2005国民春闘共闘情報
全労連HP

第 16 号  2006年03月23日

 

中小企業での周知になお努力

「原則・希望者全員の雇用」を強調

 参議院厚労委  改正高年法の施行で大臣、局長が答弁


 22日午後、参議院の厚生労働委員会で60歳以上の雇用延長問題が取り上げられました。政府側は、(1) 60歳以上の継続雇用制度は「希望者全員の雇用」が原則である、(2) 正確な情報を提供するため、昨年11月に「メールマガジン」で注意を喚起した、(3) 中小企業については4月以降も周知に努めたいなどと答弁しました。日本共産党の小池晃議員の質問に、川崎二郎厚生労働大臣、鈴木直和職業安定局長が答えたものです。審議の概要は以下のとおり。

『メルマガ』で指導。パンフも改訂、配布中

 小池晃議員 高年齢者雇用安定法の改正が4月に施行される。65歳までの定年延長か、継続雇用制度の導入のいずれかの措置を事業主に義務付ける、というもので、希望者全員を雇用するのを原則としている。これで間違いないか?
 鈴木職業安定局長 改正高年齢者雇用安定法による雇用確保措置のうち、継続雇用制度を導入する場合は希望するすべての労働者を対象とすることが原則である。ただ、すべての企業に一律に義務付けると、各企業の経営環境等に応じた適切な対応が取れないという意見を踏まえ、各企業において、労使協定により基準を定めたときは、基準を対象とする制度も認めている。

 小池晃議員 厚労省が周知する資料のうち、労働組合から、法改正の趣旨は希望者全員が原則なのに「最初から労働者を選び出すことを前提とするような記述は誤解を招く」「不適切だ」との声があがり、改善した部分があるという。どこを、いつ、どう改善し、その周知がどういう規模で徹底されているか。通達等は出ているのか、お聞きしたい。
 鈴木職業安定局長 改正法の周知については、法改正の趣旨等に係る正確な情報の提供に万全を期すとの観点から、事業主や労働組合のご意見等を十分踏まえて、周知、啓発手法の見直しを行ってきた。具体的には、改正法の周知、啓発の際には「継続雇用制度の導入は、希望者全員を対象とすることが原則である旨を明示的に説明するよう」、昨年11月に労働局やハローワークの担当者に注意、喚起を行っている。同時に、この点を特に強調したパンフレットを新たに作成し、本年2月に全国で30万部を配布している。継続雇用制度の対象者に係る基準、事例を掲載したパンフレットについても、労使納得の基準策定に資するよう見直して、これは本年1月に全国8万部を配布すると共に厚労省のホームページを通じて公開している。(質疑中断。再開)

 小池晃議員 先ほどの答弁で「資料に問題があって、削除もされた」とのことだが、これをもとに事業主は具体化するのだから、きちんと徹底するのであれば、内部文書でなく通達で行うべきだと思う。施行前に再徹底を求めたい。
 鈴木職業安定局長 趣旨の周知徹底については、ご指摘のように、「メールマガジン」で周知徹底してきたが、そのあとも見直したパンフを全国的に配布してきた。周知徹底は大丈夫と考えている。それでも問題が生じるケースには、改めて徹底していきたい。

 小池晃議員 そのうえで、継続雇用対象者の基準の基本的な考え方には、「事業主が恣意的に特定の対象者の継続雇用を排除しようとするなど高年齢者雇用安定法の改正の趣旨や他の労働関連法規に反する又は公序良俗に反するものは認められない」となっている。しかし、実態はどうなっているかというと、例えば、「全国社会保険診療報酬支払基金」の労働組合・全基労の報告では、対象者の基準として、定年までの日常業務には求められていなかった「医療事務の資格やパソコンの検定試験の合格者であること」を求めている。実態として必要としない、在職者には求めていない資格を、継続雇用制度の対象者の要件とするのはおかしいと思う。一般論として聞くが、「事業主が恣意的に特定の対象者の継続雇用を排除しようとすること」に当たると思うがどうか?
 鈴木職業安定局長 特定の資格取得を基準とすることは、一般論として言えば、当該資格の取得が労働者の能力等を適切に測るものとして、労使間で十分話し合って合意されていれば法改正の趣旨に特段合わないということではないと考える。

 小池晃議員 通常業務で求められない資格を継続雇用の条件として良いことになれば、どんどん付け加えて、労働者を絞り込める。しかも、労使で協議というが、労働組合があるのは2割なんだから適切な助言、指導をすべきだ。
 大臣にお伺いしたい。これは4月より実施だが、中小企業にはまだまだ徹底されていないという報道がある。希望する制度から漏れる人をつくってはならないと思う。施行を前に新聞広告やTVコマーシャルをやるとか、中小企業を含め全事業主に再度周知徹底を図る必要があると思うが、その点いかがですか?
 川崎二郎厚生労働大臣 春闘を通じながら、大企業の中でこの議論が進められ、いろんな方針が発表されてきた。高齢者雇用の問題だけでなく、パートタイマーの改善問題や育児休暇の問題、さまざまの問題が議論された。そういう意味では、国民の中に新しい制度が4月からスタートするという意識が芽生えたと思う。一方で、中小企業の春闘はこれからだし、関心の高いときに周知するのは大事な仕事だと思う。残された2週間、有効に使いながら、また、4月になっても課題は残ると思うので、国民全体が、とくに中小企業の皆さんがご理解いただくよう、周知に努めてまいりたい。






 
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