第3回 07春闘進ちょく状況調査
回答引出し35%、妥結は13%
4月に決着つかず。連休明けに交渉本格化
国民春闘回答集計センターは2日、全単組を対象とした春闘進ちょく状況の第3回調査を実施した。「4月末決着をめざす統一行動」直後の段階で26単産から4039組合(前年同期は29単産4195組合)の報告があった。その多くが中小労組であることから、要求提出の割合が65%(昨年は70%)、回答引出しが35%(同39%)、妥結・妥結方向が13%(同17%)で、スト実施が23%(同18%)などとなった。平均賃上げ額とスト実施では改善されているものの、ほかの項目では低減傾向にあり、5月闘争の強化が求められている。
(別表参照)
要求提出組合数は65%、 改善を指導中
[調査組合数、要求提出数]
調査組合数の報告計は4039組合(26単産)で、ほとんどが中小労組である。組合数が多いところは建交労の749組合、福祉保育労530組合、日本医労連437組合、全労連全国一般380組合、自交総連344組合、JMIU306組合、全農協労連304組合など。なお、昨年の最終集計(6月末)で全体計は4439組合(30単産)だったが、現時点で回答の出ていない全国私教連は調査対象からはずしている。今回の特徴点は以下のとおり。
要求提出は、計2620組合で全体の65%(前年70%)。単一組織の検数労連、通信労組、全損保、郵産労のほかに、繊維産労、合同繊維、外銀連の7単産が100%で、金融労連93%、全証労協91%、特殊法人労連90%などが高率である。歴史的に「決算・予算待ち」「地域相場待ち」などの実情で要求提出数・率の低い単産では各々「4月中の提出」を指導中で、一定の改善が期待される。
回答引出し35%に。妥結はいまだ13%
[回答引出し、妥結数]
回答引出しは計1417組合で、4月24〜26日の4月末決着をめざす統一行動を経て、ようやく35%の水準に達した。遅れている要因は、中小企業を中心に「業績不振」「先行き不安」という現実や、それを悪用した回答延期、地域や業界の相場待ち、決算・予算待ち、さらに大手企業のベアゼロ回答を睨んで「成果は一時金で」という傾向が指摘されている。こうしたなかで、回答内容を問わなければ通信労組と検数労連、繊維産労の100%があり、出版労連と特殊法人労連の80%、全倉運77%、合同繊維75%、全証労協73%、JMIU72%などが高率である。なお、全農協労連・単協労、建交労・建設、建設関連労連、自交総連、映演共闘や金融、私学関係の回答引出しは連休明けから本格化する。
回答内容では「定昇あり・ベアゼロ」が相変わらず467組合と多く、「定昇カットなど」が18組合、「定昇なし・ベアゼロ」も46組合ほど見られる。こうした低額・不当回答は計532組合(昨年は528組合)に達している。なかでも、全倉運が63%、民放労連が55%と高率で、全証労協46%、日本医労連37%、生協労連と出版労連が各々27%などとなっている。各単産はここにきて、「未解決組合対策」などを打ち出し、純ベアに執着しつつ納得できる解決をめざしている。
賃上げ額または引き上げ率が明確な1097組合について、平均賃上げ額は4855円、引き上げ率は1.99%となった。前年同期比では金額が129円、引き上げ率で0.09ポイント上回っている。額・率とも平均を上回って善戦しているのは、JMIU、繊維産労、外銀連、民放労連、映演共闘、日本医労連などである。
うち妥結または妥結方向に達しているのは534組合・13%で、昨年(712組合・17%)にも及ばない低水準である。妥結しているのは「純ベア確保」「前年実績以上の回答」や「定期昇給分を確保」した組合が中心。「妥結・妥結方向」は繊維産労と検数労連の100%、「全体としてほぼ集約方向」に向かっているのは出版労連の64%、合同繊維の63%だけで、比較的高率なのはJMIU40%のみ。このほかの単産では、前述のようなきびしい回答内容のために未解決が多くなっている。
スト権の確立は55%と低調。実施は23%に改善
[スト権確立、実施数]
スト権を確立したのは1750組合で、調査計の実質で55%(昨年は60%)にとどまっている。この要因は、確立数が30%に満たない単産がいくつかあるように、産業別にバラツキが見られることである。高率で確立したのは、検数労連、通信労組、全損保と繊維産労でともに100%。建交労とJMIUが各々80%、合同繊維75%、特殊法人労連70%などが高率であった。
うち、ストライキ実施組合数(指名スト含む。2回実施は2ポイント)は計721組合・23%で、昨年(590組合・18%)比で131組合増えた。集中回答翌日の「3・15全国統一行動」が262組合で、その後、「4・12全国統一行動」を中心に459組合増えた。これまでのところ、JMIUが「3・8リレースト」「3・15統一スト」などでのべ500組合・163%、通信労組は全支部が「3・15統一スト」に結集して100%、検数労連も100%、このほかでは全証労協の45%が比較的高率でストライキを決行し奮闘している。
5月闘争と特別対策を。悪法阻止とも結合して
以上の数値と各単産からの報告を総合すると、春闘の進ちょく状況は「平均賃上げ額」と「スト実施」以外の各項目で若干の低減傾向のなかで推移している。同時に、登録組合の回答水準でも単純平均、加重平均とも引き上げ額が前年を上回り、パート賃上げ、企業内最賃でも善戦している。各単産は要求提出の徹底を含む4月末決着の産業別闘争を経て、連休明けの5月闘争強化や未解決の特別対策を確立しつつあり、地方・地域も支援・連帯の輪を広げることが改めて重要である。最賃・人勧闘争も本格化しており、国会における改憲手続き法案、労働法制関連法案、教育関連法案など悪法阻止のたたかいとも結合しながら精一杯奮闘しあいましょう。
07春 闘 第3回 進 ち ょ く 状 況
2007年5月08日現在 ●国民春闘共闘委員会
|