4年ぶり有額答申、ABC各3円、D2円
中賃審議会 各地方の「自主性発揮」を要請
台風をついて官民200人が要請行動
中央最低賃金審議会は26日、全労連・国民春闘共闘などの代表が経済産業省前で要請行動を取りくむなか、05年度の地域別最低賃金の引き上げ額の目安について、ランク別に「A・3円、B・3円、C・3円、D・2円」とする答申を厚生労働大臣に提出しました。有額答申は4年ぶりです。
中賃審議会で労働者側委員(連合)は、「現行の最低賃金額665円は03年に試算した若年単身労働者の必要最低生活費の月額14万6000円を大きく下回っている」「一般労働者の所定内賃金の36.6%の水準にすぎない」ことなどをあげて大幅な引上げを主張。一方の経営者側委員は、「30人未満事業所の賃金改定状況調査・第4表の賃金上昇率がDランクでは0%である」「最低賃金の影響を大きく受ける中小・零細企業は依然として先行きが不透明、不安定かつ厳しい状況にある」として「ゼロ」答申を主張しました。
このように労使の意見の隔たりが大きいことから、公益委員として、「賃金改定状況調査結果(平均引上げ率0.4%=2.7円)を重要な参考資料として目安額を決定するというこれまでの考え方を基本」としつつ、労使の意見、諸般の事情を総合的に勘案して、ランク別に「A・3円、B・3円、C・3円、D・2円」とする答申をまとめたものです。公益委員見解では、第2項として、「平成16年12月15日に中賃審議会で了承された『目安制度のあり方に関する全員協議会報告』を踏まえ、とくに地方最低賃金審議会における合理的な自主性発揮が確保できるよう整備充実に努めてきた資料を基に審議してきた」として、地方審議会に対し、これらの資料の活用を要請しています。
地方に「全員協議会報告」踏まえ自主性発揮を要望
中賃答申を受けて、最賃審議の舞台は27日から各地方に移り、8月5日(金)頃にはほとんどの地方で改定答申が出される予定です。目安額が提示されず、「自主性の発揮」のみが要請された昨年(04年)は宮城、東京、静岡、愛知の4都県がプラス2円、40道府県でプラス1円の改定をかちとりました。今年の答申は3円と2円に分かれ、格差拡大に繋がる内容ですが、4年ぶりの有額目安となり大きく前進しました。また、地方での審議に当たっては「目安制度のあり方に関する全員協議会報告」や主要統計資料などを十分活用して自主性を発揮することを求めています。これは、この間の最賃生活体験や審議委員への立候補、宣伝、署名活動の広がり、本省・地方局交渉など中央・地方の最賃闘争が反映したものです。
「大幅引上げこそ」。台風下、官民200人が要請
今年の中賃答申の会場は厚労省の会議室が満室のため、経済産業省別館で開催されました。未明から台風7号が接近し、時折はげしい雨が降りしきるなか、早朝から会場前には官民200人の仲間が駆けつけ、第4次最賃デー・中賃要請行動を取りくみました。
主催あいさつした岩田幸雄全労連総合労働局長(国民春闘事務局長)は、「今の最賃は何よりも、それで生活できない低すぎる水準にある。私たちの05春闘結果でも6298円、1.99%、時間給で11円、1.81%の引上げを勝ちとっている」「生活できない低賃金でも“支払能力”を主張する使用者は経営能力が問われている」と強調。民間、公務、地方の代表が決意表明したあと、審議会傍聴者より報告をうけ、全労連・伊藤圭一調査政策局次長が「今後のたたかいの方向」について、「地域別最賃改定の舞台が地方の審議会に移されるが、3円、2円というランク別格差ながら有額答申をふまえ、その限界を突破して大幅な引上げを求めていこう」「公務員賃金の人事院勧告にむけて、本日の3円、2円の引上げを最大限活用し、給与構造の見直し、マイナス勧告を阻止するため、ひきつづき官民一体のたたかいを強めていこう」と提起しました。
参加者は、傘をさしながらも元気に「生活できる賃金を保障しろ」「均等待遇を実現しろ」「給与構造の改悪はやめろ」とシュプレヒコールをあげました。