2006国民春闘共闘情報
全労連HP

第 33 号 (確定版)  2006年6月28日

 

最終平均は6,331円、1.97%

 定期昇給分を確保  2年連続で前年比プラス

最終集計結果の特徴について

2006年6月28日 国民春闘回答集計センター

産業別・単産別総括表  個別回答一覧  妥結組合 産業別・単産別総括表

 1.春闘回答集計センターは6月27日、国民春闘共闘委員会(全労連、純中立労組懇など)の各単産と地方より06春闘賃上げ回答状況の最終・第7回目の報告を受けた。今回は、登録している34単産部会・7地方から報告が寄せられた。

 2.回答+妥結状況は各々集計表のとおりで、その特徴はつぎのような諸点である。

 
(1)登録組合数866組合回答組織数は34単産・部会と7地方
(2)回答組合数589組合回答引出し率68.0% 
 うち金額・率回答471組合ほか118組合は「定昇のみ」など 
 うち上積み回答148組合上積み率31.4% 
 うち前年実績額以上275組合回答数の58.4% 
 妥結組合数352組合解 決 率40.6% 
(3)単純平均額471組合5,739円同率1.89%
 前年同期498組合5,457円同率1.83%
 前年同期比 +  282円 +0.06P
 加重平均額9.9万人6,331円同率1.97%
 前年同期11.1万人6,298円同率1.96%
 前年同期比 +   33円 +0.01P


 4) 回答状況と産業別の特徴について
 06春闘の賃上げ回答状況は、ここにきて金融関係各単産、医療、私学の組合が新たな回答を引き出してきた。多くの組合は夏季一時金の回答引き出しとともに奮闘しているが、有額回答数は471組合で、引出し率にして54%にとどまっている。このほか、「ベアゼロ」「定昇のみ」や「業績給で計算不能」など数字にならない日本語回答が通信労組(NTT)、全損保、特殊法人労連などの118組合(前年は101組合)に見られ、計589組合の実質的な回答引出し率は68%になる。それでもなお約3割の組合がいまだ回答に値するものを引出せないという状況である。

 こうしたなか、最終的な特徴は、(1) 組合員ひとり当りの加重平均が6,331円、1.97%となり定期昇給分(2%弱)をほぼ確保できたこと、(2) 1組合当りの単純平均でも前年同期比で282円増、引上げ率では0.06ポイントのプラスとなり、2年連続して増額をかちとることができたこと、(3) 計148組合(31%)が第2次、第3次と回答を上積みさせてきたこと、(4) 275組合(58%)が前年実績以上をかちとったことなどである。なによりも、大企業における春闘が5年ぶりにベアを要求するなど、不十分ながら「賃上げ春闘復活」の状況をつくることができた。

 産業別にみると、前年実績を金額・率ともに超えているのは、比較可能な31単産部会中、建設関連労連、JMIU、繊維産労、合同繊維、建交労運輸、検数労連、全倉運、全労連全国一般、全信労、地銀連、全証労協、銀行労連、全印総連、出版労連、映演共闘、全国私教連、地方マスコミ(新聞)の17組織で、賃上げ額のみプラスになっているのは建交労建設、化学一般労連、全国一般製造、建交労鉄道、外銀連、全印総連、広告労協の6組織である。このほか、平均額が7,000円を超えているのは全証労協の12,667円(3.70%)、全国私教連の11,630円(2.23%)、出版労連9,129円(2.22%)、外銀連8,543円(2.80%)、地方マスコミ8,201円(2.49%)、民放労連7,959円(2.32%)、映演共闘7,682円(2.71%)の7組織である。

 5) 最高額・率を獲得したのは全証労協の組合の2万9200円、8.09%(大幅賃下げを取り戻し中)。最高回答次数は全印総連と地方マスコミ(新聞)の各1組合が第6次の上積み回答を引出した。「1万円以上」の回答は計40組合(05年は36組合)になった。



 3.妥結組合の状況について

 1)妥結数は352組合で前年比7組合増えたものの、全体ではなお41%(前年は39%)の低水準である。解決がすすんでいるのはJMIU、化学一般労連、合同繊維などの製造業と、自交、運輸などの交通運輸業、民放、印刷、出版などのマスコミ関係業で、逆に未解決が多いのは全農協、建設業、卸売・小売業と金融業の各単産と、医療・福祉、私学関係、地方登録組合など。未解決組合の多くは、夏季一時金回答とセットで解決をはかるものと思われる。

(2)[妥結・妥結方向]数賃上げ額同率前年同期比(額) (率)
単純平均352組合5,846円1.88%+344円+0.03P
加重平均6.9万人6,531円1.96%− 47円−0.05P

 4.各団体の賃上げ最終集計の結果は、以下のとおりである。
1) 連合の妥結状況(8月02日、第7回最終集計)は以下のとおり。

  妥結組合数 加重平均 単純平均
集計方式 組合数 人数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
平均賃上げ 4804 198.9 5,237 1.79 4,835 1.69 3,982 1.59 3,716 1.51
35歳P 57 5.9         4,870 1.81 4,617 1.72
30歳P 67 7.0         5,324 2.03 5,045 1.96

 2) 日本経団連調べの妥結状況(6月7日現在。大手は最終、中小は中間)は以下のとおり。

  回答+妥結 加重平均 単純平均
集計方式 社 数 人 数(万) 金 額 率(%) 昨 年 率(%) 金 額 率(%) 昨 年 率(%)
大手企業 128 - 5,813 1.76 5,504 1.67 5,160 1.66 5,109 1.63
中小企業 387 - 3,919 1.54 3,712 1.47 3,801 1.52 3,611 1.44

3) 厚生労働省調べの妥結状況(8月21日発表)は以下のとおり。

 加重平均   主要288社  5,661円 1.79% +239円 +0.08P



 5.06春闘・賃上げ闘争をふりかえって
 06春闘をふりかえってみると、
 第一に、大企業が史上最高益を更新しているなか、大手労組の多くが5年ぶりにベア要求に踏みきり、不十分ながら「賃上げ春闘復活」の状況がつくられたことである。同時にトヨタの「ベア1000円」は、それ以下に押さえ込むという否定的な役割を果たしたことも指摘されている。
 第二の特徴は、まだら模様の「景気拡大」が一部の中小企業にも波及し、春闘共闘組合の賃上げ交渉にも反映して、粘り強いたたかいで2年連続の増額をかちとったことである。
 第三は、商業・サービス、医療・福祉の産業では長期にわたる消費不況や政府の社会保障切り捨て政策によって、賃金抑制攻撃が止まらず産業間格差が拡大していることである。
 第四の特徴はこうしたなか、パート・非常勤の賃上げ、企業内最賃や均等待遇、雇用延長、安全衛生、残業規制など組合員の切実な要求の実現をめざして前年に匹敵する成果を収めてきた。
 国民春闘共闘は来る6月30日、第2回単産・地方代表者会議をひらき、06国民春闘中間総括案について討議する。ひきつづき夏季一時金、最低賃金の大幅引上げ、公務員賃の改悪・引下げ阻止や教育基本法改悪反対の大運動など夏季闘争強化のために奮闘するものである。

(以 上)




* 06春闘の賃上げ集計はこれをもって終了とします。本作業にたずさわったすべての調査担当者の方々に厚く御礼申し上げます。なお、各団体の最終集計後に「確定版」を発表します。



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