例給、ボーナスともに水準改定なし(6年ぶりに前年水準を維持)
(1) 官民給与の較差(0.01%)が極めて小さく、月例給の改定を見送り
(2) 期末・勤勉手当(ボーナス)は民間の支給割合と均衡
(3) 寒冷地手当の支給地域、支給額、支給方法を抜本的に見直し

◎ 官民給与の比較
〜約8,100民間事業所の約36万人の個人別給与を実地調査(完了率92.7%)
〈月例給〉 官民の4月分給与を調査(ベア中止、定昇停止、賃金カット等を実施した企業の状況も反映)し、職種、役職段階、年齢、地域など給与決定要素の同じ者同士を比較
○ 官民較差 39円  0.01%〔行政職(一)…現行給与381,113円 平均年齢40.2歳〕
(寒冷地手当の見直しを含まない場合の官民較差△207円△0.05%)
〈ボーナス〉 昨年冬と本年夏の1年間の民間の支給実績(支給割合)と公務の年間支給月数を比較
○ 民間の支給割合 公務の支給月数(4.40月)とおおむね均衡

◎改定の内容
〈月例給〉 官民較差が極めて小さく、俸給表改定が困難であること、諸手当についても民間の支給状況とおおむね均衡していること等を勘案して、月例給の水準改定は見送り
〈寒冷地手当〉  地域の公務員給与の見直しの一環として、民間準拠を基本に、抜本的に見直し
(1) 支給地域 北海道及び北海道と同程度の気象条件が認められる本州の市町村に限定
(市町村数の4割強、職員の約半数を対象から除外)
(2) 支給額 民間事業所における支給実態に合わせて、支給額を約4割引下げ
(最高支給額年額230,200円→131,900円)
(3) 支給方法 一括支給から月額制(11月から翌年3月までの5箇月間)に変更
(4) 実施時期等 本年の寒冷地手当(現行10月末日一括支給)から実施。実施に当たっては所要の経過措置
〈国立大学法人化等に伴う給与法等の規定の整備〉
(1) 教育職俸給表 教育職(一)は1級を削除、教育職(二)及び教育職(三)は廃止、教育職(四)は名称を教育職(二)とし、4級、5級を削除
(2) 指定職俸給表 指定職12号俸を削除
任期付研究員、特定任期付職員の俸給月額の上限を指定職11号俸相当額に変更
(3) 研究員調整手当、ハワイ観測所勤務手当、義務教育等教員特別手当 廃止等の所要の改定

[実施時期] 公布の日から実施

〈その他の課題〉
(1) 特殊勤務手当の見直し 引き続き手当ごとの実態等を精査して所要の見直しを検討
(2) 官民比較方法の見直し 比較給与種目(通勤手当、俸給の特別調整額等)の見直しのほか、民間企業の人事・組織形態の変化に対応できるように官民比較方法の見直しを検討
(3) 独立行政法人等の給与水準 役職員の給与水準の在り方等の検討において今後とも必要な協力


 

2004年人事院勧告にあたっての声明

2004年8月6日・公務労組連絡会幹事会

1、人事院は本日、一般職国家公務員の給与改定などにかかわって、本俸と一時金の据え置きなどを内容とした勧告・報告をおこなった。

 今夏勧告では、給与改善は見送られたが、5年続いた年収減を阻止することとなった。そのことは、この間の官民共同にもとづくたたかいの到達点である。

 一方、当該地域の仲間の切実な声に背をむけ、寒冷地手当の大幅な廃止・削減を強行したことは断じて認められるものではない。

 加えて、20%もの格差をつける地域給与の見直しや、能力・業績主義強化の「査定昇給」導入など俸給構造の基本的見直しが、労使協議を抜きにして、政府の「骨太の方針2004」にも応えて一方的に打ち出されたことは許しがたい。すべての公務労働者に影響する給与制度「見直し」の撤回を求めるものである。

2、寒冷地手当にかかわっては、生活費補填という手当の性格をねじ曲げ、民間企業の支給実態のみに着目して見直しを強行したことや、北海道の気象データで線引きして、本州の現行支給地域の4割強の市町村を切り捨てたことなど、人事院の「見直し」は、いささかの道理も合理性もない。

 寒冷地手当改悪反対の運動は急速にひろがり、短期間のうちに260を超える地方議会で手当改悪反対の決議や意見書が採択され、青森県知事をはじめ多くの自治体首長が手当改悪の中止を求めるもと、人事院も一定の手直しをせざるを得なかった。

 「三位一体の改革」による地方切り捨てに拍車をかける寒冷地手当改悪に怒りをもって抗議するものである。あわせて、寒冷地手当改悪を突破口にした地域給与の見直しに断固反対してたたかう決意を表明する。

3、公務労組連絡会は、04春闘における官民共同の流れを大きくするため、すべての労働者・国民の生活を守るたたかいを夏季闘争の最重点にすえ、人事院勧告・最低賃金の改善、賃金底上げのたたかいを一体的に取り組んだ。

 「マイナス勧告阻止、最賃ゼロ答申反対」を共通課題にした4次にわたる中央行動では、のべ5千人の公務・民間の仲間が人事院・厚生労働省を包囲した。賃金改善署名は27万筆を集約し、勧告直前には3日間連続で人事院前に座り込んだ。

 人事院が当初から「今年もマイナス勧告」との危険性を示唆するもとで、こうした官民共同のたたかいが、賃下げ攻撃を押し返す原動力となった。

職場・地域で奮闘された仲間のみなさんに敬意を表するとともに、民間労組の熱い激励と連帯に心から感謝する。

4、最低賃金は今年も目安額引き上げが見送られ、自治体財政悪化を口実に地方公務員の賃金カットが強行されていることなど、「賃下げの悪循環」は、依然として不況を深刻にし、労働者・国民の生活改善を妨げている。

 年金大改悪が暮らしや経済におよぼす影響もはかりしれないうえ、地方交付税削減や義務教育国庫負担金廃止などを通して、小泉内閣は、国民総犠牲の攻撃を露骨に強めている。

 公務労働者にとっては、労働基本権が制約されたまま、物言えぬ公務員づくりへと「公務員制度改革」がすすめられている。次期国会で関連法案の提出がねらわれるもとで、労働基本権回復など2度のILO勧告に沿った民主的公務員制度の確立が重要課題となっている。

 公務労組連絡会は、引き続く秋季年末闘争において、国民・住民のいのちと暮らしを守る使命を持つ公務労働者で組織する労働組合として、地方での賃金確定闘争とあわせ、憲法擁護の旗を高くかかげ、小泉「構造改革」阻止へ奮闘する決意である。

 (以 上)  

   






 
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