2005国民春闘共闘情報
全労連HP

第 7 号  2004年01月17日

 

「だれでも1万円,時給50円」を決定

憲法改悪阻止、CSRも柱に

 第1回単産・地方代表者会議で「春闘方針」を確立

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 国民春闘共闘委員会は1月13日、東京・全労連会館で第1回単産・地方代表者会議を開き05年春闘方針を決めました。賃金要求は『だれでも1万円以上、時間給50円以上』の引き上げと「月額15万円、時間額1000円」の最低賃金の獲得とともに、憲法改悪阻止や大企業の社会的責任(CSR)追求などを柱としています。
 主催者あいさつした熊谷金道代表幹事(全労連議長)は、大企業が史上空前の利益を上げているなか、その労組が軒並み賃上げ要求を見送ろうとしていると指摘、「組織労働者は賃上げを獲得し、未組織や広範な労働者に波及させる責任があるが、これを自ら放棄するもの」と批判しました。その上で「1人ひとりの組合員が切実な要求を掲げ、自ら行動する春闘を」と訴えました。
 岩田事務局長が春闘方針案を提案。『春闘50周年の今年、統一闘争の原点をふまえて、すべての組合員が要求確立から交渉・ストまで参加するよう』に呼び掛けました。賃金闘争では底上げを重視し、企業内最賃の締結・改善を進めます。地域最賃の引上げに向けては、昨年に続き1000人の最賃体験運動や1000自治体での意見書採択を進め、自治体公契約条例の制定運動も強めます。
 CSR追求ではビクトリーマップ運動を発展させ、「企業通信簿」運動に初挑戦します。内部留保の社会的還元に加え、
1) 賃金・労働条件
2) 訴訟や労基法違反
3) 雇用形態や均等待遇
4) 地域社会への貢献
―などを労働者の視点でチェックし、世論形成をはかるもの。1・20大企業包囲行動にあわせて、チェックリスト付ティッシュを作成し、2月のトヨタ総行動をCSRの象徴的な運動と位置づけ、全国で展開します。
 憲法改悪阻止に向けては「九条の会」に連帯する全国的ネットワークづくりとともに、広範な労組・組合役員の賛同、「国民過半数署名」を進め、通常国会に提出される予定の教育基本法改悪法案にも反対する。社保闘争では定率減税廃止を許さない運動を重視します。
 2月10、11日にトヨタ総行動を軸としたCSR追求の統一行動を配置し、23日には憲法や定率減税などの課題で地域総行動を実施。3月16日を賃金回答の指定日とし、翌日に統一ストを設定しました。憲法問題では毎月9日と25日に全国で宣伝・対話・学習に取り組みます。
 なお、国民春闘・東京春闘共同による「企業通信簿・チェックリスト」付ティッシュの配布・宣伝行動は、2月10日早朝、品川駅、新橋駅、地下鉄大手町駅の三ヵ所で行うことになりました。



 
 

生活破壊・雇用破壊とのたたかい旺盛に

 憲法改悪阻止の決意。賃金と均等待遇、大企業の社会的責任など討論


 討論には公務各単産と化学一般労連、石川県労連の代表など13名が発言に立ち、方針案を補強しました。
 重点課題では憲法改悪に反対する取組みが全国で進められています。自治労連は『滋賀県庁では改悪阻止に向けて、管理職を含め九条の会を結成。自治体首長との共同も拡大したい』。国公労連は憲法学習を重視するとともに、組合員をはじめ管理職やOBなどの『語り部』を早急に組織する考えを示しました。有事法制のなかでNHKや民間放送局が国への協力を義務づけられる指定公共機関となっている問題で、民放労連は『指定の返上や拒否を求める』と述べました。全教は教育基本法改悪に反対して大がかりなたたかいを展開するとし、『改悪反対の1万人集会を3月下旬に開く。集会に向けて、各地で集会や署名、宣伝に取り組む。全国会議員への要請も行い、世論を盛り上げる』と表明しました。

 公務労組連絡会は『50年節目の春闘は、日本の進路を決める岐路に立っている。国民いじめとたたかう大事な春闘だ。小泉政権はブロック別格差賃金で公務組織の分断を狙っている。郵政民営化反対を軸にたたかっていきたい』。郵産労は全労連と共同して2〜4月、郵政民営化反対の全国キャラバンを実施する。『世論調査で郵政民営化に賛成は2%しかない。景気対策と雇用問題が世論の求めだ。構造改革の本丸、郵政民営化を挫折させ、小泉政権の息の根を止めたい』と決意を表明しました。特殊法人労連は『公務労働の市場化テスト(官民入れ替え)は雇用問題に発展する。国公・地公や特殊法人・独立行政法人も入札で仕事が取れなければ、多くの失業者を生み出す』と警告し、2月4日のシンポジュウム(全国町村会館)への参加を呼び掛けました。

 生協労連は『好調だといわれる消費は、衣食住の生活商品で見ると依然デフレ傾向だ』と商業の厳しい状況を踏まえた上で、『正規とパートの均等待遇で、地域に打って出るたたかいをしたい』と決意を述べました。通信労組は45ヶ月連続で組織増になっていることを報告。春闘では『職場の要求重視、宣伝重視のたたかいをする。1人、2人でストをやってもとの意見はあるが、多くのNTT労働者の励ましになっている』。石川県労連の代表からは『昨年1年間で150件をこえる労働相談を受け、それを契機に3つの労働組合が新しくできた。非正規の労働者が集まる“パートサロン”を昨年末から始めた』と組織拡大の取組みを報告し、春闘に立ち向かう決意を述べました。

 賃金闘争では『賃金要求は組合員を激励するものでなければならない。要求アンケートで出された平均3万7000円を基本に産別要求を決めたい』(建交労)、「05春闘は生活破壊、雇用破壊とのたたかいになる。賃金要求は成果主義の導入を許さず、ベアを必ず取る。退勤時間の調査では昨秋4万人を調べたら1人平均4万円の不払いが判明した。今年も追及する」(日本医労連)、『1万円を基準に、悪いところでも定昇相当分を確保する。命と健康あっての賃上げという事で、昨年秋に“労働・生活・健康アンケート”を行った。組織1万人のうち5000人から回収できたが、117人が自殺したいと回答してきた』(化学一般労連)などの発言がつづきました。

 会議では、春闘方針案の提案に先立ち、奥村宏先生(前中央大学教授)が「企業の社会的責任」について講演。参加者はCSRの前提となる企業責任と、それを果たそうとしない大企業の本質などを学習しました。



 
 つなごうよ くらしと平和 守る手を




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