2006年1月17日 国民春闘共闘委員会 単産・地方代表者会議 T.06国民春闘の構えと情勢
(1)昨年秋の総選挙で自民党が圧勝し、同時に民主党も憲法改悪や公務員削減など「構造改革」推進で自民党と競い合い、「二大政党」によるオール与党・翼賛政治が急速に進行してきていることに対し多くの労働者・国民のなかに不安と危惧がひろがっている。そして小泉「構造改革」による労働者・国民犠牲の攻撃が新たな段階をむかえ憲法改悪をも政治日程にのせようとする緊迫した情勢のもとで06国民春闘は闘われる。
(T).すべての労働者の賃金引上げを実現する春闘を 春闘共闘に結集する全ての組合が、(1)全ての労働者のベア(定期昇給額相当を上回る)実現(2)企業内最賃の締結・改善(3)均等待遇実現、格差是正の3点で統一闘争に取組む。 この間の賃下げ攻撃に歯止めをかけ、さらに生活改善につながる賃上げを勝ちとる反転攻勢に転ずる賃金闘争をすすめる。同時に、定昇廃止や賃金体系改悪などの賃下げ攻撃に対しては、単産・地方組織の支援を強め断固として跳ね返す。
2.最低賃金闘争、均等待遇、公契約運動の強化
すべての職場・組合で全労働者を対象にした「時間額」「日額」「月額」による企業内最賃協定の締結・改善を追求する。同時に最低賃金制度の改善と地域最賃の大幅引上げをめざし、2月に全国で最賃体験運動に取組むとともに、地方議会での意見書採択運動など世論をひろげる取組みを展開する。また産別最賃廃止に反対し、医療、運輸などで新たな産別最賃確立の取組みをすすめる。地域最賃については、厚労省の「最賃在り方部会」で公益側「試案」として、「生計費については生活保護との関係を考慮するべき」「地域の労働者の賃金水準との整合性」を打出すなど、我々の主張が大きく反映した内容を示しており、経営側によるまきかえしを許さず法改正によって改善を図るチャンスをむかえている。したがって組織の力を集中して、最賃審議会委員への働きかけ、国会議員要請行動などに取組む。
サービス残業をなくす取組みが前進したとはいえ長時間・過重労働は深刻化しており、労働時間時間短縮、職場の人員確保やメンタルヘルスを求める要求が一層切実になっている。医師の面接指導の要件を「月間残業100時間、本人の申出」へと労働安全衛生法が改悪され「年間1800労働時間実現」を明記した時間時短促進法廃止のもとで、職場からの取組み強化が求められている。
大企業のモラルハザードや企業犯罪が国内外で批判を浴び、労働者・国民の大企業の社会的責任を求める運動とあいまって、05春闘で取組んだ新たな「企業通信簿」運動、労働者自らが企業を採点する「働くチェックリスト」運動は大きな社会的反響をよんだ。
政府が07年通常国会を視野に準備をすすめている「労働契約法制」は、研究会の「とりまとめ」で、その名前とは全く異なり、労働時間管理を全面的に緩和する「ホワイトカラーエグゼンプション」や「解雇の金銭解決制度」、労働条件きり下げか解雇かをせまる「雇用継続型変更制度」、使用者側に労働条件切下げ・リストラのお墨付きを与える「労使委員会の法制化」などが盛込まれている最悪の「働くルール破壊法・リストラ促進法」ともいうべきものである。この労働契約法制には労働界が一致して反対しており、こうした内容の法案づくりを許さないことを基本にして、職場からの働くルールの点検・告発活動とあわせて全組合員学習をすすめる。審議会傍聴と委員への要請、政府交渉、署名、集会などを組織するとともに、法律家や女性団体などと一緒に労働者保護法制の強化を求める広範な世論形成をめざす。
政府与党の「06年度税制改正大綱」(12月15日発表)では、大企業の減税は続行しながら定率減税の全廃などで2兆円以上の国民負担増を計画している。さらに自公両党は、07年度をめどに「消費税含む税制の抜本改革」や所得税の税率構造・各種控除の見直しなどを計画しており、所得税増税だけでも年収300万円で41万円、600万円で73万円の負担増となり労働者にとっては二重の大増税負担が強いられようとしている。また引続く医療制度の大改悪については日本医師会をはじめ全国各地で反対運動がひろがっている。増税と社会保障切り捨てを許さない闘争を、国民生活擁護の重要な闘争であり、生存権保障の闘いと位置づけ、06春闘の重要課題として国民諸階層との共同を重視し中央・地方から国民的な運動をすすめる。
