2007国民春闘共闘情報
全労連HP

第 01 号・速報版  2006年10月31日

 

格差・貧困化の是正、働くルール確立

 国民春闘共闘が07年次総会ひらく

「07春闘構想案」を提案。賃金改善、均等待遇を

 国民春闘共闘は10月26日、東京・全労連会館で07年度年次総会をひらき、当面する秋季年末闘争の強化と07春闘方針構想、新年度の役員体制、予算などを確立しました。総会には26単産・団体・5地方の代表ら79名が出席。戦後最長の景気拡大がつづくもとでの格差拡大・貧困化の是正、働くルールの確立、雇用確保をはじめ、賃金改善、全国一律最賃制の確立、安全・安心な地域社会の実現、社会保障の連続改悪反対、憲法・教育基本法改悪阻止などの課題をとりくむ07春闘を熱く語り合いました。



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 主催者あいさつした代表幹事の坂内三夫全労連議長(写真)は、07春闘の対決点が格差と貧困化を是正させることだと指摘。雇用や賃金格差、税金や社会保障の格差、教育の格差、地方・地域間の格差、青年・女性・高齢者の格差などが最大の焦点になると強調。もうひとつの対決軸として、憲法・平和問題をあげ、当面する秋の臨時国会で「教育基本法改悪法案を阻止し、憲法改悪を断念に追い込むことは、我々労働者・労働組合のあらゆる要求を前進させる土台でもある」として、07春闘構想の議論を呼びかけました。

● 小田川事務局長が春闘構想案を提案

まもろう平和、なくそう格差と貧困、安全・安心な社会を

 小田川義和事務局長が「07春闘方針構想案」を提案。基本的な構えと重点課題について、(1) 「戦争をしない、参加しない日本」を求め、(2) 働くルールを確立し、格差と貧困の是正を迫り、(3) 安全・安心な社会をめざすことを重視して、運動の具体化をはかることとしました。
 これを踏まえた07春闘のスローガンを
「まもろう平和、なくそう格差と貧困、安全・安心な社会の実現をめざして」でどうかと提案し、討論を呼びかけました(最終確定は11月15日の常幹会議)。
 5項目の重点課題の第1に、「格差と貧困の是正」を求めるとりくみとを掲げ、労働法制改悪や生活保護基準の切り下げ、公共サービスの民間化など、格差と貧困を拡大させる制度改悪反対のたたかいを強調しました。偽装請負や違法派遣などを告発し、労働者を使い捨てる企業追求や、安定した雇用確保の施策実施を求める職場のとりくみ、違法行為の規制強化を求める政府要求行動を呼びかけました。

 重点課題の第2が「賃金改善、全国一律最賃制の実現」で、「旧8社懇」企業などへの要請行動、内部留保を告発する企業通信簿、Vマップ運動と、要求アンケートにもとづくベア要求、「誰でも○○円以上」の賃金改善(底上げ)要求のたたかい、全国一律最賃制度の確立をめざすとりくみなどを提起しました。また、均等待遇をもとめ、「正規労働者の8割以下で働く非正規労働者をなくせ」の社会的運動をすすめるとして、8割が妥当かどうかの水準論議を呼びかけました。

 第3に「安全・安心の地域社会の実現」では、公契約運動を前進させる、行政機関や医療機関の統廃合反対や、「地域医療を守れ」のとりくみ、指定管理者制度や「市場化テスト」、教育・医療・福祉の「民営化」や統廃合などによるサービス低下、「まちづくり条例」制定運動などの地域総行動を提起しました。

 第4に「社会保障の連続改悪、消費税引き上げに反対し、国民負担の軽減をもとめる国民共同」のとりくみ、第5に「憲法改悪を阻止し、平和を守るたたかいを旺盛に展開する」ことを呼びかけました。

 統一行動の配置は、1月は9日の新春宣伝行動、18日の日本経団連包囲行動(午後、単産地方代表者会議)、29日の春闘決起集会、2月は中旬に要求確認、21〜23日に地域総行動、3月は6日に「なくそう格差と貧困、安心できる雇用と賃金、社会保障を!」(仮称)中央行動、14日に集中回答日、15日にストライキを含む統一行動、4月は12日に統一行動(回答促進、労働法制などの国会行動)を構える計画です。

