第3回最終・春闘進ちょく状況調査
回答引出し率は57%、妥結39%
4〜5ポイント改善。スト実施は14%に減少
国民春闘回答集計センターは6月28日、国民春闘共闘参加の各単産より、全単組を対象とした春闘進ちょく状況の第3回・最終調査を実施した。参加29単産から報告があり、回答引出し率が57%、妥結が39%など前年比で各々4〜5ポイント改善したが、相変わらずきびしい進ちょく状況が明らかになった。
要求提出数は77%。前年比4ポイント改善
[調査組合数、要求提出数]
調査組合数は全加盟組合のうち「交渉能力のある単組」が基準で、29単産の報告計で4412組合になり、ほとんどが中小労組です。組合数が多いところは建交労の747組合、福祉保育労570組合、日本医労連438組合、全労連全国一般350組合、自交総連330組合、JMIU318組合など。なお、昨年の最終集計で全体計は4174組合(28単産)でしたが、今年は新しく共闘に参加した合同繊維労組が増え、全農協労連・単協労の報告が間に合いその分増えました。増えたことによって、全体計・比率に微妙な影響が出ていることも考慮する必要があります。
要求提出は、計3376組合で全体の77%になり、前年に比べ325組合増え比率では4ポイント改善されました。繊維産労、検数労連、通信労組、地銀連、銀行労連、全損保、映演共闘(労連)、郵産労、特殊法人労連の9単産が100%で、全信労98%、出版労連96%、自交総連96%、民放労連92%、化学一般労連90%、全労連全国一般90%などが高率です。
回答引出し57%。半数が「ベアゼロ」、定昇カット
[回答引出し、妥結数]
回答引出しは計2512組合で、改善されたとはいえなお57%(前年は53%)の水準です。遅れている要因は、消費不況や規制緩和などを背景とした「業績赤字」「経営難」が多く、賃下げ強要、リストラ提案とセットの回答は「回答とみなさない」などもあります。
こうしたなかで、回答引出し数が多いのは、通信労組、地銀連など5単産が100%で、出版労連96%、銀行労連93%、民放労連92%、化学一般労連86%などです。
回答内容は、このところ急増した「ベアゼロ」や「定昇カット」「賃下げ」などが計1248組合で回答数の50%を占めましたが、前年比では8ポイント改善しています。きびしいのは「定昇なし・ベアゼロ」や「定昇なし・賃下げ」で、建交労の181組合、全労連全国一般25組合、全倉運19組合などです。また、「定昇カット」や「体系変更」は若干減少したものの131組合(回答数の5%)見られ、福祉保育労の60組合、全国私教連の32組合、日本医労連の17組合などで、一昨年来の定昇攻撃が続いています。
うち、妥結または妥結方向に達しているのは1697組合で、前年に比べ321組合、5.5ポイント改善しましたが、いまだ38.5%の低水準にとどまっています。妥結しているのは、当初は「2次回答」や「前年実績以上」を確保した組合が中心でしたが、ここにきて「超低額」ながら一時金で一定の回答を引出して妥結したり、上積みもかなわず「超低額」のまま妥結する組合も見られます。「全体としてほぼ集約方向」(解決率80%以上)になっているのは、繊維産労と検数労連、映演共闘(労連)、郵産労の各100%、銀行労連93%、地銀連88%、出版労連85%、合同繊維83%、化学一般労連81%の9単産のみで、全倉運とJMIUが70%台で続いています。各々低額なりに決着・区切りを付けています。このほかの単産では、前述のようなきびしい回答内容のために未解決が多く、解決率が50%に満たない単産が15もあります。
スト権確立は59%に、決行は14%に減少
[スト権確立・実施数]
スト権は2063組合で確立し調査計の59%になり、前年比で2ポイント低下しました。その要因は「春闘終えん」論などの思想攻撃と、不況・業績低迷や連敗春闘がつづくなかでの闘争力低下があげられています。それでも、検数労連、通信労組、全労連全国一般、全損保が100%で、映演共闘(労連)95%、外銀連92%、建交労83%、JMIU82%などが高率でした。
うち、ストライキ実施組合数(指名スト含む)は、のべ482組合で全体の14%(昨年は28%)に半減しました。今年は「集中回答日」翌日の3・17第1次全国統一行動には前年並みのスト決行が見られましたが、4・20第2次全国統一行動ではスト実施が大幅に減り、前年の4・15年金ストのような統一したストライキ態勢が組めませんでした。今年は調査組合中ストを実施した組合は、通信労組の100%だけが突出し、検数労連の50%、JMIUの47%、全証労協の40%などは高い実施率になります。
粘り強く全面解決へ、夏季一時金と結合して
以上の数値と各単産からの報告を総合すると、春闘の進ちょく状況は史上最低であった昨年に比べ、調査組合数が増えたのをはじめ、要求提出数、回答引き出し数、妥結組合数とも4〜5ポイント改善されました。反面、ストライキ態勢はスト権確立数、実施数ともに減少したのが問題点で今後の検討課題です。こうしたなかで、春闘・賃金要求をめぐるきびしさは依然として続いており、多くの組合が7月上・中旬の一時金支給日などを目途に粘り強く全面解決をめざしています。
第3回 05春 闘 進 ち ょ く 状 況
2005年6月28日 国民春闘共闘委員会
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