2005国民春闘共闘情報
全労連HP

第 17 号  2005年4月01日

 

単純平均5,591円へ、加重もアップ

産業別統一行動で8単産が前年比プラス

 3月中、下旬段階の回答について 

2005年4月01日 国民春闘回答集計センター

産業別・単産別総括表   個別回答一覧へ

 1.春闘回答集計センターは3月31日、国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)各単産より3月中・下旬の回答を中心とする第2回目の報告を受けた。第1回集計(3月17日)以降、建設関連労連、検数労連、全倉運、全証労協、広告労協から初めての報告があり、JMIU、化学一般労連、建交労、生協労連、全印総連、出版労連、民放労連、日本医労連からは新規と上積み回答とが同時に報告された。

 2.これまでの回答+妥結状況は総括表のとおりで、特徴はつぎの諸点である。

 
(1) 登録組合数 897組合 33単産・部会中 20単産が引き出す  
(2) 回答組合数 251組合 引出し率 28.0%  
  うち2次回答以上 50組合 上積み率 19.9%  
  うち前年実績額以上 129組合 回答数の 51.4%  
(3) 単純平均額 251組合 5,591円 同率 1.84%
  前年同期 269組合 5,665円 同率 1.79%
  前年同期比   −   74円   +0.05P
  加重平均額 6.3万人 6,293円 同率 1.94%
  前年同期 6.5万人 5,865円 同率 1.83%
  前年同期比   +  428円   +0.11P


50組合が上積み回答、129組合が前年実績プラス

 4) 全体の傾向について
 1) 05春闘は、大企業が過去最高益やV字回復しているにもかかわらず「ベアゼロ」を押し付け、業績向上分は一時金に上乗せして決着している。こうした回答傾向が中堅中小にも浸透しつつあるもとで、春闘共闘各組合は統一行動を背景に、回答引き出し、上積みをめざして奮闘してきた。その結果、第1次回答の水準は、定昇相当分が多く、一部にプラスアルファが見られるものの4000〜8000円台に集中し、定昇制度のない企業では1000〜5000円台が多数を占めている。とくに、中小では製造業を中心に取引先からのコスト削減、鋼材値上げ、運輸業では原油高により業績回復に至らないことが回答に反映している。商業・サービス分野では引き続き消費不況の直撃を受け、業績不振、社会保険料の負担増などを理由とした「ベアゼロ(定昇のみ)」が圧倒的である。各産業とも一昨年来急増した「定昇カット」「賃下げ」回答は激減している。こうしたことから、賃上げ額を前年同期比で見ると、産業別にプラスとマイナスの二極化の様相を呈し、中小労組が奮闘している割には規模別格差が表面化している。

 2) 今回は、新規の超低額回答と先行した組合の上積み回答が同時に報告され、単純平均は5591円(1.84%)、一人当たりの加重平均は6293円(1.94%)になった。「前年同期比プラス」でスタートした2週間前の第1回集計と比較して単純平均が220円増、加重平均が296円増と、ともに増加傾向を示したものの、前年同期との比較では単純平均の金額が74円の減に転じた。これは、単産ごとの前年同期比で比較可能な18単産・部会中プラスが8組織であるのに対して、マイナスが9組織もあることとも連動している。それでも化学一般労連紙パ、全倉運、全証労協、地方マスコミ(新聞)の4組織では金額・率ともにプラスで、金額のみプラスは建設関連労連、JMIU、建交労運輸、民放労連の4組織である。

 3) 3・17全国統一行動をたたかった国民春闘共闘参加組合は、3月22日から月末にかけて集中団交やスト含む統一行動などを配置し、回答引出し・上積みを求めてたたかってきた。その結果、JMIU、建交労運輸、出版労連、地方マスコミなどの50組合が第2次〜第4次の上積みをかちとった。これらの単産では産別平均が2週間前と比較して100円〜600円上昇しており、全体水準の引上げに貢献している。

 4) この間「1万円以上」の回答が20組合報告されている(登録外は除く)。これまでの最高は出版労連の組合で1万4599円である。前年実績額との比較では129組合がプラス(同額27組合含む)をかちとり、最高は民放労連の組合で前年比プラス9449円の1万4449円。回答次数ではJMIUの3組合と地方マスコミの1組合が第4次回答を引き出している。


 3.パート等の賃上げ回答状況について
 パート等の賃上げ回答引き出しもすすんでいる。3月31日現在、生協労連をはじめ、全労連全国一般、建交労、日本医労連、全印総連、出版労連などが時間額や日額の引き上げ回答を引き出した。今のところ、時間額アップは5円〜10円の報告が多く、なかには15円、30円も見られる。相変わらず「定昇のみ」というのもある。パート賃上げの集計は、企業内最賃の協定状況を含め4月4日(月)に発表の予定。

 4.他団体の賃上げ集計結果について
1) 3月29日現在、連合の第2回回答+妥結集計は以下のとおり。

  妥結組合数 加重平均 単純平均
集計方式 組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 1682 132.4 5,271 1.72 5,015 1.70 4,297 1.63 4,065 1.60
35歳P 36 4.4         4,729 1.70 4,733 1.72
30歳P 3 0.4         7,933 2.84 6,900 2.35

 2) 3月24日現在、日本経団連調べの第1回回答+妥結集計は以下のとおり。

  回答+妥結 加重平均 単純平均
集計方式 社 数 人 数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 60 - 4,943 1.50 4,829 1.46 4,706 1.50 4,616 1.47



4月闘争。「生活改善へ」執念をもってたたかおう

 5.国民春闘共闘に結集する各単産は、すべての労働者の賃金底上げをめざすとともに、「純ベア獲得」や「前年実績プラスアルファ」の流れを本流にしようと、「3・17」と3月下旬のスト含む統一行動などで奮闘してきた。しかしながら、これまで以上にきびしい経営環境におかれている中小企業では賃上げに対するガードが固く、個別労使では解決できない実態もあり、多くの中小労組のたたかいは4月段階へ移ろうとしている。
 この間、国民春闘共闘委員会は第4回常任幹事会(3/18)をひらき、春闘後半戦にむけて「生活改善につながる賃上げ」をかちとるための意思統一をはかってきた。これをうけて、各単産でも戦術委員会や執行委員会を開催し、改めて日本経団連の春闘「変質」「解体」「個別化」攻撃を乗り越えて、新たな国民負担増のもとで、生活改善できる賃上げをめざし、執念をもって回答上積みと諸要求実現にむけ、粘り強くたたかう決意を固めあっている。
 先行する単産では4月上・中旬にも決着期をむかえる。また、全体としては後半春闘の焦点である「郵政民営化・市場化テスト許すな、悪法阻止」を掲げる4・20中央行動・全国統一行動の成功にむけて奮闘しつつ、産別独自の解決基準や目標を定め、いっせい団交、統一行動をかまえて賃金要求の前進をめざしているところである。

(以 上)






 


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