● 討論に18名が発言

教基法改悪反対闘争、賃金底上げ・地域春闘など「構想」を補強

 討論では、単産・地方の代表や全労連から18名の発言がつづきました。

◇格差と貧困の是正を求めるとりくみについて
JMIUは、「格差と貧困をなくす運動をつくるうえで、もう一歩踏み込んだ方針提起が必要だ」として、偽装請負労働者の直接雇用を実現させた光洋シーリングテクノのとりくみや神奈川のワンルームマンション宣伝などを紹介。「労働組合に入る、労組をつくるなど、労働者の団結を呼びかけること」の重要性を強調しました。
 民放労連は、偽装請負問題では『実態にあわせて法改正を』という一部マスコミ論調を紹介。「労働組合が本腰をいれること。マスコミが注目しているこの機を逃さず、なぜ偽装請負が悪いのかを組合員にも徹底しよう」と呼びかけました。
 全国私教連は、「国と自治体から出ている私学助成が教育格差の防波堤になっているが、貧困化と格差社会のなかで助成の対象者(生徒)が急増している」実態と、各地で盛り上がる生徒の運動を紹介。「まともな私学に十分な助成を求めていきたい」と述べました。
 年金者組合は、「日弁連が生活保護問題を取り上げているが、ナショナル・ミニマムの問題として取り上げている。春闘方針もそういう位置づけで強調してほしい」と求めました。
 全農協労連は、「農・漁民にも格差と貧困が広がっている。労働者以外の各層にも幅広く運動を広げよう」と訴えました。

◇賃金改善、最賃闘争について
 化学一般労連は、「中小の立場からは来春闘も楽観できない。06春闘につづき、賃金構造維持分確保を最低ラインとしてとりくむ」と述べました。通信労組は、企業内少数組合ながら、賃金引き上げを求めて春闘のたびにストライキでたたかってきた経験から「07春闘では、はじめて生計費原則を掲げてたたかっていく」と決意を語りました。
 全損保は、「1998年の『自由化』以降、11万人いた損保労働者が8万人に減らされ、非正規労働者が増え、成果主義賃金が入り、3〜4回も賃金制度が改悪されている」実態を紹介。「健全な業界を取り戻すために協会へも行政にも改善を迫りたい」と述べ、当面、東京海上日動支部のたたかい支援を訴えました。
 生協労連は、「07春闘では最賃と均等待遇に力をいれる。1月18日には各地の最賃審議会の委員候補21人(生協労連組合員)が勢ぞろいして厚労省前で行動する。最賃を審議する委員として生協パートは適切だと訴えたい。各地の最賃闘争でも役割を発揮する」と述べました。
 日本医労連は、「産別最賃(看護師最賃の新設)の申請について、7月に秋田県、11月に山形、岩手、長野で行う。07春闘では10県になる」と紹介。産別最賃をなくそうとする財界の攻撃に屈せず、攻勢的なたたかいを展開する決意を語りました。
 国公労連は、「06人勧が官民比較方式の見直しで50人以上としたため、本来なら4252円の賃上げ、0.05カ月の一時金改善が必要なのに、据え置き(ベアゼロ)になった」と報告。これが民間にハネ返らないよう、「07春闘は、あらゆる機会に地域でたたかうことが大切。政治の流れを変える春闘に全力をあげる」と述べました。
 埼玉春闘共闘は、「06春闘では地域春闘の新たな前進として、自治体関連労働者の時給引上げをめざす芽生えや発展が評価されているが、これを07春闘に生かす観点が弱い」と指摘。「文字通り『すべての労働者』を視野に入れるなら、産別・地域で一人ひとりが立ち上がる運動が必要」と述べ、補強を求めました。公契約の運動についても、「賃金闘争の視点で位置づけてほしい」と要望しました。

