2007国民春闘共闘情報
全労連HP

第 31 号  2007年5月17日


 

07春闘 職場の制度的諸要求が1315組合で前進

子育て支援、均等待遇、正社員化など

パート賃上げ276組合、企業内最賃177組合に増える

 国民春闘共闘は16日、「パート賃上げ、最賃・時短・諸要求獲得状況調査」の第2回中間集約を実施した。各単産の獲得状況は一覧表のとおりで、4月3日の第1回集計後、全農協労連、合同繊維、検数労連、全倉運、福祉保育労、自治労連などから新たな報告があり、19単産からのべ1315組合の獲得状況が報告された。「賃金抑制。成果は一時金で」を中心とした総額人件費抑制のもとで、子育て支援、均等待遇、人員増などの制度的要求が前進し、前年同期獲得数(1006組合)を大幅に上回る成果をかちとっている。なお、パート賃上げ・企業内最賃の獲得状況も集計したが、獲得数が増えつづけているのが特徴である。

 [要求課題別] 07春闘の特徴は、育児・看護の子育て支援策を75組合が勝ちとったこと。通信労組はNTT関連45社で子どもの対象年齢を小学3年生までに、全農協労連の家の光、全印総連の凸版印刷、凸版製本、民放労連の日本テレビ(小6)、東京放送、朝日放送、読売テレビでも小学3年生までとし時短勤務を保障する。民放労連の2組合では育児休業補助金を月額10万円、所定内の50%支給とした。また、家族手当のうち子どもの扶養手当が改善され、金額引き上げや第3子以降も対象などを17組合がかちとり、出産・入学祝金の新設・増額も見られる。

 パートの均等待遇(労働条件の改善)は44組合が獲得した。生協パートでは、結婚休暇・同祝金、罹災見舞金を正規と同様(みやぎ)や、忌引休暇1日有給(いばらき、とちぎ)、3月年度末手当の支給、通勤手当支給基準と慶弔休暇を正規と同一(ララコープ)。全印総連の6組合、出版労連の5組合は夏季一時金の支給をかちとり、東京書籍の嘱託は正社員の80%水準。民放労連の日本テレビ、東京放送では外部スタッフ全員に5千円、1万円のクオカードが支給され、九州の4地方局で社員以外にも視聴率達成などの祝金(1万円)が支給される。医労連の全医労ピジョンでは扶養手当の支給を世帯主パートに拡大した。

 正社員化などの雇用保障は27組合が獲得。JMIUの光洋シーリングテクノでは新たに16名の派遣社員を直庸(契約社員)にする。建交労の関西急送では準社員26名を正社員とし残る50名も3年以内に順次正社員に。全印総連の高速オフセットでは派遣労働者を直接雇用に切り替える。民放労連のSU山陽映画支部では契約社員3名を正社員に。全農協労連のひまわり、生協労連のいばらき、いしかわ、かごしま、全国一般の千葉福祉会、西淀川医療、全印総連の東京書籍、民放労連の京都放送、福祉保育労のかりぷあつべつなどでも正社員化がすすんでいる。

 人員増は18組合が獲得。医療機関では高度医療の資格要件とも関わって看護師の確保が緊急課題となり、医労連の新潟済生会は看護師を50名増員、鹿児島医療生協は鹿児島で38名、国分で11名の看護師を増員する。JMIUの小坂研究所は新卒9名、超音波工業は同5名を採用する。島崎製作所は人員補充を9名、日本ロールも2名補充する。このほか、出版労連3組合、福祉保育労2組合、化学一般1組合などが人員増を引き出している。

 60歳以上の雇用延長制度では、化学一般や建交労など多くの組合が昨年の協定にもとづき対象年齢を63歳から64歳に変更した。一部に遅ればせながらの制度導入も見られる。通信労組や生協パートでは、再雇用者の時給を10円、20円、50円などと引き上げている。


前年を309組合も上回る。通信労組、建交労がんばる

 [単産・地方別] 全体として前年同期の中間集計数を309組合も上回っている。これは、ゼロ行進が続いていた通信労組(NTT)の45組合が育児・看護の子育て支援策など4項目の改善をかちとったこと、建交労の集団交渉が早めに解決してきたことが主たる原因で、全農協労連、化学一般労連、全印総連、民放労連、日本医労連、福祉保育労、金融労連(初任給引き上げ)などが昨年より早いペースで改善させている。