政府は国民に負担増を押付けるだけでなく、「官から民へ」「小さな政府」論の立場にたって、規制緩和とともに公務労働の営利化と公共サービスの切捨てを大規模にすすめているが、「耐震強度偽造問題」が象徴的に示すように、規制緩和・構造改革路線による「小さな政府」「官から民へ」の流れが国民の安全・安心をおびやかしていることが明らかになり、ほころびと破綻が表面化しつつある。またこの攻撃が多数の低賃金・不安定な非正規公務労働者をつくりだすとともに、国民の基本的人権を保障する公共サービスが営利中心となり不平等と格差を拡大させることを批判し、国民生活に不可欠な公務労働の拡充・改善を求めなければならない。全労連は「小さな政府=大きな国民負担に反対し、もうひとつの日本、安心できる公務・公共サービスをめざす全労連闘争本部」(略称・もうひとつの日本闘争本部)を発足させ、改憲策動とも一体となった「小さな政府」の本質を暴露し国民世論を喚起するために全力をあげている。全労連の「もうひとつの日本をめざす全国キャラバン行動」をはじめ地域・職場での学習運動や決起集会・シンポジウムなどの取組み積極的に連帯し共に闘う。
春闘課題と結合し、憲法改悪阻止、憲法を守るたたかいに総力をあげる。与党と民主党が通常国会で改憲にむけた手続きとしての「国民投票法案」制定の動きが加速しているが、国民多数が憲法9条の改悪に反対している中にあって、国民投票法案は「9条改悪と一体となった悪法」の制定であることを労働者・国民に訴え、法案提出反対の総行動を展開する。また06年12月までに憲法改悪に反対する国民過半数署名を達成するため、06春闘では春闘共闘の全ての組合が職場過半数署名を達成する。憲法改悪に反対するすべての労働者・労働組合との共同の戦線を更にひろげる。焦点である憲法9条の改悪とともに、国民の生存権を保障した25条の改悪を重視し、職場・地域からの学習・討論と行動を強める。
憲法改悪のねらいは、アメリカと一体となって「海外で戦争する国」に日本をつくり変えることにあり、そのための憲法改悪の先導として教育基本法改悪法案の国会提出がねらわれている。子どもに「愛国心」をおしつけ、軍事大国づくりに協力させるための教育の反動化をすすめるものであり、教育労働者だけでなくすべての労働者・国民の重大課題として共同を広げて法案提出を許さない運動を展開する。
米軍主導の無法な軍事占領支配を一刻も早く終わらせ、主権を名実とともにイラク国民に返すためにも自衛隊のイラクからの即時撤退を求める。沖縄、神奈川をはじめとした米軍基地再編強化の動きは、アメリカに従属して日米の軍事一体化をすすめる極めて危険な動きであり、首長を含めた自治体ぐるみの基地強化反対運動がひろがっている。日本に存在する巨大な米軍基地の撤去闘争、日米安保条約廃棄をめざす運動のよびかけにも積極的に対応する。
「構造改革」路線の推進は、格差社会と二極化をひろげ、その矛盾があらゆる形で地域に集中し噴出している。同時に地域では、職場の垣根をこえて多様な課題での共同が発展し、公契約運動や最賃闘争など賃金闘争でも具体的な前進をかちとってきている。職場を基礎にした企業内だけの闘いにせず地域にうってでて地域にすむ人々の多様な要求実現のために闘うことが、職場の春闘を活性化させるとともに、社会的役割を大きくアピールする機会にもつながる。すべての単産・単組が地域春闘を具体化し、公契約・地域最賃・公務非正規労働者の賃金改善など「地域からの賃金闘争」に取組み、同時に未組織労働者の組織化や地域住民の要求実現、地域経済の振興、地方政治の革新など自治体闘争をふくむ地域での「総対話と共同」をひろげ共同闘争を発展させる。
06春闘にあたっては、あらためて職場から生活と労働の実態について深く討議し、全ての組合が春闘要求をまとめあげ、要求を提出するよう全力をあげる。要求確立から交渉配置、そしてストライキ行動、妥結に至る諸行動を全組合員参加でやりぬくために行動と参加形態などに工夫する。職場を基礎に、産業別を軸に、地域的・全国的に共同をひろげ、力を集中し粘り強く闘い要求の前進を勝取る。06春闘にあたっては学習と相互交流を重視するとともに、春闘に取組むすべての組合とのさまざまな交流を具体化し、春闘共闘として一致点での幅広い連帯と共同をめざす。労働組合の存在とその社会的役割を鮮明にし、国民的支持と共感のもとに要求の実現をめざす。
06春闘では、単産、地方・地域が力を集中する共通の重点課題と統一行動を明確にし、大企業包囲行動、地域総行動、社会保障闘争、改憲反対闘争、組織拡大などの取組みには、全ての組合員に有給休暇を取得しての行動参加などを訴える。
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