◇安全・安心の地域社会の実現について
 日本医労連は、「自治体の広域合併などにともない病院の廃止・閉鎖が相次いでいる。『地域医療を守れ』を中心課題の共同を広げたい」と決意を表明しました。
 自治労連は、「自治体の役割が縮小されるなかで、富士見市のプールや北九州市の生活保護行政で人命が奪われる事態まで起きている。住民と力を合わせて自治体の本来の役割を取り戻す運動をすすめる」と述べました。
 神奈川春闘共闘は、国労や教組の組合が参加してきたことを報告。「地域春闘は、目に見える運動をつくり、07地方選にむけて要求春闘としたい」として、「美しい日本」「憲法改正」などに対置する「最賃・公契約の運動」などを紹介。「労働法制100万署名」を前面に出した運動展開を求めました。

◇憲法改悪を阻止し、平和を守るたたかいについて
 出版労連は、「07春闘方針にも教育基本法など教育問題を位置づけてほしい。いじめや高校の世界史未履修問題が話題になっており、春闘共闘で運動をひろげるうえで教育問題は不可欠」と要望。全教は、教育基本法の改悪阻止にむけた決意を表明し、「11・2」「11・17」など諸行動・大集会などへの積極参加を要請しました。
 民放労連は、「11月から秋季年末闘争に入るが、重点課題は国民投票法案だ」として統一ストを立ててたたかうことを紹介し、法案の危険性を訴えました。映演労連は、「『国民投票法案反対』で職場に入ると、いろんな反応があるが、権力をもつ改憲派がテレビジャックして大量宣伝することなどを説明すると顔色が変わる」と紹介しました。

◇重点の共同行動、制度活用をめぐって
 (1) 中央労働委員の民主的な任命を求める裁判で全労連は、11月8日に地裁判決が出ること、また、29期の任命が11月16日前後に行われることを紹介し、追い上げのとりくみ強化と、判決当日の積極参加を要請しました。
 (2) 税制適格年金の廃止を前に企業年金の移行先について化学一般労連は、会社が銀行からの圧力もあって401kを入れてくれと言い出していることを紹介し、春闘共闘としての政策提起を求めました。また、子育て支援の育児休業制度の活用と、短時間勤務などで取りやすい制度にするとりくみを展開することや、有休が自由にとれる職場にしていきたいと述べました。
 (3) 4月に施行された改正高齢法について通信労組は、(50歳定年を拒否し)NTT本体に残った労働者には再雇用の道がないことから、継続雇用改善闘争の強化を求めました。映演労連は、継続雇用問題では全国初の裁判闘争になっている東映労組のたたかいへの支援を訴えました。

● 小田川事務局長が討論のまとめ

 討論のまとめに立った小田川事務局長は、概要つぎのようにまとめて了承されました。

(1) 意見については受け入れて、方針案としてまとめていく。
(2) 11月15日の第1回常任幹事会で具体的に補強し、30日から12月1日に開催する国民春闘討論集会に反映させる。
(3) 国会審議がすすんでいる教育基本法、改憲手続法などは審議の動きにあわせて補強する。
(4) 当面する秋のたたかいで、各単産から支援要請のあった闘争については、お互いに支援しあう。
(以下、課題別のまとめは略。『確定版』で紹介します)

● 新年度役員を選出

全労連選出の代表幹事に坂内氏、事務局長に小田川氏を選出

 新年度の役員体制(三役)は以下のとおり。
◇代表幹事=坂内三夫(新任。全労連)、老田弘道(純中立労組懇)、堤 敬(東京春闘共闘)
◇事務局長=小田川義和(新任。全労連)
◇事務局次長=渡辺正道(全労連)、浦上義人(純中立労組懇)、伊藤潤一(東京春闘共闘)。
◇常任幹事=各団体・大産業別グループより17名(うち1名が新任)、特別常任幹事=首都圏地方より3名、会計監査=2名(再任。氏名略)




● 退任の熊谷氏、岩田氏があいさつ

 総会では前任者の熊谷金道前代表幹事、岩田幸雄前事務局長があいさつし、「格差社会の矛盾が深まり、政府・財界の攻撃も強まっている。すべての労働者を視野に、春闘共闘に結集する労働者を大切にしてたたかってほしい」(熊谷氏=労働総研代表理事)、「すべての労働者の賃上げ、大企業の社会的責任を問うなど、大きな構えでたたかって、賃金底上げや均等待遇の芽生えをつくってきた。ひきつづき皆さんと共にたたかいたい」(岩田氏=全労連副議長)と述べ、拍手に包まれました。

(以 上)




 
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