 公務単産では、自治労連が非正規労働者の要求実現を重視して取りくみ、臨時・非常勤の時給・日給引き上げ12組合をはじめ、経験加算の改善、退職手当の改善、雇用(身分)保障、育児・子育て支援、各種休日休暇付与など34組合が成果をあげている。この間は、自治体リストラにともなう雇用(身分)保障が成果の中心だったが、今年は地方労連などの自治体キャラバンも効果的に作用し、実現した要求課題も広がりを見せている。

 なお、「その他諸要求」の334組合は、諸手当の金額引き上げをはじめ、期末賞与、各種祝金、福利厚生費、携帯電話の貸与・料金補助など。このほか、事業運営の事前協議・合意(農協)、高速料金会社負担、遊休車両の減車(自交)、パワハラ対策(生協)、教科書問題の活動は有給(出版)、無線技師手当の増額、クリエイティブ研修(民放)など産業政策の前進がある。


(以上)



 
07春闘 パート賃上げ・最賃・時短・諸要求の獲得状況(のべ組合数)

(中間集約)

2007年4月03日 集計

国民春闘共闘委員会調べ


  調 査 労働時間の短縮関係 パートの待遇 企業内最賃保障 社保料 育児看護 介護休業 労災対策 雇用保障 その他
単産名 組合数 所定時間 週休2日 休日休暇 残業関係 他の時短 時日給引上げ 条件改善 最低賃金 年齢保障 初任格差正 負担改善 新設改善 新設改善 上積保障 安全衛生 人員増 雇用保障 高齢者退職金 諸要求の前進  
全農協労連 連合会 28               1       1     1 1     8 12
全農協労連 単協 276     4 6     1 1   1         4   2   32 51
建交労 749     4 2   88   55 23 1   1   5 9   1 68 61 318
JMIU 306           14   9   7           5 1     36
化学一般労連 111     4 1       19   5 1 1 1   1 1   32 11 77
合同繊維 8           1                           1
自交総連 344           1       10         1     3 16 31
検数労連 全国 2       1           1                   2
全倉運 43     1 1                     1       5 8
通信労組 45                       45           42 90 177
生協労連 170       4 1         3   1 1   4   3   11 28
生協パート 99     1     69 7 23   3   1 1       6 4 3 118
全国一般 380 1   1 2 4                   3   1 2 10 24
全国一般 非正規           1 38           1   1 1   5 1 2 49
金融労連 81           1       7                   8
全印総連 135     2 1 2 4 6 14   6   3 1   2   3   10 54
出版労連 129   1 1   2 1 5 10   1   3 1   1 3   3 3 35
民放労連 139     4 4   4 9       1 14 2   6   2 1 46 93
日本医労連 437     1 11   36 4 43               6   1 16 118
福祉保育労 530     1 4 1     2   1       1 2 2   1 8 23
福祉保育労 非正規     2     5 7     2             1 1   16
自治労連・関連       6 1 7 12 5     1   4 2   1   2 5 2 34
国公労連・臨職             1                           1
地方報告             1                           1
合 計 19単産1地方 1 1 32 38 18 276 44 177 23 49 2 75 9 7 37 18 27 164 334 1315
06/5/15中間 20単産1地方 4 3 64 41 8 222 308 4 10 7 54 181 100 1006




 
 

 パート等の賃上げ回答状況C

平均17.9円アップ。276組合が引出す

1.国民春闘共闘委員会は、制度的諸要求の獲得状況にあわせて、パート・アルバイト等の賃上げの第4回回答集計をおこなった。
 今回は14単産1地方より計276組合(日額・月額105組合含む)の回答が報告され、うち時間額の引き上げは171組合平均で17.9円(前年同期は15.8円)のアップになった。これまでにパート等の回答を引き出したのは、建交労の88組合、生協労連の69組合をはじめ、全労連全国一般の38組合、日本医労連の36組合と、JMIU、自治労連、全印総連、民放労連、福祉保育労など。前年同期の回答引出し数181組合を95組合上回って奮闘している。

