05国民春闘・闘争宣言
いま私たちのこの国は、経済のグローバル化が進み、あらゆる分野にまで市場万能主義が導入され、ここ数年、弱いものは一層弱く、強いものは一層強くなるという「二極化構造」がより鮮明となってきている。
「自民党を壊す」と公言して登場し、国民の圧倒的支持を得た小泉首相がこの4年間、おこなってきたのは結局、私たち労働者・国民の生活や雇用の破壊だった。
一方、世界に目を向ければ、1998年にILOは「新宣言」を採択し、労働基本権保障、雇用機会の確保、社会保障の確立を中心にした「デイーセントワーク(働くに値する労働)」の実現」を世界の目標にした取組みをはじめた。またEUでは2003年に「欧州雇用指針」がつくられ、社会の不公正や歪みを正し、グローバル化や市場万能主義とは違ったあらたな方向を歩みはじめている。
いま、この国に必要なのは私たちの生活や雇用、さらには人間の尊厳さえも否定するような社会でなく、人間らしく生き、働き続けられる社会の実現である。05春闘はその実現への確実な一歩としなければならない。
昨年12月に、日本経団連は「05年版経営労働政策委員会報告」を発表した。その内容は今まで同様に、総額人件費管理の観点から定昇廃止や退職金制度見直し、成果主義による一時金重視などあらためて賃金制度全体の抜本改悪を打ち出してきている。また「ベースアップはすでにその役割を終えた〜たとえば『賃金改定』など別の言葉を用いることが望ましい」「春闘労使交渉は〜『春討』の場として、新たな役割を担うべき」だと、春闘の変質・解体攻撃を繰り返している。
また年間1兆1620億円、1日32億円もの利益をあげる日本経団連会長企業であるトヨタの当該労組やNTTなど大手労組は既に、「ベア要求見送り」の方向だが、これは生活改善と日本経済の真の回復を切実に願う多くの労働者・国民への背信行為そのものであり、断じて容認できない。
いま小泉「構造改革」路線に反対する労働者・国民のたたかいは、正念場を迎えようとしている。自民党内部の根強い反対をも押し切り、「郵政民営化」の断行を掲げ、結果によっては政局波乱の様相も呈している。またこの間のイラクへの自衛隊派遣の延長強行をはじめ、度重なる社会保障制度の改悪と大増税、「三位一体改革」の名による地方自治・財政の破綻、公務員制度改悪や公務サービスの商品化、教育基本法や憲法の改悪などの動きを強めてきている。このような、労働者・国民に一層の負担と「痛み」を押し付ける政治姿勢に対する国民の強い不信と不満を増幅させ、内閣支持率は低下の一途を辿っている。
05春闘で、労働者・国民の切実な要求と変革へのエネルギーを総結集させ、日本の政治や経済の歪みを正すならば、私たちのめざす「もう一つの日本」を実現することは十分可能である。
私たち春闘共闘は、春闘50年の節目にあたる05春闘を「たたかって要求を実現する」という春闘の積極的伝統を受け継ぎ、「賃下げを許さず、全労働者の賃上げ」をめざす春闘を追求する。
05春闘は切実な暮らし改善の要求を掲げ、政府・財界が推し進める憲法改悪と小泉「構造改革」路線に反対する2つのたたかいを正面にすえてとりくむ春闘である。
また今春闘を「企業の社会的責任を追及する春闘」として、「企業通信簿」運動を全国的に展開し、企業の社会的責任(CSR)の確立を求めていく。
春闘共闘は「つなごうよ くらしと平和 守る手を」をスローガンに、社会改革を展望した05国民春闘の構築をめざして全力でたたかいぬくことをここに宣言する。
2005年1月13日
国民春闘共闘委員会/第1回単産・地方代表者会議
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