06国民春闘・闘争宣言

 

06国民春闘・闘争宣言



 「日本経済は『バブル後』と呼ばれた時期を確実に抜け出した」―と昨年の「経済財政白書」は巻頭部分で宣言し、「緩やかな景気回復のもと、家計面でも雇用・所得環境が着実に改善している」と強調した。
 本当に景気が回復し、明るい兆しが見え、そのことを多くの国民が実感しているのだろうか。
 いやむしろ現実は、経済のグローバル化による市場主義万能論など小泉「構造改革」による規制緩和策と「小さな政府」論によって、ルールなき競争社会をつくりあげ、「明日への希望や将来」をも二極化させるような格差社会を拡大してきたというのが実態である。
 いま、この国に必要なことは「格差社会」の拡大ではなく、明日への希望と将来への夢を持って人間らしく生き、働きつづけられる「もうひとつの日本」の実現である。その新しい大きな流れをつくり、確実なものとするのが06春闘である。

 昨年12月に、日本経団連は「06年度版経営労働政策委員会報告」を発表した。その第一の特徴は賃金決定方式については、従来どおり「総額人件費の徹底」にかわりはないものの、「賃上げ容認」の姿勢を示したことである。この背景には7年連続の賃金ダウンやリストラ「合理化」などによって、多くの企業で業績が回復し、史上最高の利益をあげ、「07年まで6期連続の増益基調」(大手民間調査機関)というまさに「一人勝ち状態」にある。こうした状態に対する労働者の不満や社会的批判をかわすために日本経団連の奥田会長や銀行協会の前田会長も「賃上げを」認めざるを得ない状況に追いこまれている。
 もうひとつの特徴は、48年の日経連創設時のスローガンである「経営者よ 正しく 強かれ」を今回改めて掲げていることに象徴されるように、後を絶たない企業不祥事や現場力の低下、職場内で深刻化するメンタルヘルス問題など、この間押し進めてきた正規労働者から非正規労働者への大量置換えや成績・業績主義賃金の導入、長時間過密労働など「利益至上主義」の矛盾が表面化するなど深刻化な事態となっていることである。
 それにも係らず、「横並びの『春闘』はすでに終焉し、春季の労使討議の場として『春討』」へ」とあらためて春闘解体攻撃を繰り返してきていることは、断じて容認できない。今日のような労働者・国民が深刻な状態に直面しているいまこそ、「たたかう春闘」の出番である。

 小泉首相は圧倒的な力を背景に、20日から開会する第164通常国会を「行革国会」と位置づけ、行革推進法や市場化テスト法案など公務員削減など「小さな政府」の推進をはじめ増税や医療改悪、日米軍事一体化の米軍基地再編、憲法改悪を狙う国民投票法案や教育基本法改悪法案など国民に負担増と戦争国家体制づくりを狙ってきている。
 こうした一方で、過去最大規模となる診療報酬引き下げや米軍基地再編問題での自民党支持団体や保守系首長からも反対の声が巻き起こっている。また財界・マスコミ、さらにはアメリカ政府までもが「ポスト小泉」に焦点を移してきているなど、「日の出の勢い」だった小泉首相にも翳りが見えはじめている。

 06春闘は労働界が一致して「賃上げ春闘」をたたかう絶好のチャンスである。
 わたしたち国民春闘共闘は、この06春闘を「すべての労働者の賃上げ」と「安全・安心な社会」の実現にむけて、大企業の社会的責任(CSR)を追求するとともに、「小さな政府」論に反対し、公務・公共サービスを守るたたかいをすべての職場・地域から強化していく。そして「みんなでつくろう もうひとつの日本―働く仲間が元気の出る社会」をスローガンに、06春闘勝利をめざして全力をあげてたたかいぬくことをここに宣言する。



2006年1月17日

国民春闘共闘委員会/第1回単産・地方代表者会議