 今季の特徴は、昨年来のパートの人手不足が全国・各産業規模に波及し、新規募集の時間給が大幅に上昇傾向を示している。こうした中で、「4月末決着」のたたかいなどによって、回答引き出し数は大幅に増えたものの、回答金額は5円、10円、20円などが数多く報告され、平均引き上げ額は低減傾向を示している。日本医労連のヘルパー、薬剤師、看護師などの専門職に100円、150円、200円の回答がある一方で、消費不況や制度改悪の影響を受けている商業・サービス分野や公務関連では相変わらず「ベアゼロ」「定昇のみ」のきびしい回答も見られる。

 臨時・嘱託・準社員など日給者の日額引上げは、建交労と生協労連、自治労連、国公労連などの計79組合が平均394.1円(前年同期は344.4円)引き上げた。同様に月給者の月額引き上げは、計24組合の平均で2156円(同2690円)アップをかちとっている。


企業内最賃は177組合が回答・協定

2.企業内最賃は、9単産より計177組合(日額・時間額50組合含む)の回答が報告され、うち月額の引き上げは127組合平均で16万9793円(前年同期は128組合で17万0873円)になった。これまでに回答を引き出したのは、建交労運輸の集団交渉(首都圏、大阪など)で建交労最賃33組合、トラック最賃22組合、日本医労連の誰でも最賃23組合、看護師最賃20組合をはじめ、出版労連23組合、化学一般19組合、全印総連14組合、出版労連10組合やJMIU、全農協労連、福祉保育労などである。うち、時間額を改定したのは149組合あり、その平均額は976円(前年同期は949円)になった。



 


2007年 パート等の賃上げ状況

2007年5月16日

単産名 獲得 時間額 1組合あたり平均(単純平均) 改定後 UP額 UP率
組合数 組合数 新時間額 引上額 引上率 単組数 単組数 単組数
パート時給 建交労 88 13   18.2   0 13 0
  JMIU 14 14   13.5 16.70% 0 14 1
  合同繊維 1 1   10.0   0 1 0
  自交総連 1 0       0 0 0
  生協労連 69 57 833 10.5 0.88% 10 45 31
  全国一般 38 33   10.8 0.78% 0 26 13
  金融労連 1 1 850 75.0 9.68% 1 1 1
  全印総連 4 3 960 14.0 1.05% 1 3 1
  民放労連 4 4 900 25.0 2.27% 1 4 1
  出版労連 1 0       0 0 0
  日本医労連 36 35 891 36.7 5.65% 12 31 13
  福祉保育労 5 5 1,000 20.0   1 4 0
  国公労連 1 0       0 0 0
  自治労連 12 4 900 20.7 1.69% 1 4 1
  地方 山梨 1 1   4.8 0.53% 0 1 1
  276 171 842 17.9 2.24% 27 147 63
  うち日給引上げ 79 7,377 394.1 4.27% 3 76 3
  うち月給引上げ 24 160,000 2,156 2.22% 1 20 10


 (注)、各項目とも報告のあった件数で除しているため、新時間額、引上額・引上率は各々連動していません。




2007年 企業内最賃改定状況

2007年5月16日

単産名 獲得組合数 月額組合数 1組合あたり平均(単純平均) 改定後 UP額 UP率
新協定 引上額 引上率 単組数 単組数 単組数
全農協労連 2 0       0 0 0
建交労(18歳) 33 33 174,394 0 0.00% 33 33 33
建交労(トラック最賃) 22 13 196,000 0 0.00% 13 13 13
JMIU 9 8 147,102 3,701 2.54% 8 7 7
化学一般 19 19 148,158 250 0.17% 19 12 12
生協労連 23 0       0 0 0
全印総連 14 10 157,768 822 0.58% 10 9 9
出版労連 10 4 171,500 11,500 7.19% 4 4 4
日本医労連(誰でも) 23 21 160,099 929 0.66% 20 7 7
日本医労連(看護師) 20 19 191,230 4,592 2.49% 19 6 6
福祉保育労 2 0       0 0 0
月額・計 177 127 169,793 1,279 0.81% 126 91 91
うち日額 引上げ 82 7,870 100 1.38% 82 44 44
うち時間額 引上げ 149 976 14.6 1.65% 148 88 88


 (注)、各項目とも報告のあった件数で除しているため、新協定、引上額・引上率は各々連動していません。






 
 まもろう憲法・平和、なくそう格差と貧困、つくろう安全・安心な社会を




国民春闘共闘情報